目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇17 お客様
今日はですね、お客様をお招きしています。誰だって? それはですね~。
「いらっしゃい、ナナミちゃん、タクミ君!」
「ご招待いただきありがとうございます、アヤメ嬢!」
「お招きいただき光栄です」
「もう、そんな畏まらなくていいよ!」
「あはは、一応ね」
「そ」
「も~!」
ナカムラ男爵家のお二人です。おぉ、今日はドレスと紳士服だ。この前来た時もそうだったけど、和服の制服が見慣れちゃったからかな。だいぶ新鮮だ。
じゃあこちらにどうぞ、とお庭に案内した。
「わぁ、とっても綺麗な庭!」
「ふふ、庭師の方が丹精込めて作った自慢のお庭なの」
「この前もらった額縁はここのお花で?」
「そう!」
そう、この前お店に行った時にお土産のお礼にと二人にプレゼントしたんだ。喜んでもらえたみたいでよかった。
それでね、と二人を案内したのは、私のラミラス畑。今日も元気に咲いてます。
今日は二人にこれを見せたかった。日本に咲いているコスモスのお花に似てるから、という所もある。
「へぇ、見た事ないお花ね」
「私が植えて作ったの。日本に咲いてるお花に似てるからこれにしたんだ~。それでね、実はこのお花で額縁を作ってみたんだけど、ナナミちゃん達のお爺様にプレゼントしたいなって思ってて。どうかな?」
「日本のお花に似てるんでしょ? きっと喜ぶよ!」
「ウチのじいさん意外と花好きだしな」
へぇ、じゃあピッタリだね!
御守りのお返しになるといいなぁ。
「ねぇ、そのお爺様ってどんな人?」
「お爺様? そうねー、頑固?」
「えっ」
が、頑固……?
「意地悪、意地っ張り」
「何かお願いすると、文句ばっか言うのに結局聞いてくれる世話焼きね」
「それで意外と照れ屋」
「な、るほど……」
なんか、想像してた人と違うというか。凄い人なのね。この前お守りいただいたからとってもお優しい人だと思っていたんだけど。
「でも優しいよ」
「ま、そうだな。素直じゃないけど」
「へぇ、いつか会ってみたいな」
「じいさんも喜ぶよ」
「いつでも大歓迎よ!」
「うん!」
二人の、お爺様の話をする顔はとても微笑ましかった。それだけ、大好きな人なんだなぁ。
そして着いたのはこの庭にある東屋。今はもうお昼時、今日は三人でご飯を食べようと約束していて。その時、じゃあ作って持ってくよとお弁当も作ってくれた。
テーブルに並べられたのは、見覚えのあるもの。
「お重箱!!」
「正解」
ぱか、と蓋を開けると……おぉ、巻きずしだ! それとお稲荷さん! 私これ好きなんだよねぇ。
メイドさんが、こちらもどうぞとお味噌汁を持ってきてくれた。これはコックさんが用意してくれたそうだ。きっとこの事を聞いていたのかな。実は二人は何回もこっちに来てくれてコックさん達にレッスンをしているらしいからきっとその時聞いたんじゃないかな。
ちゃーんとお箸も用意してくれて、三人声を揃えていただきますと食事を始めた。うん、美味しい!
「私ね、アヤメちゃんに聞こうと思ってたんだ。日本、というか地球? そっちの話が聞きたいなって」
「じいさんから何回も聞いた事あるけど、時代が違うんだろ?」
「あぁ、そうだね。お爺様って80年前にこっち来たんだっけ」
「そうそう」
80年前か~、そこから新しくなったり、発売されたものって事だよね。ん~、難しいなぁ。スマホとかって、どう説明したらいいか分からないし。
「じゃあ、〝超高層ビル〟って知ってる?」
「……ん? ちょ、ちょうこうそう、びる?」
あ、知らないみたいね。となるとビルって最近出来たって事よね? どの時代で出来たものなのか知らないけれど。じゃあ、東京タワーとか知らない感じね。
「建物の一つなんだけど、30階とか、40階とかあってとっても高い建物の事を言うの」
「……」
「……」
あ、黙っちゃった。これ、信じてない感じね。そりゃそうだ、ここの世界の建物って大体2階、3階が普通。4階や5階はお屋敷であるかないかくらいだもん。そりゃ信じられないわ。あ、因みにここのお屋敷は5階建てね。
「それ、台風とか地震が来たら崩れちゃうんじゃない?」
「ちゃ~んと耐震性に優れた技術が取り入れられてるんです~」
「凄いな、建築技術の優れた国って事?」
「いや? 他の国でも普通にあるよ。60階とかあるのもどこかの国にあったし」
