身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
 ふん、と鼻を鳴らして、雄聖はすぐにスマホを操作する。
「やめて!」
 香蓮は慌てて止めに入る。
 が、雄聖はさっとメールを送ってしまった。

「これでもうお前は終わりだ!」
「どうしてそう思うのか、俺にはわからないんだが」
 澄玲は冷静に雄聖に言う。

「以前も言ったが、カメラですべて記録されている」
 澄玲はヘルメットの横のカメラを示す。

「彼女は一度も自分が運転していたとは言ってないが、あなたは彼女が運転していたと虚偽の証言をしている。今回の映像はその補足になるだろう。証拠の提供、感謝するよ。さらに、今回は警察官が罪を犯したと虚偽の内容で通報をした。虚偽告訴罪が発生する可能性がある。三カ月以上十年以下の懲役だ」

 彼の口元がニヤリと笑みを刻む。
 香蓮は悟った。どうしてか、彼は香蓮が脅されていることに気が付いていたのだ。

 そして今、澄玲は雄聖をはめたのだ。ドラレコのことは予想外にしても、雄聖から言わなかった場合には彼が話を誘導しただろう。
 隠すからこそ弱みになる。公になってしまえば脅迫の材料にはならない。
 なにも言ってないのに、彼は香蓮の窮状を悟って助けてくれた。
 香蓮の目に涙が浮かぶ。

「くそ! もとはと言えばお前が!」
 雄聖はつかみかかるが、澄玲はさっとよける。
「やめろ、罪を重ねるな」
 澄玲の声はあくまで冷静だ。

 雄聖はさらに怒りに顔をゆがめ、白バイを見た。
 いけない!
 とっさに香蓮は飛び出す。
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