目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
第三章 幸運のしるし
◇15 【クローバー】
とある日に、お母様から提案をされた。それは私としてはだいぶ意外で驚くようなものだった。
「え? 押し花を、ですか?」
「そうなの。以前こちらでお客様をお呼びした時ね、アヤメちゃんが作ってくれた押し花の額縁が客間にあったじゃない? あれが素敵で気に入っちゃったらしくて、どこで購入したのか聞いてきたの。娘の手作りよって教えてあげたら私にも作ってほしいって言われちゃったのよ」
実は、以前プレゼントした額縁をお母様とお父様は執務室や客間に飾ってしまったのだ。恥ずかしいから自室とかにしてください言ってるのに、本人達は外す気は更々ないようで。それでこんな事になってしまったという訳だ。
「その方、とても絶賛してたのよ。こんな花の使い方は普通思いつかない、って。それで、提案があるの」
絶賛ですか。でも、ここのお花はとっても綺麗だから、って所もあるかもしれない。私の加工でお花の綺麗な所を邪魔しちゃうかなって思ってたから、それは正直嬉しい。
「私のお店に置いてみない?」
「……え”!?」
お母様の経営しているお店、【ティスタニティ】という名の、装飾品を扱うお店だ。とっても人気で有名なお店となっているのだとか。一回行ってみたいなぁって思ってはいるんだけど中々行けないのよね。
「あ、あの、装飾店、では……?」
「最近は雑貨も扱うようになったのよ。それに、装飾品も作ってるじゃない」
「う”っ……」
そう、見つかったんです。あの地球にあった、アクセサリーをハンドメイド出来るあの道具、レジンが!
こちらでは、アクセサリー作成時の接着剤の一つとして使われていたみたい。
以前私が使っていたものはUVレジン。だけど、押し花を使う為には、厚みがないとダメ。だから、固める為の紫外線が届かない厚みのあるものは難しくて作れなかったんだけど、こちらのは厚くても大丈夫! 魔道具の光があれば簡単に固まるそうだ。
レストリス商会の本店に行ってみて、材料を探して購入して。意外と簡単にそろえることが出来たので、今はそれを使って色々と作っている。
だって、いっぱいあって作りたかったんだもん。自分で使う分にはいいでしょ? と思って作ってたのに、それを売ると、そう言いたいんですかお母様。確かにこの前、見ーせて♪ って来たけどさ。
「あんな発想誰も思いつかないわ。きっと世の中の女性達が喜ぶアクセサリーになると思うの。どう?」
「どう、と言われましても……」
あ、勿論無理はさせないわ。とニコニコしてて。お母様も経営などの部分は手伝ってくれるようだ。でも、ただのド素人の作ったものをお母様の大切なお店に並べるなんて、絶対無理だってぇ!
「もし難しいなら、金具部分はこちらが受け持つわ。それならどう?」
「……本当に、いいん、ですか……?」
「えぇ、本気よ。それに、これも勉強の一つになると思うの。どう?」
勉強か。確かに、私が今勉強してるのは淑女としての基本の知識だけ。そういったものには触れた事もないし、将来私は何をするのか全く考えた事もなかった。だから、お母様は経験を積んでみなさいって言っているのかな。
それに、お母様がここまで言ってくださってる。マリア達も、とっても素敵ですって言ってくれて、とても嬉しかった。お世辞なのは分かってるんだけど、それでも。
「……あの、お店の隅あたりに置いていただけるなら」
「ふふ、本当ならど真ん中に置きたいのだけど、仕方ないわね」
そ、そんなの無理ですっ!!!
