身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 熱いまなざしに、香蓮は目を離せなくなった。
 なにか言わないと。
 そう思うのに、なにも言葉にならない。
 ただ彼の潤んだ瞳だけが、彼女の目に映る。

「香蓮!」
 鋭い声に、はっとそちらを見た。
 雄聖だった。隣には舞奈がいて香蓮をにらんでいる。
 澄玲は香蓮をかばうように前に出た。

「お前のくせに二股かよ」
 雄聖が毒づく。
「友達よ。私たち別れたじゃない」
「別れてねーよ! 謝って来るのを待ってたのに、これかよ!」
 香蓮は唖然とした。謝るべきことはしていない。彼だって今、女性と一緒なのに。自分が二股なら、彼だって二股だ。

「彼女が謝る必要はないはずだ」
「その声、あのときの白バイか!」
 言われた澄玲は表情を変えずに彼を見る。

「今日のこれは許してやるからさ、あの違反、なかったことにしてくれよ。俺、営業で運転が必須なんだよ」
 雄聖は急になれなれしくなった。

「できない」
 澄玲は断言した。が、雄聖はあきらめない。
「お前からも頼めよ」
 言われて、香蓮はぎゅっと口を結んだ。
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