身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 香蓮が答えると、澄玲は甘く微笑した。
「俺には君が一番素敵だけどね」
 また、ずきゅんと胸が痛む。もう矢が刺さる余地はないはずなのに。このまま無限に刺さり続けるのだろうか。

「食事に行って、それからちょっと走りに行ってもいいか?」
「うん……でも」
 自分はスカートで、バイクに乗れるかっこうではない。
「あれサイドカーだから」
「サイドカー?」
 耳慣れない単語に首をかしげる。

 彼と一緒に近寄ると、バイクの横にBMWのマークが入った一人分の座席がついていた。屋根はない。
「車は持ってなくて。ごめん」
「大丈夫」
 ヘルメットを受け取って着ける。インカムがついていて、走行中でも彼と話しができるようだった。

 サイドカーにぎこちなく乗りこむ。
 狭くて地面が近かった。シートベルトがわからなくて戸惑っていると、彼がつけてくれた。
 彼が革ジャンを羽織ってバイク部分にまたがる。
 サイドカーは夜の迫る街を駆け抜けていった。



 まずは彼が探してくれたカジュアルレストランに向かう。
 駐車場ではサイドカーがバックをしたので驚いた。バックなんてできないと思っていた。
 楽しくおいしい食事を終えて出ると、香蓮は澄玲に頭を下げた。
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