という事で、私この度アクセサリーのチャームを作るお仕事をいただきました。
お庭のお花をあまり傷めたくないので、作る量は少なくしてもらいました。それなら、ブランドって事にしちゃいましょ? と言われて何も言えずそうなってしまったけど。
【クローバー】
この名前で、売り出される事になった。この世界には、クローバーという植物はないそう。似たものも探してみたけれどなかった。
地球では、幸運のしるしと思われてきたからこの名前にしてみた。ロゴももちろん四つ葉のクローバーだ。
でも、どうなるかな……絶対他の装飾品に埋もれちゃうよね。多分置きっぱなしになっちゃうだろうなぁ……
次の日、私のお手伝いをしてくださる人が来訪してきた。
私はチャームを作り、彼女が装飾品に仕上げていく、といった感じだ。
「まぁ! とっても可愛いですわ!」
「本当ですか? ありがとうございます」
「この花達の色のバランスも良いですし、配置も素晴らしい!」
とっても褒め上手な彼女は、エミリーさん。とても腕の良い方なんだとか。
私が作ったものを持ち帰り次の日持ってきてくれたのは、ネックレスとなって形を変えた私の押し花チャーム。この人凄い! と尊敬してしまった。
そんな感じでいろいろとアドバイスを貰いつつ作ったチャームをエミリーさんがアクセサリーに変えてくれて。
出来上がったのは、ネックレスと髪飾り。いくつも作ったけれど、どれもとっても満足のいくアクセサリーになったと思う。
「さぁて、お店に出してどうなるかとっても楽しみだわ」
「きっとご来店された方々の目に留まります。すぐ売り切れると思いますよ」
そこまでいくかな……? だって、プロが加工してくださったとはいえチャームは素人よ? さすがにそれはないと思うんだけど……
そんな軽い気持ちで屋敷の外でお母様と優雅にお茶を飲んでいた時、屋敷のメイドさんが私に知らせてくれた。
出してすぐ完売した、と。
アクセサリーも、額縁も。
「ほらね、こうなると思ったわ」
「う、そ……」
「さすが、私達の娘ね」
私は、口が塞がらなかった。
それからというものの、次はいつ出るのか、予約は出来ないのか、依頼をしたいのだけれど、といったものが多く言われるようになったそう。お母様からは、焦らず決まった数だけを作りなさい、と言われている。と言ってもだいぶ少ない量ではある。いいのかな、きっとお店の方達大変だよね。
「いーい? 無理をしないってお母様と約束しなさい。私達はアヤメちゃんが倒れちゃう姿は見たくないの。重荷を背負わず、好きなように作ってちょうだい。ね?」
「でも、いいんですか?」
「少なく作る事で希少性が高まるわ。これも戦略の一つよ。きっとすぐに社交界に広まるわ。手に入れる事が難しい、他とは全く違うデザインのアクセサリーを作っている【クローバー】という名のブランド。とね」
と、言ってくれた。いいのかな? でも、お庭のお花を無暗に切っちゃうの嫌だし、いっか。
因みに、今お母様と私の胸もとにはお花のネックレスが飾られている。勿論私が作ったものだ。それを見て羨ましがっていたアメリアさんにも色違いのお花で作ったネックレスを贈らせてもらった。
「肌身離さず使わせてもらうわね」
「お、お母様、そこまでは……」
「なぁに言ってるの、可愛い愛娘が作ってくれた大切なネックレスなのよ? 当たり前じゃない」
とっても喜んでくださったらしい。
あぁあと、羨ましがっていたのはもう一人。お父様だ。男性の方だから、中々使えない為、今こっそり製作中。そう、カフスボタンだ。これも挑戦の一つかなって頑張ってる最中です。
「え? 押し花を、ですか?」
「そうなの。以前こちらでお客様をお呼びした時ね、アヤメちゃんが作ってくれた押し花の額縁が客間にあったじゃない? あれが素敵で気に入っちゃったらしくて、どこで購入したのか聞いてきたの。娘の手作りよって教えてあげたら私にも作ってほしいって言われちゃったのよ」
実は、以前プレゼントした額縁をお母様とお父様は執務室や客間に飾ってしまったのだ。恥ずかしいから自室とかにしてください言ってるのに、本人達は外す気は更々ないようで。それでこんな事になってしまったという訳だ。
「その方、とても絶賛してたのよ。こんな花の使い方は普通思いつかない、って。それで、提案があるの」
絶賛ですか。でも、ここのお花はとっても綺麗だから、って所もあるかもしれない。私の加工でお花の綺麗な所を邪魔しちゃうかなって思ってたから、それは正直嬉しい。
「私のお店に置いてみない?」
「……え”!?」
お母様の経営しているお店、【ティスタニティ】という名の、装飾品を扱うお店だ。とっても人気で有名なお店となっているのだとか。一回行ってみたいなぁって思ってはいるんだけど中々行けないのよね。
「あ、あの、装飾店、では……?」
「最近は雑貨も扱うようになったのよ。それに、装飾品も作ってるじゃない」
「う”っ……」
そう、見つかったんです。あの地球にあった、アクセサリーをハンドメイド出来るあの道具、レジンが!
こちらでは、アクセサリー作成時の接着剤の一つとして使われていたみたい。
以前私が使っていたものはUVレジン。だけど、押し花を使う為には、厚みがないとダメ。だから、固める為の紫外線が届かない厚みのあるものは難しくて作れなかったんだけど、こちらのは厚くても大丈夫! 魔道具の光があれば簡単に固まるそうだ。
レストリス商会の本店に行ってみて、材料を探して購入して。意外と簡単にそろえることが出来たので、今はそれを使って色々と作っている。
だって、いっぱいあって作りたかったんだもん。自分で使う分にはいいでしょ? と思って作ってたのに、それを売ると、そう言いたいんですかお母様。確かにこの前、見ーせて♪ って来たけどさ。
「あんな発想誰も思いつかないわ。きっと世の中の女性達が喜ぶアクセサリーになると思うの。どう?」
「どう、と言われましても……」
あ、勿論無理はさせないわ。とニコニコしてて。お母様も経営などの部分は手伝ってくれるようだ。でも、ただのド素人の作ったものをお母様の大切なお店に並べるなんて、絶対無理だってぇ!
