身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 電話は迷惑だろうから、メッセージを作成する。
 なんども打ち間違えた。別れを告げる、それをどう表現したらいいのか。手が震える。好きなのに。心臓が切り裂かれるように激しく痛む。

「貸せよ!」
 雄聖がスマホを奪い、ささっと打ち込んで送信した。
「なにするのよ!」
 奪い返したスマホを見て愕然とした。

『お前みたいな不細工、別れる。ちょっと違反したくらい見逃さないなんて心が狭くてサイテー! お前なんか警察やめろ!』
 とうてい香蓮が思いつかない内容だった。
「ついでにブロックしておいてやった」
 香蓮は悔しくてうつむいた。澄玲という人質の前に、香蓮はなすすべもない。



 翌日もうんざりと仕事をして定時に帰ろうとした。
 なぜか雄聖がついてくる。
「ついてこないで」
「俺たちつきあってるのに?」
「つきあってない!」
「前はおとなしかったのに、それが本性か?」
 にやにやと雄聖が笑う。

「あなたに言われたくない」
 足早にビルの外に出て、驚いた。
 澄玲がいたからだ。
 ダークレッドのドゥカティのバイクのそばに立ち、いつかと同じようにTシャツにジーンズという軽装だった。
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