「うわぁ、私登りたくない」
「私も嫌だよ、怖いもん」
恐ろしくて下が見れないよ。だって東京タワーとかスカイツリーでも勘弁だもん。高所恐怖症ってやつ。
「でもさ、登れなくないか? そんなに高いんじゃ一体どれだけ時間がかかるんだよ」
「それはね、〝エレベーター〟という優れモノがあるのよ」
「何それ、聞いた事ない」
「人が乗れるくらいの大きさの箱があって、筒状の縦に長い通路を上げたり下げたりするものなの」
「どうやって上げたりできるの?」
ん~、確か学校でちょっと教えてもらった気がするんだけど、どういう仕組みだったっけ。
「あ、ロープと滑車で引っ張り上げたり降ろしたりしてるの」
「滑車? でも人が乗るなら結構力いるんじゃない?」
「滑車をいくつも組み合わせると少ない力で持ち上げることが出来るんだよ」
「へぇ~」
何か、そういうのを授業で習った。なんか滑車の原理だとか何だとかって。計算とか授業で習ったけど全く覚えてないな。
でもそんな時、彼がとんでもない事を言ってしまった。
「それ、魔道具で作れるんじゃないのか?」
デジャヴ、である。
「そうだよそうだよ! それがあれば、わざわざ重い荷物を抱えて階段を上る必要がなくなるじゃない!」
「え”っ」
「言ってみればいいんじゃないか? 出来るかどうかはともかく」
「そうそう、この国の魔道具技術は最先端なんだから言ってみる価値はあると思うよ」
んー、言っていいものなのだろうか。でもこの国の皆さんの負担が少なくなるのであれば、あったほうがいいよね。
じゃあ後で言ってみるよ、とその話を終わらせた。
今日は楽しかったよ。と満足した顔で二人は帰っていった。
さて、エレベーターの話はどうしようか。と思いつつお母様の執務室に向かった。
恐る恐る、コンコンとノックをしてみるとお母様の声が聞こえてきて。アヤメです、と答えるとすぐさまいらっしゃいと声がかかりお邪魔する事になった。
執務室の机には、色々と紙や本が積んである。きっと忙しかったんだろうなぁ、とちょっと後悔しつつ、ここに座ってと言われソファーにちょこんと座った。
お母様も、今日は二人が来る事を知っていたから、楽しかった? と聞いてきて。とっても楽しかったです、と答えた後に、それで、と続けてみた。
「あの、話したい事があって」
「ん? 何かあった?」
「えぇと……」
話しづらそうな私を見て、メイドさんにお茶を持ってくるように指示したお母様。
出てきたのは緑茶とようかん。私の好きなものを出してくれてちょっと緊張がほぐれた。
もうここまで言っちゃったんだ、白状した方がいい。
「あの、今日ナナミちゃんとタクミ君と私の故郷の話をしたんですけど……」
「日本?」
「はい、それで……」
私は、事の顛末をゆっくりと話した。30階40階のビルだなんて、やっぱり信じてもらえないかな、と思ったけれどお母様はちゃんと聞いてくれて。そして、話し終わった後には……
「まぁ! なんて素晴らしい発明品なの!」
目を輝かせていた。ついでに、控えていたメイドさんも一緒に目を輝かせていて。あれ、おかしいな。まぁ、そんなもの本当にあるの? ってなるはずだったんだけど。
「もっと聞かせてちょうだい! バートにも今日帰ってきたらその話をしましょう! もしそれがこちらでも作り出せるのなら革命よ! そんな便利なものがあったら、この国の労働者達の働き方が変わるわ! きっと様々な場面で重宝されるに決まってるもの!」
「で、でも私、あまり詳しくは……」
「だいじょーぶ、王宮魔術師の皆さんの腕は確かよ。ほら、アヤメちゃんもよく知ってるでしょ?」
「はぁ、まぁ、そうですけど……」
お母様の勢いは、止まる事は無かった。もう興奮したかのようにお父様が帰ってきた途端私を連れて飛んでいきさっきの話を全部話してて。そしたらお父様まで一緒になって本気にしてやる気が出てしまっていて。明日すぐにルーカスをこちらに呼ぼう。とまで言われてしまった。
そして予想通り、レスリート卿が朝一番でやってきた。話していく内に、昨日のお母様のように、いや、それ以上に興奮しきった様子で。どんどん質問されてこっちはもうヘトヘトです。
あとは任せてください! とグッドサインを出して帰っていってしまったのであった。炊飯器もお願いしてしまっているのに、大丈夫だろうか。
