目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
第一章 異世界に続く穴に入っちゃった!
◇1 レミリアゼルド
目が覚めた。
ふかふかな、とっても気持ちいい布団。暖かい。
ぼーっと、機能しない頭の中がぐるぐると回ってる。……ん?
「……?」
……あれ? ここ病院、じゃない……とっても綺麗なお部屋だ。何というか……中世ヨーロッパの映画に、出てくるような……?
ここ、どこだろう……?
「……お嬢様!?」
「おっお嬢様っ!! お目覚めですか!!」
「……?」
慌てた声が聞こえる。女性2人……黒いワンピースに白いエプロン。まるで……どこかのお城のメイドさんみたい。
彼女達は、私を見て「お嬢様」と呼んだ。私の事を。
それから、大丈夫ですか、息苦しかったりしませんか、といきなり聞かれてしまって。彼女達は、こうしちゃいられないと一人はお医者様を呼ばなければと出て行ってしまった。
何が何だか分からず、私は大人しくしている事しか出来なかった。
ちょっと息苦しくはあったけど、これはいつもの事だったから我慢出来た。
「マリア!」
「奥様!」
次に来たのは、女性。ドレスのようなものを着ていて、周りには〝奥様〟と呼ばれていた。
長くてピンクの髪を降ろした綺麗な女の人。何というか、お姫様みたい。
「こ、こは?」
「ここはね、レミリアゼルドという星なの」
私のいるベッドの近くに用意された椅子に座った、奥様と呼ばれた女性が、そう言った。レミリアゼルド、星……星? じゃあ、地球とは、違うの?
「ここはね、私の屋敷なの。倒れていた貴方を見つけて保護したのよ」
「ほ、保護……」
私、倒れてたの? 病室にいたはずなのに。
地球じゃない、違う星で、私、倒れてたの……?
「私はメルティアナ・アドマンスよ。貴方の名前を、教えてほしいわ」
「奥村、菖です」
「もしかして、アヤメ、が名前かしら?」
「は、はい」
そちらとは逆のはずなのに、どうして分かったんだろう。まぁ、オクムラ、よりアヤメ、の方が名前っぽいから、かな?
彼女は、説明してくれた。ここは異世界で、私は偶然出現した二つの星が繋がった穴からこっちに来てしまったという事。
その穴がちょうどこのお屋敷の敷地内に繋がっていたため保護されたらしい。
ここと、私のいた病室が偶然繋がっちゃったって事?
そして、もう一つ教えてくれた事実。
「ママに、会えない、の……?」
地球には、戻れないという事。
その事実を聞いたら、ぽた……ぽた……と私の瞳から、涙の粒が頬を伝い布団を汚してしまっていた。
ママに、もう、会えない……
病弱で入院していた私の為に、何でもしてくれたママ。
私がいなくなって、ママはどうなっただろうか。
こんな事になるんだったら、せめて最後に、ありがとうとか、言いたかった。
それと同時に、どうしたらいいのか分からなくなった。この身一つでこっちに来てしまったから、いつも飲んでいる薬もないし、私の事をよく知る先生もいない。医療技術もどうなっているのか分からないし……
私、死んじゃうのかな。
そう、悟ってしまった。
そんな時、
ふわり。
暖かいものが私を包んだ。
「大丈夫、私もいるわ。だから、大丈夫よ」
「……」
彼女が、抱きしめてくれた。
ぽんぽん、背中を撫でてくれる。
涙が止まらない。
まるで、どんどん不安な心が晴れやかになっていくよう。
「……ありがとう、ございます」
「えぇ、慣れるのに時間がかかるかもしれないけど、私達に出来ることがあったら何でも言ってちょうだい」
周りにも、優しい者達がいるから安心して。そう言ってくれて。顔を少し上げると、周りにいたメイドさん達は、私に笑顔を向けてくれた。
……歓迎、してくれてるのかな?
