目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇14 和食事業
後日、ここアドマンス公爵邸にお客さんが来訪していた。お母様と、私と、お父様でお出迎えしたのだ。
お仕事は? と思ったけれど、休んできたそう。
「遠路はるばるありがとう」
「いえ、何とも魅力的なお話を頂けて、この日を待ち望んでおりましたから」
「はは、私も今日お会いできて光栄だよ」
お父様より少し若い男性と、【お食事処・なかむら】のナナミちゃん、タクミ君が来たのだ。顔が似ているからもしかして、と思ったら正解で。2人のお父様だった。容姿はナナミちゃんのように茶髪で黒い瞳の日本人顔だ。
彼から、異世界人である二人のお爺さんの話をしてくれた。
兄妹の祖父で異世界人、そして日本人でもある中村裕孝さんは最初こちらに来た時、とある食堂の方に拾ってもらいそこでお手伝いをすることになったという。料理上手だった彼の作る料理は瞬く間に人気が出たそう。
過ごしていく内に、地球の料理が恋しくなってしまったそうで。だから実現させるために試行錯誤して醤油などの調味料や食材などを作り上げていったそう。それから色々あり、王宮の料理人にまでなってしまい男爵位まで貰っちゃったそうだ。
そして今でも、王宮で鍋を振るっているようで。しかも、御年106歳! その歳でもまだ厨房に立ってるなんて、凄すぎる。何とも元気なお爺ちゃんである。
これで謎が解けた!
「父も、ご令嬢の話を聞き喜んでいましたよ。きっといきなりの事で戸惑う事もあるだろうから、何かあれば言ってくれ、とも」
あとこれを、と渡されたもの。それは小さな木箱だった。開けてもいいでしょうか、と聞き了承を得てパカっと開けてみた。中には……
「お守りだ……」
「コウツウアンゼン? と言っていました。少し違うが、きっと守ってくれるから渡してくれ、と頼まれましてね」
交通安全……まぁ、こちらには馬車とかあるから必要ないわけではないけれど。でも嬉しい。きっとその方にとって大切なものだったはずだけど、私に譲ってくださるなんて。
「ありがとうございます、大切にします……!」
「えぇ、伝えておきます」
それで、と話が始まった。今日お呼びしたのは、とある〝事業〟の話らしい。
「この子達から聞いた時には驚いてしまいました。まさかそんなものがあるとは思いもしませんでしたから。父もそういったものはなかったと聞いています」
それは、〝炊飯器〟の事だ。やっぱり、向こうの日本人の方は知らなかったようだ。発明されたのって何時なのか分からないけれど……明治、とか? そこら辺? でもそのお爺さんが知らないという事は最近って事だよね。私が生れる前ではあるけれど。
「ご飯を代わりに炊いてくれる魔道具だなんて、そんな素晴らしいものがあればもっと簡単に料理が出来ます。我々も主食として食べていますから。
しかも、ご令嬢の知っている〝炊飯器〟の実現は可能だと息子達から聞きましたが、やはりこの国の魔道具技術は素晴らしいですな。完成品が楽しみですね」
今回は、ナカムラ男爵家のこの和食事業に援助をする形となるらしい。国同士では色々と面倒な事になるので、個人でという事だ。
だが、それを作るのはルーカス・レスリート宮廷魔術師総括。王宮魔術師だ。だから王様に一言言わなければならない。だけど、レスリート卿個人でという事にもなっているため王様は口出しは出来ない。だからOK!
こちらとしても、援助する点では、全く知らない文化を広めるのだから苦労もあるだろうし、自国ではないので不便なところもあるだろうから、という事もあるのかな。
「ご夫人方がいらっしゃった後、客足が少し増えたんです」
「え?」
「この国唯一の公爵家であるアドマンス公爵家の馬車が停まっていたのを目撃した者達が噂を広めていたようで、その噂を聞き付けたお客様が何人もご来店されていたみたいなんです。不思議な味でとても美味しかったというお言葉もいくつもいただきました」
「お二人のお陰です、ありがとうございました」
あ、アドマンス家の馬車ってとっても豪華だから目立っちゃうんだっけ。しかもマリアが普通の公爵家とは違う一族だって言ってたし。なるほど、そういう事か。
じゃあ、貢献出来たって事かな。もしそうだったら、とっても嬉しいな。
それから、お店の他にアドマンス家にも和食の食材を仕入れさせてもらえる事になり、こちらのコックさんにも食材の扱い方などのレクチャーもしてくれるそう。わぁい、和食がご飯に出てくるぞぉ!
では、これからよろしくお願いいたします。というお父様とナカムラ家当主様の握手で話が締めくくられた。
話が終わった後、二人に話しかけた。
タクミ君とナナミちゃんには、5日後にまたお母様とお店に行くねと約束をした。何食べたいか考えておいて、と言われて。じゃあメニューにない物をまた作ってくれるって事だよね。何が良いかなぁ~? ふふ、楽しみ。
と、思っていたら二人のお父さんに声をかけられて。
「二人と仲良くしていただきありがとうございます、アヤメ嬢」
「いえ、こちらこそ」
二人のお父さんもとても優しそうな人だと感じた。雰囲気も、二人を足したような感じかも。でも笑顔は3人共そっくり!