まぁ、完成したら楽になる人達が沢山出てくるだろうし、いっか。レスリート卿に投げやりになっちゃったけどあんなに楽しそうに帰っていったから、いいよね。
「いらっしゃい、ナナミちゃん、タクミ君!」
「ご招待いただきありがとうございます、アヤメ嬢!」
「お招きいただき光栄です」
「もう、そんな畏まらなくていいよ!」
「あはは、一応ね」
「そ」
「も~!」
ナカムラ男爵家のお二人です。おぉ、今日はドレスと紳士服だ。この前来た時もそうだったけど、和服の制服が見慣れちゃったからかな。だいぶ新鮮だ。
じゃあこちらにどうぞ、とお庭に案内した。
「わぁ、とっても綺麗な庭!」
「ふふ、庭師の方が丹精込めて作った自慢のお庭なの」
「この前もらった額縁はここのお花で?」
「そう!」
そう、この前お店に行った時にお土産のお礼にと二人にプレゼントしたんだ。喜んでもらえたみたいでよかった。
それでね、と二人を案内したのは、私のラミラス畑。今日も元気に咲いてます。
今日は二人にこれを見せたかった。日本に咲いているコスモスのお花に似てるから、という所もある。
「へぇ、見た事ないお花ね」
「私が植えて作ったの。日本に咲いてるお花に似てるからこれにしたんだ~。それでね、実はこのお花で額縁を作ってみたんだけど、ナナミちゃん達のお爺様にプレゼントしたいなって思ってて。どうかな?」
「日本のお花に似てるんでしょ? きっと喜ぶよ!」
「ウチのじいさん意外と花好きだしな」
へぇ、じゃあピッタリだね!
御守りのお返しになるといいなぁ。
「ねぇ、そのお爺様ってどんな人?」
「お爺様? そうねー、頑固?」
「えっ」
が、頑固……?
「意地悪、意地っ張り」
「何かお願いすると、文句ばっか言うのに結局聞いてくれる世話焼きね」
「それで意外と照れ屋」
「な、るほど……」
なんか、想像してた人と違うというか。凄い人なのね。この前お守りいただいたからとってもお優しい人だと思っていたんだけど。
「でも優しいよ」
「ま、そうだな。素直じゃないけど」
「へぇ、いつか会ってみたいな」
「じいさんも喜ぶよ」
「いつでも大歓迎よ!」
「うん!」
二人の、お爺様の話をする顔はとても微笑ましかった。それだけ、大好きな人なんだなぁ。
そして着いたのはこの庭にある東屋。今はもうお昼時、今日は三人でご飯を食べようと約束していて。その時、じゃあ作って持ってくよとお弁当も作ってくれた。
テーブルに並べられたのは、見覚えのあるもの。
「お重箱!!」
「正解」
ぱか、と蓋を開けると……おぉ、巻きずしだ! それとお稲荷さん! 私これ好きなんだよねぇ。
メイドさんが、こちらもどうぞとお味噌汁を持ってきてくれた。これはコックさんが用意してくれたそうだ。きっとこの事を聞いていたのかな。実は二人は何回もこっちに来てくれてコックさん達にレッスンをしているらしいからきっとその時聞いたんじゃないかな。
ちゃーんとお箸も用意してくれて、三人声を揃えていただきますと食事を始めた。うん、美味しい!
「私ね、アヤメちゃんに聞こうと思ってたんだ。日本、というか地球? そっちの話が聞きたいなって」
「じいさんから何回も聞いた事あるけど、時代が違うんだろ?」
「あぁ、そうだね。お爺様って80年前にこっち来たんだっけ」
「そうそう」
80年前か~、そこから新しくなったり、発売されたものって事だよね。ん~、難しいなぁ。スマホとかって、どう説明したらいいか分からないし。
「じゃあ、〝超高層ビル〟って知ってる?」
「……ん? ちょ、ちょうこうそう、びる?」
あ、知らないみたいね。となるとビルって最近出来たって事よね? どの時代で出来たものなのか知らないけれど。じゃあ、東京タワーとか知らない感じね。
「建物の一つなんだけど、30階とか、40階とかあってとっても高い建物の事を言うの」
「……」
「……」
あ、黙っちゃった。これ、信じてない感じね。そりゃそうだ、ここの世界の建物って大体2階、3階が普通。4階や5階はお屋敷であるかないかくらいだもん。そりゃ信じられないわ。あ、因みにここのお屋敷は5階建てね。
「それ、台風とか地震が来たら崩れちゃうんじゃない?」
「ちゃ~んと耐震性に優れた技術が取り入れられてるんです~」
「凄いな、建築技術の優れた国って事?」
「いや? 他の国でも普通にあるよ。60階とかあるのもどこかの国にあったし」
「うわぁ、私登りたくない」
「私も嫌だよ、怖いもん」