それから、男性が入ってきた。70代くらいかな。こんにちは、と挨拶する人は、呼んでくださったこの国のお医者さんだそうだ。シモン先生というらしい。
問診などを受け、何かを考える様子を見せるお医者さん。
「少し難しいですが……やってみましょう」
「治るのね……!」
「まだ確定は出来ませんが、薬を調合して様子を診ましょう」
だいぶ驚いてしまって声も出なかった。無理、と言われると思っていたから。私はこちらとは違う患者。もしかしたら全く知らない病気なのでは? と予測していたのに、治るかもしれないという光が見えた。
嘘、ではなさそう。
「……えっ」
そんな時、私の目の前が光り出した。金色の光を放ち、粒粒の塊と一緒に……何かの小さな生物が3匹現れた。羽、生えてるし……何だろう。
「えっ!?」
「あ、の……」
「よっ妖精!?」
え、よ、妖精……!? 妖精って言ったら、ファ、ファンタジーでよく出てくる生物、だよね? とっても小さな人間、小人? みたいな羽の生えた子達。うん、何となく私の知ってる妖精みたい。
初めて見たから、信じられない。で、でも、目の前にいるわけだし……と思ったら、何かを持っていたようで。綺麗な白いお花がついた植物で作られた小さな花束を渡してくれた。何だろう、これ。でも、とっても綺麗。小さな花がいくつも付いてる。鈴蘭、みたいだけど、ちょっと違う?
「それっ!! トルトリカ草じゃないか!!」
とる、トルトリカ、草? お医者さんがこんなにびっくりしてるのだから、薬草か何か? でも、どんな薬草なんだろう。私にくれるみたいだけど……
「し、失礼しました。つい……それは、妖精の国に生息しているとされる薬草です。幻の薬草だと言われているのですが……まさか、ここでお目にかかれるとは……」
「幻、ですか……」
「アヤメちゃんの病気の、薬に使えるの?」
「それは勿論! 古い文献に使用方法が記載されていますから、その通りにすれば、確実に良くなる事でしょう」
耳を、疑ってしまった。
目の前には、ニコニコと笑顔を見せる妖精さん達。私のために、持ってきてくれた、って事かな?
「あ……ありが、とう、妖精さん……」
その言葉に、にっこりと微笑み、私の頬にキスをしてから光を放ち消えていってしまった。
治るんだ。
私の病気が、治るんだ。
どうしよう、嬉しいんだけど、信じられないというか……
ママ、ママ、私、治るんだって。やってみないと分からないみたいだけれど……
でも、きっと、これを聞いたら喜んでくれたはず。
「よろしく、お願いします」
「えぇ、最善を尽くしますよ」
病気が治ったら、やりたい事。
前、考えていたけれど、忘れちゃったな。
これから、考えればいっか。
「あの、アドマンスさん、」
「メルティアナ、でいいわ。ティア、でもいいわよ」
「あの、お世話になっちゃって……」
「いいのよいいのよ、ここは自分の家だと思っていいわ」
とっても、優しい人に出会えてよかった。
もしかしたら、そのまま誰にも見つけてもらえず死んでいたかもしれない。そう考えると、私はとても幸運だったんだ。
「これからよろしくね、アヤメちゃん」
「は、はい。よろしく、お願いします」
何か、恩返し、考えなきゃ。
と、思っていたら。夜熱を出してしまった。
いつも飲んでいる薬がないんだから、当然だよね。
「アヤメちゃん……アヤメちゃん……」
そう、手を握ってくれるメルティアナさん。汗を拭ってくれるメイドさん。おでこに乗せている濡れタオルを何度も替えてくれる。
熱くて、息苦しくて、でも握ってくれている手が少し冷たくて丁度良くて。何となく、ママと似ていて。
少しして、誰かが入ってきた。さっきのシモン先生かな、と思っていたら違う人だった。長い銀髪の男性。
「30分くらい前から熱が出ていて、中々下がってくれなくて……」
「病弱、だと聞きました」
「はい、でもどんな病気なのかまだ分かってないんです」
そう話しているメルティアナさんと、神官様と呼ばれる男性。すると、私のおでこに彼の冷たい手が乗せられた。それから、少しずつだけど熱いのが下がっていっている感覚がして。息苦しさも少しだけど治まってきている感じがする。
「病名が分からない以上、熱が治まるまで神聖力を施す事になるでしょう。ですが、これはあくまでその場しのぎという事になってしまいます」
「そう、ですか……今、診てくれるお医者さんを呼んでいますので……」
そんなメルティアナさんと神官様の会話を何となく聞いていた所でだんだん眠くなってきてしまい。
「……アヤメちゃん? アヤメちゃん!」
だんだん瞼が重くなってきて、意識が下に落ちていった感覚がした。
ふかふかな、とっても気持ちいい布団。暖かい。
ぼーっと、機能しない頭の中がぐるぐると回ってる。……ん?
