身代わりから始まる恋 〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
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「女性に暴力を働いた男を追っている」
無線を聞いた隊員はすぐに動いた。
一部の隊員が観客を誘導して柵の内側に戻らせ、残りの隊員はバイクを出す。
澄玲が追う男性の前に、白バイが立ち塞がる。横へ逃げようとすると、そこにもまた白バイ。
誘導を終えた隊員も合流する。
雄聖は隙をついて逃げようとするが、白バイが円を描いて走り出し、逃がさない。
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白バイが一糸乱れず走る様に、観客からは拍手がわいた。
「ただいま、交通機動隊がサプライズで再びのデモ走行を開始いたしました。犯人役の男性を白バイで囲んでいます」
司会のアナウンスが流れる。
「本当に?」
紅美佳が驚いてこぼすが、香蓮には答えられない。
おそらくは嘘だ。観客に騒動を悟らせないため、アナウンスが機転を利かせたのだろう。あるいは澄玲がなにかを指示したのだろうか。
警察音楽隊のトランペット担当が、急に西部警察のテーマの独奏を始めた。
澄玲を除いた白バイは円を描いたまま蛇行を開始した。上から見たら、きっと花のような太陽のような、そんな形になっているに違いない。
雄聖は悔しそうに中心に立ち、隙を伺っている。
ぶおん、と一段と大きなエンジン音が響いた。
はっとそちらを見ると、澄玲が急加速していた。
白バイたちが蛇行をやめて大きめの円を描いて走る。