キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
「ん……」

 カーテンから差し込む光が眩しくて目が覚めると、いつの間にか律と共にベッドで眠っていた。

 律はまだ気持ちよさそうに眠っているので起こさないようベッドから抜け出そうとすると、

「……どこ、行くんだ?」

 気配で起こしてしまったらしく、腕を掴まれてそう問い掛けられた。

「ごめんね、起こしちゃったね」
「いや、いい」
「律はまだ寝てて? 私はもう起きるけど」

 まだ眠そうな律にそう声を掛けると、

「駄目だ、まだ行くな」

 私の身体は律に寄って引き戻され、再びベッドへ横になってしまう。

「律?」
「琴里……今まで悪かったな、色々不安にさせて」
「どうしたの、急に」
「俺、昨日お前が兄貴と二人で居るって知った時、すごく嫌な気持ちになった。不安でたまらなかった。けど、鈴の事でお前にも同じような思いをさせてたんだと思うと、謝らずにはいられなかった。本当にごめんな……」
「律……。ううん、もう良いんだよ。私の方こそごめんね、電話切ったりして、心配かけて」
「もう二度と、あんな事するなよ。連絡が取れなくなった時は、気が狂いそうになったんだから」
「うん、もうしないよ……絶対」
「なら許す」
「――んっ……」

 すると、律は私の唇に自身の唇を重ね合わせてくる。

「……り、つ……」
「琴里――好きだ」
「……!」

 啄むようなキスをされ、幸せな気持ちで頭がふわふわしていると、突然、律が私に『好き』だと言う。

「……律……今……」
「俺としては、言葉よりも行動の方が大切だと思ってたけど、琴里は、ずっと言って欲しかったんだよな?」
「そう……だけど……どうして?」

 びっくりした。

 今まで何度聞いても、好きだとは言ってくれなかったのに。

 今、このタイミングで突然言うなんて。
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