キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】

「琴里の事を好きだと思ってたのは事実だ。けど、俺の中では鈴の事がずっと気がかりで、それにカタをつけないと、お前とは本気で向き合えない気がしてた。言葉にするのは簡単だけど、ただ口にすれば良いってもんでもないだろ？ だから、なかなか言葉にする事が出来なかった」
「……律」
「でも、兄貴たちの話を聞いて、俺の中で、はっきり覚悟が決まった。兄貴とお前が二人で居た時もそうだけど、俺は琴里の事が好きなんだって、心から実感出来た。鈴の時は諦めがついたけど、お前の事だけは、絶対に無理だって思った。誰にも渡せないし、渡す気もない……俺はもう、お前無しじゃ――生きられない」

　その言葉と共に再び唇が重ねられると、今度は先程よりも深いキスで息継ぎをする間もない。

「……、ん……ぁ、はぁ……っん……」

　そのまま舌を入れてくると、私の舌は律の舌に絡め取られていく。

　律の気持ちに応えたくて必死に合わせるけど、私は身体の力が抜けていってしまい、もはやされるがままの状態だった。

「……琴里……俺と、ずっと一緒に居てくれるよな？」

　互いの息が上がり、一旦唇を解放してくれた律が私にそう問いかけてきたので私は、

「……うん、ずっと、一緒だよ……。一緒じゃなきゃ、嫌だもん」

　勿論イエスと答える。

『好き』

　その言葉を聞けた私は満足したけど、もう、言葉には拘らない。

　だって好きって気持ちは、言葉だけあればいいわけじゃないって事が分かったから。