「……?」
……あれ? ここ病院、じゃない……とっても綺麗なお部屋だ。何というか……中世ヨーロッパの映画に、出てくるような……?
ここ、どこだろう……?
「……お嬢様!?」
「おっお嬢様っ!! お目覚めですか!!」
「……?」
慌てた声が聞こえる。女性2人……黒いワンピースに白いエプロン。まるで……どこかのお城のメイドさんみたい。
彼女達は、私を見て「お嬢様」と呼んだ。私の事を。
それから、大丈夫ですか、息苦しかったりしませんか、といきなり聞かれてしまって。彼女達は、こうしちゃいられないと一人はお医者様を呼ばなければと出て行ってしまった。
何が何だか分からず、私は大人しくしている事しか出来なかった。
ちょっと息苦しくはあったけど、これはいつもの事だったから我慢出来た。
「マリア!」
「奥様!」
次に来たのは、女性。ドレスのようなものを着ていて、周りには〝奥様〟と呼ばれていた。
長くてピンクの髪を降ろした綺麗な女の人。何というか、お姫様みたい。
「こ、こは?」
「ここはね、レミリアゼルドという星なの」
私のいるベッドの近くに用意された椅子に座った、奥様と呼ばれた女性が、そう言った。レミリアゼルド、星……星? じゃあ、地球とは、違うの?
「ここはね、私の屋敷なの。倒れていた貴方を見つけて保護したのよ」
「ほ、保護……」
私、倒れてたの? 病室にいたはずなのに。
地球じゃない、違う星で、私、倒れてたの……?
「私はメルティアナ・アドマンスよ。貴方の名前を、教えてほしいわ」
「奥村、菖です」
「もしかして、アヤメ、が名前かしら?」
「は、はい」
そちらとは逆のはずなのに、どうして分かったんだろう。まぁ、オクムラ、よりアヤメ、の方が名前っぽいから、かな?
彼女は、説明してくれた。ここは異世界で、私は偶然出現した二つの星が繋がった穴からこっちに来てしまったという事。
その穴がちょうどこのお屋敷の敷地内に繋がっていたため保護されたらしい。
ここと、私のいた病室が偶然繋がっちゃったって事?
そして、もう一つ教えてくれた事実。
「ママに、会えない、の……?」
地球には、戻れないという事。
その事実を聞いたら、ぽた……ぽた……と私の瞳から、涙の粒が頬を伝い布団を汚してしまっていた。
ママに、もう、会えない……
病弱で入院していた私の為に、何でもしてくれたママ。
私がいなくなって、ママはどうなっただろうか。
こんな事になるんだったら、せめて最後に、ありがとうとか、言いたかった。
それと同時に、どうしたらいいのか分からなくなった。この身一つでこっちに来てしまったから、いつも飲んでいる薬もないし、私の事をよく知る先生もいない。医療技術もどうなっているのか分からないし……
私、死んじゃうのかな。
そう、悟ってしまった。
そんな時、
ふわり。
暖かいものが私を包んだ。
「大丈夫、私もいるわ。だから、大丈夫よ」
「……」
彼女が、抱きしめてくれた。
ぽんぽん、背中を撫でてくれる。
涙が止まらない。
まるで、どんどん不安な心が晴れやかになっていくよう。
「……ありがとう、ございます」
「えぇ、慣れるのに時間がかかるかもしれないけど、私達に出来ることがあったら何でも言ってちょうだい」
周りにも、優しい者達がいるから安心して。そう言ってくれて。顔を少し上げると、周りにいたメイドさん達は、私に笑顔を向けてくれた。
……歓迎、してくれてるのかな?