じゃあまたね! と手を振って帰っていった。ナナミちゃんはお父さんに淑女らしくしなさいと何度も言われていたけどね、あはは。
「良いお友達ができて良かったわね、アヤメちゃん」
「はい!」
「今度、3人で店に行こうか」
「お仕事は?」
「そんなものどうとでもなるさ」
え、お父様、お仕事をそんなものって言っちゃったよ。いいの、それ。とっても偉い方なのに。
でも隣のお母様笑ってるから、いっか。私もお父様とお母様とお店行きたいしね。楽しみだなぁ。
お仕事は? と思ったけれど、休んできたそう。
「遠路はるばるありがとう」
「いえ、何とも魅力的なお話を頂けて、この日を待ち望んでおりましたから」
「はは、私も今日お会いできて光栄だよ」
お父様より少し若い男性と、【お食事処・なかむら】のナナミちゃん、タクミ君が来たのだ。顔が似ているからもしかして、と思ったら正解で。2人のお父様だった。容姿はナナミちゃんのように茶髪で黒い瞳の日本人顔だ。
彼から、異世界人である二人のお爺さんの話をしてくれた。
兄妹の祖父で異世界人、そして日本人でもある中村裕孝さんは最初こちらに来た時、とある食堂の方に拾ってもらいそこでお手伝いをすることになったという。料理上手だった彼の作る料理は瞬く間に人気が出たそう。
過ごしていく内に、地球の料理が恋しくなってしまったそうで。だから実現させるために試行錯誤して醤油などの調味料や食材などを作り上げていったそう。それから色々あり、王宮の料理人にまでなってしまい男爵位まで貰っちゃったそうだ。
そして今でも、王宮で鍋を振るっているようで。しかも、御年106歳! その歳でもまだ厨房に立ってるなんて、凄すぎる。何とも元気なお爺ちゃんである。
これで謎が解けた!
「父も、ご令嬢の話を聞き喜んでいましたよ。きっといきなりの事で戸惑う事もあるだろうから、何かあれば言ってくれ、とも」
あとこれを、と渡されたもの。それは小さな木箱だった。開けてもいいでしょうか、と聞き了承を得てパカっと開けてみた。中には……
「お守りだ……」
「コウツウアンゼン? と言っていました。少し違うが、きっと守ってくれるから渡してくれ、と頼まれましてね」
交通安全……まぁ、こちらには馬車とかあるから必要ないわけではないけれど。でも嬉しい。きっとその方にとって大切なものだったはずだけど、私に譲ってくださるなんて。
「ありがとうございます、大切にします……!」
「えぇ、伝えておきます」
それで、と話が始まった。今日お呼びしたのは、とある〝事業〟の話らしい。
「この子達から聞いた時には驚いてしまいました。まさかそんなものがあるとは思いもしませんでしたから。父もそういったものはなかったと聞いています」
それは、〝炊飯器〟の事だ。やっぱり、向こうの日本人の方は知らなかったようだ。発明されたのって何時なのか分からないけれど……明治、とか? そこら辺? でもそのお爺さんが知らないという事は最近って事だよね。私が生れる前ではあるけれど。
「ご飯を代わりに炊いてくれる魔道具だなんて、そんな素晴らしいものがあればもっと簡単に料理が出来ます。我々も主食として食べていますから。
しかも、ご令嬢の知っている〝炊飯器〟の実現は可能だと息子達から聞きましたが、やはりこの国の魔道具技術は素晴らしいですな。完成品が楽しみですね」
今回は、ナカムラ男爵家のこの和食事業に援助をする形となるらしい。国同士では色々と面倒な事になるので、個人でという事だ。
だが、それを作るのはルーカス・レスリート宮廷魔術師総括。王宮魔術師だ。だから王様に一言言わなければならない。だけど、レスリート卿個人でという事にもなっているため王様は口出しは出来ない。だからOK!
こちらとしても、援助する点では、全く知らない文化を広めるのだから苦労もあるだろうし、自国ではないので不便なところもあるだろうから、という事もあるのかな。
「ご夫人方がいらっしゃった後、客足が少し増えたんです」
「え?」
「この国唯一の公爵家であるアドマンス公爵家の馬車が停まっていたのを目撃した者達が噂を広めていたようで、その噂を聞き付けたお客様が何人もご来店されていたみたいなんです。不思議な味でとても美味しかったというお言葉もいくつもいただきました」
「お二人のお陰です、ありがとうございました」
あ、アドマンス家の馬車ってとっても豪華だから目立っちゃうんだっけ。しかもマリアが普通の公爵家とは違う一族だって言ってたし。なるほど、そういう事か。
じゃあ、貢献出来たって事かな。もしそうだったら、とっても嬉しいな。
それから、お店の他にアドマンス家にも和食の食材を仕入れさせてもらえる事になり、こちらのコックさんにも食材の扱い方などのレクチャーもしてくれるそう。わぁい、和食がご飯に出てくるぞぉ!
では、これからよろしくお願いいたします。というお父様とナカムラ家当主様の握手で話が締めくくられた。
話が終わった後、二人に話しかけた。
タクミ君とナナミちゃんには、5日後にまたお母様とお店に行くねと約束をした。何食べたいか考えておいて、と言われて。じゃあメニューにない物をまた作ってくれるって事だよね。何が良いかなぁ~? ふふ、楽しみ。
と、思っていたら二人のお父さんに声をかけられて。
「二人と仲良くしていただきありがとうございます、アヤメ嬢」
「いえ、こちらこそ」
二人のお父さんもとても優しそうな人だと感じた。雰囲気も、二人を足したような感じかも。でも笑顔は3人共そっくり!
じゃあまたね! と手を振って帰っていった。ナナミちゃんはお父さんに淑女らしくしなさいと何度も言われていたけどね、あはは。
「良いお友達ができて良かったわね、アヤメちゃん」
「はい!」
「今度、3人で店に行こうか」
「お仕事は?」
「そんなものどうとでもなるさ」
え、お父様、お仕事をそんなものって言っちゃったよ。いいの、それ。とっても偉い方なのに。
でも隣のお母様笑ってるから、いっか。私もお父様とお母様とお店行きたいしね。楽しみだなぁ。