身代わりから始まる恋 〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
雄聖は今日も車で営業に出た。
免停になったのではないのだろうか。
はらはらしたが、口を出す気にはなれなかった。
香蓮は知らなかったが、通常、通知は一カ月程度で送られる。だからまだ雄聖は免許停止の処分期間ではない。
「兎山さん、これ」
舞奈が書類を香蓮の机にばさっと投げつける。
「投げないでよ!」
唖然とする香蓮の横で久美香が怒る。
舞奈は返事もせずに立ち去った。
「感じ悪っ!」
紅美佳は椅子に座り直してこぼす。
それを発端として、舞奈からの当たりがきつくなった。前から若干きつかったが、さらにきつい。
そうして、ぎくしゃくとその週を過ごした。
土曜日の夜、香蓮はどきどきしながら待ち合わせの駅に着いた。
懐かしい同級生に会うだけだからと自分に言い聞かせるが、やはり男性に会うことに緊張した。
駅にはすでに彼が来ていた。
Tシャツにジーンズというラフな服装だった。白バイ隊員の制服を着ていたときのクールさはなりを潜め、ワイルドな雰囲気が漂っている。鍛えられた胸筋が服の上からでもわかったし、袖から覗く腕にもたくましい筋肉が見えた。
彼の後ろにファッションビルのポスターがあった。金の矢を弓につがえた恋の天使のイラストが描かれていてる。