身代わりから始まる恋 〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
「サイドカーなんて初めて。バイクは普段は乗らないの?」
「乗ってるよ。署によっては禁止のところもあるけど、うちは大丈夫だから」
平日のせいかほかには誰もおらず、それがさらに香蓮の鼓動を早くする。
暗がりに二人きりなんて、なにかあったらどうしよう。
期待なのか不安なのかわからない拍動がどんどん強くなっていく。
フェンスに寄ると、眼下に遮蔽物なく夜の街が広がった。
闇の中に小さな明かりがゆらめき、国道には車列のテイルランプが赤く光る。秩序があるようで無秩序にちらばる無数の光。山裾の闇との対比が面白くもあった。夜空は雲一つなく、月が煌々と照っている。
「きれいね」
「喜んでもらえて良かった」
顔を向けると微笑する彼が見えて、慌てて夜景に目を戻した。
「君とつきあうことができて浮かれちゃったよ」
なんでそんなこと言うんだろう。本当の恋人みたいなことを言わなくてもいいのに。
香蓮は痛む胸を押さえて目を伏せる。
「偽装恋人なんて、ごめんね」
「偽装?」
澄玲はけげんに聞き返す。
「私が元カレにつきまとわれそうだから、彼氏のふりをしてくれるんでしょ?」
「俺、一度も偽装なんて言ってないよな?」
確かにそうだけど、と香蓮は戸惑う。
「じゃあ、なんで?」
「君が好きだから」
断言され、一気に顔に血が上った。
「確かに急ぎすぎだな、とは思ったけど」
澄玲は頭を軽くかいた。
「乗ってるよ。署によっては禁止のところもあるけど、うちは大丈夫だから」
平日のせいかほかには誰もおらず、それがさらに香蓮の鼓動を早くする。
暗がりに二人きりなんて、なにかあったらどうしよう。
期待なのか不安なのかわからない拍動がどんどん強くなっていく。
フェンスに寄ると、眼下に遮蔽物なく夜の街が広がった。
闇の中に小さな明かりがゆらめき、国道には車列のテイルランプが赤く光る。秩序があるようで無秩序にちらばる無数の光。山裾の闇との対比が面白くもあった。夜空は雲一つなく、月が煌々と照っている。
「きれいね」
「喜んでもらえて良かった」
顔を向けると微笑する彼が見えて、慌てて夜景に目を戻した。
「君とつきあうことができて浮かれちゃったよ」
なんでそんなこと言うんだろう。本当の恋人みたいなことを言わなくてもいいのに。
香蓮は痛む胸を押さえて目を伏せる。
「偽装恋人なんて、ごめんね」
「偽装?」
澄玲はけげんに聞き返す。
「私が元カレにつきまとわれそうだから、彼氏のふりをしてくれるんでしょ?」
「俺、一度も偽装なんて言ってないよな?」
確かにそうだけど、と香蓮は戸惑う。
「じゃあ、なんで?」
「君が好きだから」
断言され、一気に顔に血が上った。
「確かに急ぎすぎだな、とは思ったけど」
澄玲は頭を軽くかいた。