身代わりから始まる恋 〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
思い出す度、香蓮の心臓に矢が刺さる。もう何本刺さったのか数えきれない。ハリネズミみたいになっているに違いない。
澄玲ばかりが気になって、出社後すぐに営業に出た雄聖のことは薄れてしまう。
恋に法定速度があるなら今の自分はスピード違反だ。こんなにあっという間に澄玲への恋に落ちるなんて。
ランチのときに紅美佳に話すと、彼女はにやにやと笑った。
「いいじゃんいいじゃん」
「よくないよ。迷惑かけてばっかりで」
「白い悪魔は白バイ警察官でした、かあ。本当につきあっちゃえ。好きなんでしょ?」
「無理だよ」
香蓮は絶望的にため息をつく。彼は正義感から守ろうとしてくれているだけだ。
「今度会ったら押し倒しちゃえ」
「できるわけないじゃん!」
物理的にも精神的にも無理だ。彼はたくましくて、押してもびくともしないに違いない。そもそも自分は男性との経験がないから、そんな状況に持っていけるとも思えない。
雄聖はそれも不満だっただろうな、と思う。誘われても香蓮はいつも、もう少し待ってほしいと断っていた。
雄聖を好きだった。だがそれはまだ淡く、二人で育てていきたいと思っていた。車で言うならゆっくり安全運転で。あんな形で事故を起こしたみたいに終焉を迎えるとは思わなかった。
再びため息をついたとき、スマホが鳴った。
ごめん、と断って見た次の瞬間、驚いて紅美佳を見た。
「今日、迎えに来てくれるって」
澄玲ばかりが気になって、出社後すぐに営業に出た雄聖のことは薄れてしまう。
恋に法定速度があるなら今の自分はスピード違反だ。こんなにあっという間に澄玲への恋に落ちるなんて。
ランチのときに紅美佳に話すと、彼女はにやにやと笑った。
「いいじゃんいいじゃん」
「よくないよ。迷惑かけてばっかりで」
「白い悪魔は白バイ警察官でした、かあ。本当につきあっちゃえ。好きなんでしょ?」
「無理だよ」
香蓮は絶望的にため息をつく。彼は正義感から守ろうとしてくれているだけだ。
「今度会ったら押し倒しちゃえ」
「できるわけないじゃん!」
物理的にも精神的にも無理だ。彼はたくましくて、押してもびくともしないに違いない。そもそも自分は男性との経験がないから、そんな状況に持っていけるとも思えない。
雄聖はそれも不満だっただろうな、と思う。誘われても香蓮はいつも、もう少し待ってほしいと断っていた。
雄聖を好きだった。だがそれはまだ淡く、二人で育てていきたいと思っていた。車で言うならゆっくり安全運転で。あんな形で事故を起こしたみたいに終焉を迎えるとは思わなかった。
再びため息をついたとき、スマホが鳴った。
ごめん、と断って見た次の瞬間、驚いて紅美佳を見た。
「今日、迎えに来てくれるって」