目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇106 省エネは大事!
次の日。
【クローバー】の製作を進めていたけれど、全然集中できなかった。
タクミとナナミちゃん、大丈夫かな。何か困った事になってないかな。酷い事言われてないかな。ずっとそれだけが頭の中にあって。
その日一日はずっといまひとつ身が入らなかった。
「ちょっと王宮行ってきましょうか」
「ま、待ってくださいお母様、何をしに行くんですか……?」
「だってぇ、私の可愛い可愛いアヤメちゃんにこんな顔させるのよ?」
一体王様に何を言いに行くのだろうか。ちょっと、いやだいぶ恐ろしくなり頑張って押さえた。まぁ王城に行ってしまったとしても王城にいらっしゃるお父様達が止めて下さったかもしれないけれど。
そしてその日の夜、何か聞いたかもしれないお父様の元へ急いだ。
「一日だけ、城の者達全員の昼食を作れと言われたようだ」
「え……」
ちゅ、昼食……? し、しかも、王城の人達全員!? じゃあ一体何人前を作る事になるの!?
「日頃の働きの評価を称え城の者達への褒美に、だそうだ。まぁきっと、何らかの思惑があるのだろうが……まぁ心配する事は無いだろう」
そ、そっかぁ……まぁ、あの二人なら大丈夫、かな……この前サミットで王城の厨房使わせてもらって料理人さん達とお仕事したし……でも、大丈夫、かなぁ……
とは言ったものの、私は何もやれることは一切ないんだけどね。
今私のやるべきことと言えば……
「では行ってきます、お母様!」
「えぇ、くれぐれも気を付けてね。決して無理はせず、体調が悪くなったらすぐにマリアに言うのよ」
「はい!」
今日は、とある場所に向かう事になっています。実は、タクミと別荘に行った帰りにお願いしていた魔道具が完成したのです。前からゴム手袋は販売準備は進められてきていたんだけど、これは魔道具の洗濯機と一緒に売り出そうと考えていた。
そして、今回はレストリス侯爵様の商会で売り出すつもりはない。
「お初にお目にかかります、アヤメ・アドマンスご令嬢」
「初めまして、ラレスティ商会長。お会いできて嬉しいです」
この国の商会のうちの一つであるラレスティ商会だ。とは言っても、レストリス商会とは違い、お客様は貴族ではなく平民、一般人だ。
どうして貴族の方々御用達のレストリス商会ではないのか、それは洗濯機を使う者達が貴族ではないからだ。
今まで作ってきたもの。装飾品も貴族の女性達がお買い求めされていたし、お手紙も平民の皆さんも利用できるけれど貴族の皆さんの利用が多い。炊飯器だって使うのは料理人の人達ではあってもご飯を食べるのは貴族達だ。
でも、洗濯物を洗うのは使用人達の仕事。それは当たり前の事だ。今まで手洗いでやってきたのだから今まで通りにすればいい、わざわざ魔石を使って魔道具を使用せずともいいだろう。そういう考えの貴族達がこの国には多いらしい。
勿論、お母様達のように違う考えの人達もいるけれど。
だから、お客さんを平民の皆さんに向ける事にした。
屋敷で使われるような大きなものでなくてもいい為、家庭用の小さな洗濯機、そして今回はこんな細工をしてみた。
「まさか一回使用するのにこれだけの魔力で済んでしまうとは、実に驚きです」
「気に入ってくださるといいんですけど」
「気に入るなんてものじゃありません! ここまで考えられている魔道具は、きっと皆重宝する事でしょう。我々平民は、洗濯は一日に一回以上する作業です。それを魔道具が代わりにしてくれるとなれば、どれだけ楽な事か!」
そう、所謂〝省エネ〟だ。少ない魔力量で洗濯が出来るようにロレンさんに開発してもらった。
一般人にとって魔道具は生活に欠かせない道具だ。料理に掃除に明かりにと家の中には様々な魔道具で溢れている事だろう。
とは言っても、それを動かす魔石は決して安いわけではない。だから少ない魔力で動かすことが出来ないだろうかと考えた。
売れるかどうかはやってみないと分からないけれど、とりあえず平民の皆さんの苦労が軽減される事を祈って。そしてその洗濯機の使い心地をカーネリアンに広めて頂けると嬉しいです。貴族の皆さんの耳に入ってくれるといいんだけどなぁ。
とりあえずの値段で商会と契約することが出来た。あと、ゴム手袋もだ。手の大きさ、そして腕の部分の長さが違う何種類かを用意したんだけど、どうだろうか。屋敷の使用人さん達はもう絶賛していたけれどね。
後日、ラレスティ商会長からお手紙が来た。
洗濯機とゴム手袋の追加仕入れのお願いの手紙だった。契約後、そちらのお店に沢山商品を運んでおいたのに、もう全部売れてしまったようだ。結構あったのに、まさかこの数日間で全部売れてしまうとは。
特に、ゴム手袋はもう馬鹿売れらしい。確かに作業するにあたって手袋があるのであれば安全だ。それに少し安めの値段設定をしておいたから皆さん買いやすいのだと思う。
洗濯機も、一般人の手の届く値段設定にしているからきっとこっちも買いやすかったんだと思う。
え、赤字? そりゃ勿論赤字覚悟に決まってるでしょ。でも私色々な所で収益が出ているので大丈夫だしもっと買う人達が出てくると黒字になってくるだろうから大丈夫!
これで、カーネリアンの国民達の役に立てたかな? 皆さんどうぞ沢山使って下さい!