「もし難しいなら、金具部分はこちらが受け持つわ。それならどう?」
「……本当に、いいん、ですか……?」
「えぇ、本気よ。それに、これも勉強の一つになると思うの。どう?」
勉強か。確かに、私が今勉強してるのは淑女としての基本の知識だけ。そういったものには触れた事もないし、将来私は何をするのか全く考えた事もなかった。だから、お母様は経験を積んでみなさいって言っているのかな。
それに、お母様がここまで言ってくださってる。マリア達も、とっても素敵ですって言ってくれて、とても嬉しかった。お世辞なのは分かってるんだけど、それでも。
「……あの、お店の隅あたりに置いていただけるなら」
「ふふ、本当ならど真ん中に置きたいのだけど、仕方ないわね」
そ、そんなの無理ですっ!!!
という事で、私この度アクセサリーのチャームを作るお仕事をいただきました。
お庭のお花をあまり傷めたくないので、作る量は少なくしてもらいました。それなら、ブランドって事にしちゃいましょ? と言われて何も言えずそうなってしまったけど。
【クローバー】
この名前で、売り出される事になった。この世界には、クローバーという植物はないそう。似たものも探してみたけれどなかった。
地球では、幸運のしるしと思われてきたからこの名前にしてみた。ロゴももちろん四つ葉のクローバーだ。
でも、どうなるかな……絶対他の装飾品に埋もれちゃうよね。多分置きっぱなしになっちゃうだろうなぁ……
次の日、私のお手伝いをしてくださる人が来訪してきた。
私はチャームを作り、彼女が装飾品に仕上げていく、といった感じだ。
「まぁ! とっても可愛いですわ!」
「本当ですか? ありがとうございます」
「この花達の色のバランスも良いですし、配置も素晴らしい!」
とっても褒め上手な彼女は、エミリーさん。とても腕の良い方なんだとか。
私が作ったものを持ち帰り次の日持ってきてくれたのは、ネックレスとなって形を変えた私の押し花チャーム。この人凄い! と尊敬してしまった。
そんな感じでいろいろとアドバイスを貰いつつ作ったチャームをエミリーさんがアクセサリーに変えてくれて。
出来上がったのは、ネックレスと髪飾り。いくつも作ったけれど、どれもとっても満足のいくアクセサリーになったと思う。
「さぁて、お店に出してどうなるかとっても楽しみだわ」
「きっとご来店された方々の目に留まります。すぐ売り切れると思いますよ」
そこまでいくかな……? だって、プロが加工してくださったとはいえチャームは素人よ? さすがにそれはないと思うんだけど……
そんな軽い気持ちで屋敷の外でお母様と優雅にお茶を飲んでいた時、屋敷のメイドさんが私に知らせてくれた。
出してすぐ完売した、と。
アクセサリーも、額縁も。
「ほらね、こうなると思ったわ」
「う、そ……」
「さすが、私達の娘ね」
私は、口が塞がらなかった。
それからというものの、次はいつ出るのか、予約は出来ないのか、依頼をしたいのだけれど、といったものが多く言われるようになったそう。お母様からは、焦らず決まった数だけを作りなさい、と言われている。と言ってもだいぶ少ない量ではある。いいのかな、きっとお店の方達大変だよね。
「いーい? 無理をしないってお母様と約束しなさい。私達はアヤメちゃんが倒れちゃう姿は見たくないの。重荷を背負わず、好きなように作ってちょうだい。ね?」
「でも、いいんですか?」
「少なく作る事で希少性が高まるわ。これも戦略の一つよ。きっとすぐに社交界に広まるわ。手に入れる事が難しい、他とは全く違うデザインのアクセサリーを作っている【クローバー】という名のブランド。とね」
と、言ってくれた。いいのかな? でも、お庭のお花を無暗に切っちゃうの嫌だし、いっか。
因みに、今お母様と私の胸もとにはお花のネックレスが飾られている。勿論私が作ったものだ。それを見て羨ましがっていたアメリアさんにも色違いのお花で作ったネックレスを贈らせてもらった。
「肌身離さず使わせてもらうわね」
「お、お母様、そこまでは……」
「なぁに言ってるの、可愛い愛娘が作ってくれた大切なネックレスなのよ? 当たり前じゃない」
とっても喜んでくださったらしい。
あぁあと、羨ましがっていたのはもう一人。お父様だ。男性の方だから、中々使えない為、今こっそり製作中。そう、カフスボタンだ。これも挑戦の一つかなって頑張ってる最中です。