目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
第二章 どうして異世界にこんなモノが!?
◇10 冷ややっこ
それは、とある昼食での事だった。
出てきたのだ、あの料理が。いや、食材と言ったほうがいいのだろうか。
「んっ!?」
「えっアっアヤメちゃんっ!?」
「如何いたしました!?」
お皿に乗っていた、四角くて白い物体。何か黒っぽいような、オレンジ色のソースがかかってて、なにか野菜みたいなのが小さくカットされているものが上にちょこんと乗っている。スプーンで食べるみたい。そーっとスプーンを入れてみたら、案外簡単に掬えて、何かに似てるなと思った。そして、食べてみたら……
「お豆腐!!」
しかもこれ絹豆腐だ! そしてこの味、このソースの味はよく知ってる。そう、生まれてからずっと食べてきた味。お醤油だ! でも、どうしてここで出てくるの!?
ここに来てから、全然違った味のする料理ばかりだった。美味しい、とは言えないものばかりだった。だから余計に今まで地球で食べてきたものが恋しくなっちゃっていたんだけど、まさかここで冷ややっことご対面できるなんて!!
「驚かれましたか? お嬢様」
「え?」
話しかけてきたのは、ここの屋敷のコックさん。
「最近、スフェーン王国の貴族様がこの国に店を開店したと耳にしませんでしたか?」
「あぁ、確かに聞いたわ。特産品と一緒に、簡単な食事処も開いたって」
「えぇ。試しに足を運んでみたのですが、驚くことに〝箸〟というものを見つけましてな」
「お箸!?」
「そういえば、お嬢様の故郷ではそういったものを使っていると聞いたような、と思い出しましてね。ですのでそこで〝豆腐〟と〝醤油〟と呼ばれる食材と調味料を購入し本日の食事に出させていただいた次第でございます」
ついこの前、コックさんや厨房の人達と楽しくおしゃべりをした。その時に私の故郷の食事について聞きたいと言われ色々と教えてあげたのだ。それを覚えていたのね。
けど、本当にびっくりした。というより、何かが込み上げてきた感じがして。知らず知らずに涙が出てきてしまっていた。
今までは、何にも考えず、当たり前のように食べていた食事。でも、こっちに来て食べられなくなってしまった事に悲しさがあって。当たり前のものがなくなってしまった時の気持ちって、なってみないと分からない。
もうちょっと、味わって食べればよかったって、思っちゃってた。
それなのに、また食べる機会が出来た。
「良かったわね、アヤメちゃん」
「はぃっ……」
周りの人が心配しちゃうから、早く泣き止みたいのに、一口一口食べ進める度涙が出てきてしまって。しょっぱくなっちゃわないよう気を付けていても、それでも少ししょっぱく感じちゃって。
嬉しくて、嬉しくて、仕方なかった。
「確か、スフェーン王国は80年前だったかしら。異世界人が現れて保護したのよね」
「はい、そこから劇的に料理文化が進化していったと聞いております。料理大国、と言われるほどですからね」
「もしかしたら、アヤメちゃんと同じ故郷の人だったのかもしれないわね」
そっか、この味を作り出せることが出来るって事はその味をよく知ってるって事だ。じゃあ、もしかしたら、同じ〝地球〟から来た人なのかもしれない。そして、もしかしたら……私と同じ国の人なのかも。
「でしたら、今日の夕食にもあのお店のものをお出ししましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「いいんですよ、お嬢様が喜んでくださっただけで、私達は嬉しく思います」
そっか、私の知っている料理が、食べられるんだ。
嬉しい、とっても、嬉しい。
そのお店の食事処も、今度お母様が連れてってくれるようで。その日が、とても楽しみだ。
その後、私はコックさんとお母様と日本食についていっぱい話をした。
お醤油の他にも、味噌、みりんなどの調味料があって。私の住んでいた日本には一番重要な主食である〝米〟と言われる食材がある事。
あと、魚を生で食べる文化についてはびっくりされた。こちらでは、火の入ったものしか食事に出てこなかったから、もしかしてと思ったけれどやっぱりそうだった。
私の話す食材達は、お店で見かけたものがちらほらあったそうだ。醤油、豆腐の他に、味噌、みりん、のり、緑茶だ。そして……
「あったんですか! 梅干し!」
「えぇ、赤くて丸くしぼんだものですよね」
「そうです!」
聞きました! 皆さん! 梅干しがあるんですって! 日本人なら一度は食べた事があるあの梅干しですよ! 苦手な人もいたりするけれど、私は大好きです! 日の丸弁当はちょっと勘弁だけどね。あはは。
「アヤメちゃんの大好物?」
「とっても酸っぱいんですけど、ご飯と一緒に食べるととっても美味しいんです!」
「ご飯?」
「白く粒々したものなんですけど、私達日本人の食事には主食にご飯が基本だったんです」
コックさんは、お米はお店で見かけなかったと言っていて。あ、でも炊くのは大変だもんね。炊飯器がないと私も出来ないし。残念だけど仕方ないよね。
その日の夜、誰から聞きつけたのか、王宮から帰ってきたお父様は何だか楽しそうで。待ってましたと言わんばかりに夕食で出た冷ややっこをまじまじと見ていて。
「ほぉ、これがアヤメの故郷の味か」
「美味しいでしょう? 私気に入っちゃったわ!」
梅干しと野菜の和え物も出てきた。さっぱりしててとっても美味しい。きっとお店の人に教えてもらったのね。お母様達を見てみると、梅干しは苦手じゃないみたい。よかった。うん、美味しい。
「明日、食事に〝うどん〟を出してくれるそうよ」
「えっ!?」
「期待してて、ですって」
「ほぉ、それは楽しみだな」
コックさん、ありがとうございます!!
