身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 だから告白を受け入れた。
 会社は土日休みで、今までのデートは電車を利用していた。
 車でのお出かけは初めてだった。

 最近は香蓮への扱いが雑になってきたと感じていた。気を許してくれているのだと思おうとしていたが、運転の荒さからすると、雑なのが本当の彼かもしれない。

 下道からの合流を過ぎてしばらくした後。
 甲高いサイレンが響いてどきっとした。
 香蓮が左を見ると、白い悪魔……いや、白バイがいた。赤色灯が回転している。
 白バイは前に回り込み、左車線に寄るように雄聖にハンドサインを送る。

「やべえ、もう点数ないんだ。お前、身代わりになれよ」
 香蓮は目をしばたいて彼を見た。前は白バイを振り切るなんて言ったのに、とあさってなことを考える。
「無理よ。すぐにバレるわ」
「バレないって。向こうはノルマを果たせればいいんだよ。恋人なんだから身代わりくらい平気だよな」

 雄聖は白バイの指示に従って車を寄せ、広い待避所に止めた。
 直後、白バイ隊員の見てない間に香蓮を引っ張って運転席に移す。シートはコンソールに仕切られていないから可能だった。そのまま彼は助手席側のドアから外に出る。

 香蓮はどうしたらいいのかわからない。
 ちらりとドラレコを見る。白バイ隊員にこれを見せろと言われたらすべてがバレるだろう。
 とにかく降りたほうがいいのだろうか。
 迷いながら、バッグを持って運転席から降りる。

 白バイ隊員はバイクをミニバンの前に止め、降りていた。サングラスで表情はわからない。
 ヘルメットの横にはカメラがついていた。水色の制服に反射材のついた同色のベスト――これは万一の事故の際に身を守るプロテクターだ。左腰には警棒、右腰には拳銃。
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