身代わりから始まる恋  〜白い悪魔の正体は甘くて優しい白馬の王子!?〜
「小学校卒業以来だな」
「驚いた。夢を叶えたのね」
「そうなんだ。今は交通機動隊所属」
 うれしそうに笑い、ヘルメットをかぶりなおす。

「兎山さんは今、なにをしてるの?」
「普通に会社員。夢もなにもなくて」
「地に足をつけて働いてるなんて素敵じゃないか」
 彼はにこやかに言う。

「あ……と、連絡先を教えてくれる?」
 どきっとした。
 が、彼に渡された仕事用ノートに、警察の仕事としてなんだ、と落胆した。

 なんでがっかりしてるの。
 恥ずかしくなりながら、名前と住所と電話番号を書く。
「後日、確認のために連絡することもあるから」
 香蓮はうなずく。
 タクシーが来るまで思い出を語り合い、懐かしさに浸った。



 家に帰った香蓮は、すぐさま自室に戻ってベッドに倒れ込んだ。
「まさかあんな形で白葉くんに会うなんて」
 どきどきが収まらない。
 彼は香蓮の初恋の人だった。
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