身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 親が警察官で、彼も正義を守る警察官を目指すと発表会で言っていた。夢は白バイ隊員と語る彼の目は輝いていた。
 気が付いたときには、すっかり彼を好きになっていた。

***

 あのときもかっこよかったけど、今日もかっこよかった。
 はあ、とため息をついて思い出す。

 再会の原因は、雄聖が速度違反をしたからだ。
 スマホを見ると、彼からの連絡はまったくなかった。
 どういうつもりだろう。
 だが、あんなことをされたらもう一緒にいられない。

『今までありがとう。別れる』
 そうメッセージを送った。
 返信は夜になってもこなくて、その程度だったんだ、と香蓮はさらに落胆した。

 夜中、ベッドに横になってから静かに涙を流した。
 彼が自分とは釣り合ってないのはわかっていた。
 どのみち別れが訪れただろう。それが今日だっただけだ。
 土曜日で良かった。明日、腫れた目を同僚に見られなくて済むから。
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