恐ろしくて下が見れないよ。だって東京タワーとかスカイツリーでも勘弁だもん。高所恐怖症ってやつ。
「でもさ、登れなくないか? そんなに高いんじゃ一体どれだけ時間がかかるんだよ」
「それはね、〝エレベーター〟という優れモノがあるのよ」
「何それ、聞いた事ない」
「人が乗れるくらいの大きさの箱があって、筒状の縦に長い通路を上げたり下げたりするものなの」
「どうやって上げたりできるの?」
ん~、確か学校でちょっと教えてもらった気がするんだけど、どういう仕組みだったっけ。
「あ、ロープと滑車で引っ張り上げたり降ろしたりしてるの」
「滑車? でも人が乗るなら結構力いるんじゃない?」
「滑車をいくつも組み合わせると少ない力で持ち上げることが出来るんだよ」
「へぇ~」
何か、そういうのを授業で習った。なんか滑車の原理だとか何だとかって。計算とか授業で習ったけど全く覚えてないな。
でもそんな時、彼がとんでもない事を言ってしまった。
「それ、魔道具で作れるんじゃないのか?」
デジャヴ、である。
「そうだよそうだよ! それがあれば、わざわざ重い荷物を抱えて階段を上る必要がなくなるじゃない!」
「え”っ」
「言ってみればいいんじゃないか? 出来るかどうかはともかく」
「そうそう、この国の魔道具技術は最先端なんだから言ってみる価値はあると思うよ」
んー、言っていいものなのだろうか。でもこの国の皆さんの負担が少なくなるのであれば、あったほうがいいよね。
じゃあ後で言ってみるよ、とその話を終わらせた。
今日は楽しかったよ。と満足した顔で二人は帰っていった。
さて、エレベーターの話はどうしようか。と思いつつお母様の執務室に向かった。
恐る恐る、コンコンとノックをしてみるとお母様の声が聞こえてきて。アヤメです、と答えるとすぐさまいらっしゃいと声がかかりお邪魔する事になった。
執務室の机には、色々と紙や本が積んである。きっと忙しかったんだろうなぁ、とちょっと後悔しつつ、ここに座ってと言われソファーにちょこんと座った。
お母様も、今日は二人が来る事を知っていたから、楽しかった? と聞いてきて。とっても楽しかったです、と答えた後に、それで、と続けてみた。
「あの、話したい事があって」
「ん? 何かあった?」
「えぇと……」
話しづらそうな私を見て、メイドさんにお茶を持ってくるように指示したお母様。
出てきたのは緑茶とようかん。私の好きなものを出してくれてちょっと緊張がほぐれた。
もうここまで言っちゃったんだ、白状した方がいい。
「あの、今日ナナミちゃんとタクミ君と私の故郷の話をしたんですけど……」
「日本?」
「はい、それで……」
私は、事の顛末をゆっくりと話した。30階40階のビルだなんて、やっぱり信じてもらえないかな、と思ったけれどお母様はちゃんと聞いてくれて。そして、話し終わった後には……
「まぁ! なんて素晴らしい発明品なの!」
目を輝かせていた。ついでに、控えていたメイドさんも一緒に目を輝かせていて。あれ、おかしいな。まぁ、そんなもの本当にあるの? ってなるはずだったんだけど。
「もっと聞かせてちょうだい! バートにも今日帰ってきたらその話をしましょう! もしそれがこちらでも作り出せるのなら革命よ! そんな便利なものがあったら、この国の労働者達の働き方が変わるわ! きっと様々な場面で重宝されるに決まってるもの!」
「で、でも私、あまり詳しくは……」
「だいじょーぶ、王宮魔術師の皆さんの腕は確かよ。ほら、アヤメちゃんもよく知ってるでしょ?」
「はぁ、まぁ、そうですけど……」
お母様の勢いは、止まる事は無かった。もう興奮したかのようにお父様が帰ってきた途端私を連れて飛んでいきさっきの話を全部話してて。そしたらお父様まで一緒になって本気にしてやる気が出てしまっていて。明日すぐにルーカスをこちらに呼ぼう。とまで言われてしまった。
そして予想通り、レスリート卿が朝一番でやってきた。話していく内に、昨日のお母様のように、いや、それ以上に興奮しきった様子で。どんどん質問されてこっちはもうヘトヘトです。
あとは任せてください! とグッドサインを出して帰っていってしまったのであった。炊飯器もお願いしてしまっているのに、大丈夫だろうか。
まぁ、完成したら楽になる人達が沢山出てくるだろうし、いっか。レスリート卿に投げやりになっちゃったけどあんなに楽しそうに帰っていったから、いいよね。