【クローバー】の製作を進めていたけれど、全然集中できなかった。
タクミとナナミちゃん、大丈夫かな。何か困った事になってないかな。酷い事言われてないかな。ずっとそれだけが頭の中にあって。
その日一日はずっといまひとつ身が入らなかった。
「ちょっと王宮行ってきましょうか」
「ま、待ってくださいお母様、何をしに行くんですか……?」
「だってぇ、私の可愛い可愛いアヤメちゃんにこんな顔させるのよ?」
一体王様に何を言いに行くのだろうか。ちょっと、いやだいぶ恐ろしくなり頑張って押さえた。まぁ王城に行ってしまったとしても王城にいらっしゃるお父様達が止めて下さったかもしれないけれど。
そしてその日の夜、何か聞いたかもしれないお父様の元へ急いだ。
「一日だけ、城の者達全員の昼食を作れと言われたようだ」
「え……」
ちゅ、昼食……? し、しかも、王城の人達全員!? じゃあ一体何人前を作る事になるの!?
「日頃の働きの評価を称え城の者達への褒美に、だそうだ。まぁきっと、何らかの思惑があるのだろうが……まぁ心配する事は無いだろう」
そ、そっかぁ……まぁ、あの二人なら大丈夫、かな……この前サミットで王城の厨房使わせてもらって料理人さん達とお仕事したし……でも、大丈夫、かなぁ……
とは言ったものの、私は何もやれることは一切ないんだけどね。
今私のやるべきことと言えば……
「では行ってきます、お母様!」
「えぇ、くれぐれも気を付けてね。決して無理はせず、体調が悪くなったらすぐにマリアに言うのよ」
「はい!」
今日は、とある場所に向かう事になっています。実は、タクミと別荘に行った帰りにお願いしていた魔道具が完成したのです。前からゴム手袋は販売準備は進められてきていたんだけど、これは魔道具の洗濯機と一緒に売り出そうと考えていた。
そして、今回はレストリス侯爵様の商会で売り出すつもりはない。
「お初にお目にかかります、アヤメ・アドマンスご令嬢」
「初めまして、ラレスティ商会長。お会いできて嬉しいです」
この国の商会のうちの一つであるラレスティ商会だ。とは言っても、レストリス商会とは違い、お客様は貴族ではなく平民、一般人だ。
どうして貴族の方々御用達のレストリス商会ではないのか、それは洗濯機を使う者達が貴族ではないからだ。
今まで作ってきたもの。装飾品も貴族の女性達がお買い求めされていたし、お手紙も平民の皆さんも利用できるけれど貴族の皆さんの利用が多い。炊飯器だって使うのは料理人の人達ではあってもご飯を食べるのは貴族達だ。
でも、洗濯物を洗うのは使用人達の仕事。それは当たり前の事だ。今まで手洗いでやってきたのだから今まで通りにすればいい、わざわざ魔石を使って魔道具を使用せずともいいだろう。そういう考えの貴族達がこの国には多いらしい。
勿論、お母様達のように違う考えの人達もいるけれど。
だから、お客さんを平民の皆さんに向ける事にした。
屋敷で使われるような大きなものでなくてもいい為、家庭用の小さな洗濯機、そして今回はこんな細工をしてみた。
「まさか一回使用するのにこれだけの魔力で済んでしまうとは、実に驚きです」
「気に入ってくださるといいんですけど」
「気に入るなんてものじゃありません! ここまで考えられている魔道具は、きっと皆重宝する事でしょう。我々平民は、洗濯は一日に一回以上する作業です。それを魔道具が代わりにしてくれるとなれば、どれだけ楽な事か!」
そう、所謂〝省エネ〟だ。少ない魔力量で洗濯が出来るようにロレンさんに開発してもらった。
一般人にとって魔道具は生活に欠かせない道具だ。料理に掃除に明かりにと家の中には様々な魔道具で溢れている事だろう。
とは言っても、それを動かす魔石は決して安いわけではない。だから少ない魔力で動かすことが出来ないだろうかと考えた。
売れるかどうかはやってみないと分からないけれど、とりあえず平民の皆さんの苦労が軽減される事を祈って。そしてその洗濯機の使い心地をカーネリアンに広めて頂けると嬉しいです。貴族の皆さんの耳に入ってくれるといいんだけどなぁ。
とりあえずの値段で商会と契約することが出来た。あと、ゴム手袋もだ。手の大きさ、そして腕の部分の長さが違う何種類かを用意したんだけど、どうだろうか。屋敷の使用人さん達はもう絶賛していたけれどね。
後日、ラレスティ商会長からお手紙が来た。
洗濯機とゴム手袋の追加仕入れのお願いの手紙だった。契約後、そちらのお店に沢山商品を運んでおいたのに、もう全部売れてしまったようだ。結構あったのに、まさかこの数日間で全部売れてしまうとは。
特に、ゴム手袋はもう馬鹿売れらしい。確かに作業するにあたって手袋があるのであれば安全だ。それに少し安めの値段設定をしておいたから皆さん買いやすいのだと思う。
洗濯機も、一般人の手の届く値段設定にしているからきっとこっちも買いやすかったんだと思う。
え、赤字? そりゃ勿論赤字覚悟に決まってるでしょ。でも私色々な所で収益が出ているので大丈夫だしもっと買う人達が出てくると黒字になってくるだろうから大丈夫!
これで、カーネリアンの国民達の役に立てたかな? 皆さんどうぞ沢山使って下さい!