それから、男性が入ってきた。70代くらいかな。こんにちは、と挨拶する人は、呼んでくださったこの国のお医者さんだそうだ。シモン先生というらしい。
問診などを受け、何かを考える様子を見せるお医者さん。
「少し難しいですが……やってみましょう」
「治るのね……!」
「まだ確定は出来ませんが、薬を調合して様子を診ましょう」
だいぶ驚いてしまって声も出なかった。無理、と言われると思っていたから。私はこちらとは違う患者。もしかしたら全く知らない病気なのでは? と予測していたのに、治るかもしれないという光が見えた。
嘘、ではなさそう。
「……えっ」
そんな時、私の目の前が光り出した。金色の光を放ち、粒粒の塊と一緒に……何かの小さな生物が3匹現れた。羽、生えてるし……何だろう。
「えっ!?」
「あ、の……」
「よっ妖精!?」
え、よ、妖精……!? 妖精って言ったら、ファ、ファンタジーでよく出てくる生物、だよね? とっても小さな人間、小人? みたいな羽の生えた子達。うん、何となく私の知ってる妖精みたい。
初めて見たから、信じられない。で、でも、目の前にいるわけだし……と思ったら、何かを持っていたようで。綺麗な白いお花がついた植物で作られた小さな花束を渡してくれた。何だろう、これ。でも、とっても綺麗。小さな花がいくつも付いてる。鈴蘭、みたいだけど、ちょっと違う?
「それっ!! トルトリカ草じゃないか!!」
とる、トルトリカ、草? お医者さんがこんなにびっくりしてるのだから、薬草か何か? でも、どんな薬草なんだろう。私にくれるみたいだけど……
「し、失礼しました。つい……それは、妖精の国に生息しているとされる薬草です。幻の薬草だと言われているのですが……まさか、ここでお目にかかれるとは……」
「幻、ですか……」
「アヤメちゃんの病気の、薬に使えるの?」
「それは勿論! 古い文献に使用方法が記載されていますから、その通りにすれば、確実に良くなる事でしょう」
耳を、疑ってしまった。
目の前には、ニコニコと笑顔を見せる妖精さん達。私のために、持ってきてくれた、って事かな?
「あ……ありが、とう、妖精さん……」
その言葉に、にっこりと微笑み、私の頬にキスをしてから光を放ち消えていってしまった。
治るんだ。
私の病気が、治るんだ。
どうしよう、嬉しいんだけど、信じられないというか……
ママ、ママ、私、治るんだって。やってみないと分からないみたいだけれど……
でも、きっと、これを聞いたら喜んでくれたはず。
「よろしく、お願いします」
「えぇ、最善を尽くしますよ」
病気が治ったら、やりたい事。
前、考えていたけれど、忘れちゃったな。
これから、考えればいっか。
「あの、アドマンスさん、」
「メルティアナ、でいいわ。ティア、でもいいわよ」
「あの、お世話になっちゃって……」
「いいのよいいのよ、ここは自分の家だと思っていいわ」
とっても、優しい人に出会えてよかった。
もしかしたら、そのまま誰にも見つけてもらえず死んでいたかもしれない。そう考えると、私はとても幸運だったんだ。
「これからよろしくね、アヤメちゃん」
「は、はい。よろしく、お願いします」
何か、恩返し、考えなきゃ。
と、思っていたら。夜熱を出してしまった。
いつも飲んでいる薬がないんだから、当然だよね。
「アヤメちゃん……アヤメちゃん……」
そう、手を握ってくれるメルティアナさん。汗を拭ってくれるメイドさん。おでこに乗せている濡れタオルを何度も替えてくれる。
熱くて、息苦しくて、でも握ってくれている手が少し冷たくて丁度良くて。何となく、ママと似ていて。
少しして、誰かが入ってきた。さっきのシモン先生かな、と思っていたら違う人だった。長い銀髪の男性。
「30分くらい前から熱が出ていて、中々下がってくれなくて……」
「病弱、だと聞きました」
「はい、でもどんな病気なのかまだ分かってないんです」
そう話しているメルティアナさんと、神官様と呼ばれる男性。すると、私のおでこに彼の冷たい手が乗せられた。それから、少しずつだけど熱いのが下がっていっている感覚がして。息苦しさも少しだけど治まってきている感じがする。
「病名が分からない以上、熱が治まるまで神聖力を施す事になるでしょう。ですが、これはあくまでその場しのぎという事になってしまいます」
「そう、ですか……今、診てくれるお医者さんを呼んでいますので……」
そんなメルティアナさんと神官様の会話を何となく聞いていた所でだんだん眠くなってきてしまい。
「……アヤメちゃん? アヤメちゃん!」
だんだん瞼が重くなってきて、意識が下に落ちていった感覚がした。
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