出てきたのだ、あの料理が。いや、食材と言ったほうがいいのだろうか。
「んっ!?」
「えっアっアヤメちゃんっ!?」
「如何いたしました!?」
お皿に乗っていた、四角くて白い物体。何か黒っぽいような、オレンジ色のソースがかかってて、なにか野菜みたいなのが小さくカットされているものが上にちょこんと乗っている。スプーンで食べるみたい。そーっとスプーンを入れてみたら、案外簡単に掬えて、何かに似てるなと思った。そして、食べてみたら……
「お豆腐!!」
しかもこれ絹豆腐だ! そしてこの味、このソースの味はよく知ってる。そう、生まれてからずっと食べてきた味。お醤油だ! でも、どうしてここで出てくるの!?
ここに来てから、全然違った味のする料理ばかりだった。美味しい、とは言えないものばかりだった。だから余計に今まで地球で食べてきたものが恋しくなっちゃっていたんだけど、まさかここで冷ややっことご対面できるなんて!!
「驚かれましたか? お嬢様」
「え?」
話しかけてきたのは、ここの屋敷のコックさん。
「最近、スフェーン王国の貴族様がこの国に店を開店したと耳にしませんでしたか?」
「あぁ、確かに聞いたわ。特産品と一緒に、簡単な食事処も開いたって」
「えぇ。試しに足を運んでみたのですが、驚くことに〝箸〟というものを見つけましてな」
「お箸!?」
「そういえば、お嬢様の故郷ではそういったものを使っていると聞いたような、と思い出しましてね。ですのでそこで〝豆腐〟と〝醤油〟と呼ばれる食材と調味料を購入し本日の食事に出させていただいた次第でございます」
ついこの前、コックさんや厨房の人達と楽しくおしゃべりをした。その時に私の故郷の食事について聞きたいと言われ色々と教えてあげたのだ。それを覚えていたのね。
けど、本当にびっくりした。というより、何かが込み上げてきた感じがして。知らず知らずに涙が出てきてしまっていた。
今までは、何にも考えず、当たり前のように食べていた食事。でも、こっちに来て食べられなくなってしまった事に悲しさがあって。当たり前のものがなくなってしまった時の気持ちって、なってみないと分からない。
もうちょっと、味わって食べればよかったって、思っちゃってた。
それなのに、また食べる機会が出来た。
「良かったわね、アヤメちゃん」
「はぃっ……」
周りの人が心配しちゃうから、早く泣き止みたいのに、一口一口食べ進める度涙が出てきてしまって。しょっぱくなっちゃわないよう気を付けていても、それでも少ししょっぱく感じちゃって。
嬉しくて、嬉しくて、仕方なかった。
「確か、スフェーン王国は80年前だったかしら。異世界人が現れて保護したのよね」
「はい、そこから劇的に料理文化が進化していったと聞いております。料理大国、と言われるほどですからね」
「もしかしたら、アヤメちゃんと同じ故郷の人だったのかもしれないわね」
そっか、この味を作り出せることが出来るって事はその味をよく知ってるって事だ。じゃあ、もしかしたら、同じ〝地球〟から来た人なのかもしれない。そして、もしかしたら……私と同じ国の人なのかも。
「でしたら、今日の夕食にもあのお店のものをお出ししましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「いいんですよ、お嬢様が喜んでくださっただけで、私達は嬉しく思います」
そっか、私の知っている料理が、食べられるんだ。
嬉しい、とっても、嬉しい。
そのお店の食事処も、今度お母様が連れてってくれるようで。その日が、とても楽しみだ。
その後、私はコックさんとお母様と日本食についていっぱい話をした。
お醤油の他にも、味噌、みりんなどの調味料があって。私の住んでいた日本には一番重要な主食である〝米〟と言われる食材がある事。
あと、魚を生で食べる文化についてはびっくりされた。こちらでは、火の入ったものしか食事に出てこなかったから、もしかしてと思ったけれどやっぱりそうだった。
私の話す食材達は、お店で見かけたものがちらほらあったそうだ。醤油、豆腐の他に、味噌、みりん、のり、緑茶だ。そして……
「あったんですか! 梅干し!」
「えぇ、赤くて丸くしぼんだものですよね」
「そうです!」
聞きました! 皆さん! 梅干しがあるんですって! 日本人なら一度は食べた事があるあの梅干しですよ! 苦手な人もいたりするけれど、私は大好きです! 日の丸弁当はちょっと勘弁だけどね。あはは。
「アヤメちゃんの大好物?」
「とっても酸っぱいんですけど、ご飯と一緒に食べるととっても美味しいんです!」
「ご飯?」
「白く粒々したものなんですけど、私達日本人の食事には主食にご飯が基本だったんです」
コックさんは、お米はお店で見かけなかったと言っていて。あ、でも炊くのは大変だもんね。炊飯器がないと私も出来ないし。残念だけど仕方ないよね。
その日の夜、誰から聞きつけたのか、王宮から帰ってきたお父様は何だか楽しそうで。待ってましたと言わんばかりに夕食で出た冷ややっこをまじまじと見ていて。
「ほぉ、これがアヤメの故郷の味か」
「美味しいでしょう? 私気に入っちゃったわ!」
梅干しと野菜の和え物も出てきた。さっぱりしててとっても美味しい。きっとお店の人に教えてもらったのね。お母様達を見てみると、梅干しは苦手じゃないみたい。よかった。うん、美味しい。
「明日、食事に〝うどん〟を出してくれるそうよ」
「えっ!?」
「期待してて、ですって」
「ほぉ、それは楽しみだな」
コックさん、ありがとうございます!!