身代わりから始まる恋 　〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子！？〜
「ちげえよ！」
　雄聖が苛立った声で答える。
「香蓮を悪者にして最低よ。さっさと手を引いて舞奈と付き合いなさいよ」

「あんな尻軽そうな女、つきあうかよ」
　香蓮は目を丸くした。仲良のいい女性を尻軽と罵り、金を得ようと香蓮と付き合い、どういう精神構造をしているのだろう。
　考えるのも嫌で、香蓮は話を変えた。

「紅美佳、どうしてここに？」
「白バイの話を聞いて興味持っちゃって。調べたら今日、見られるっていうからさ」

　そこへ、大きなエンジン音とともに白バイが訪れた。
　澄玲だ、と気がつき、心臓にナイフを刺したような痛みが走った。
　簡易の柵の奥で、澄玲はスタンドを立ててバイクを止める。

「香蓮、来てくれてありがとう」
　雄聖が舌打ちするのが聞こえた。
「演技、すごかった。すごく練習したんでしょ？」
　香蓮は平然を装って答えた。

「何度もコケながら練習したよ」
　澄玲の口元が微笑を見せた。
「あんなしょぼい技でどや顔されてもな」
　ふん、と雄聖が鼻を鳴らす。
「大型バイクの免許も持ってないくせによく言えるね」
　紅美佳が挑発的に笑う。
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