身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
白馬の王子様

***

 警察学校の文化祭当日は日曜日だった。
 警察学校に着いた香蓮の表情は、晴れた空とは対照的に暗かった。

 勝ち誇ったような雄聖が隣を歩く。
 一緒に来たくなどなかった。
 だが、彼に待ち伏せされ、仕方なく一緒に来た。
 振り切る方法などわかるはずもなく、腕を掴まれると怖くて仕方がなかった。

 警察学校は思ったより綺麗な建物だった。広々とした門の奥に、白く大きな建物がある。
 家族連れやカップルが笑いあいながら門をくぐっていく。
 警察学校内でクラブ活動として行われている陶芸や生け花、書道の展示が行われている。

 広場にはパトカーやレスキュー車、白バイなど、様々な警察車両が終結し、乗車体験イベントも行われていた。
 防犯を訴えるお芝居や、マジックショー、音楽隊の演奏も予定されている。

 外部からの出店で飲食店もあり、あちこちに行列があった。
 白バイのデモ走行は二輪の訓練コースを使って行われるということだった。

 香蓮は雄聖に連れられて、とぼとぼと歩く。
 幸か不幸か、最前列に陣取ることができた。

 アスファルトの訓練場に、たくさんの赤いパイロンが並べられている。一角が区切られていて、警察音楽隊がスタンバイしていた。
 午後二時、予定の時刻に放送がかかった。

「ただ今から交通機動隊の白バイによるデモンストレーションを行います。交通機動隊は日ごろからみなさまが安全に過ごせるようにパトロールを行い……」
 説明とともに八台の白バイが走って来た。
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