身代わりから始まる恋 〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
恋の矢
日曜になっても雄聖からは連絡がなかった。
代わりのように知らない番号からメッセージが来て、驚いてなんども確認した。
『白葉澄玲です。よかったら今度会えないかな。心配だから』
これは警察官として? 個人として?
悩む。が、どちらにしろ彼は優しいからだろう。
『ありがとう。土日ならいつでもいいよ』
返事をしてから失敗を悟る。警察は土日休みではないはずだ。
だが結局、次の土曜の夜に会うことになった。
明けて月曜日、香蓮は暗澹たる気持ちで出勤した。
雄聖に会うのが気まずい。捨て台詞からして自分を恨んでいるかもしれない。
フロアに着くと、すでに彼は出勤していた。
雄聖が舞奈と仲良く話しているのを見て、胸がチクッと痛んだ。
舞奈は陽キャで、彼とはお似合いだ。前から仲が良かったし、自分と別れたあとはこのまま付き合うかもしれない。
「おはよ」
隣席の紅美佳に声をかける。
仲の良い彼女にはもう別れたことは伝えてある。
「おはよ。困ったことあったら言ってよ?」
「ありがとう」
雄聖とつきあっていたことは紅美佳にしか言っていないが、周りも察していたはずだ。しばらくは気を遣われるだろうと思うと、それも憂鬱だった。