目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇25 着物
今日は、お屋敷にお客さんが来ていた。そう、ナナミちゃんとタクミ君だ。彼女達は、とある物を持ってきてくれたのだ。
「まぁまぁ! とっても素敵なものばかりね!」
「これが我々ナカムラ家の特産物〝着物〟です」
「とっても斬新な形なのね、見た事がないわ」
あ、あともう一人。リアさんも来ています。着物なんて見た事のないお洋服見たいに決まってるわ! とお母様が呼んだのだ。リアさんはブティックの有名店の代表だもんね。
触り心地は着物みたい。お爺様が、貰った領地で作られている布の触り心地がとても着物に似ているから特産物にどうだろうかと広めたらしい。
何となく、見た事のあるデザインや、新しいものまであって。あ、桜とか菊とかまである。
それでね、とナナミちゃんが出した一枚。それは……淡い紫の着物。そして、足元に描かれているのは……
「……菖蒲だ」
「そう。お爺様がこれをアヤメちゃんに、という事で持ってきたの」
私に、菖蒲を。とっても綺麗で、素敵な着物だ。何だか、着るのは勿体ない気もする。
「あの額縁、お爺様喜んでたって言ってたの。飾って毎日見てるんだって」
「え”っ」
だからこれ、プレゼントしてやれって言われたそう。何だか、デジャヴ。プレゼントをプレゼントで返されるなんて。でも、なんか笑っちゃいそう。
「うん、嬉しい。あとでお爺さんにお手紙送るね」
「うん、喜ぶと思うよ」
では着付けをしましょうか、と隣の部屋に。このあとお母様とリアさんも着付けをするそうで。こんなに素敵なもの着たいに決まってるじゃない! と結構楽しそう。
着物の下に着る肌着もちゃんと用意してくれたみたいで、ちょっと恥ずかしかったけれどナナミちゃんに着せてもらった。マリアも一緒に来て、着付けの仕方を教えてもらうそう。
「きっとアヤメちゃんの綺麗な黒髪が映えると思うよ。ほんっとアヤメちゃんの髪はとっても綺麗な黒髪よね~!」
「そ、そう? でもお爺様とかタクミ君も黒でしょ?」
「男は例外なの! 私達のお母様はブロンドヘアーだったからとっても羨ましがってたのよ」
お爺様はそのスフェーン国の人と結婚して、彼女達のお父様が産まれたらしい。もう一人兄弟の弟さんがいるそうで、彼らの叔父にあたる人だ。その人は今結婚して子供がそろそろ産まれるそう。結構若い人なのね。
と思ったら、10歳差らしい。おぉ、歳の差婚というやつね。おめでとうございます。じゃあ産まれるのが楽しみだね。ナナミちゃん達にとっては従妹って事になるのね。
「はーいじゃあこっち向いて~」
「はーい」
ぎゅっと締められるけどあのコルセットよりは全然いい。そして、はい完成! と背中をポンと押された。
おぉ、私着物って七五三以来? 大きくなってから全然着た事なかったからだいぶ嬉しい。とっても素敵な着物だし、着心地もとってもいいし。
じゃ~ん! とお母様達に見せに行くと、あらぁ! と喜んでくれて。
「も~ウチの子は何着ても似合っちゃうのよね~」
「ほんっとアヤメちゃんは可愛いんだから~、羨ましいわぁ」
と、褒められてしまった。あ、ありがとうございます。
それから、手、伸ばしてみて。と指示をされて着物を観察していて。袖が長いし、帯とかもあるし。【なかむら】の制服とは違って上下一緒。私達が普段着ている洋服も一緒だけど、でもスカートは膨らんでない。
「コルセットとは違うのね、しっかりと支えられているわ。袖も長いけど、袋になっているのね」
「色々な組み合わせもあって面白そうね」
くるくる回されて観察されて。あの、お母様方、自分で着ないんですか? あんなに盛り上がってたのに。
「帯留め、と言うのよね。これも沢山種類があっていいわ。シンプルなものからお洒落なものまで」
そういえば、帯留めってレジンで作れたりしないのかな。金具が変わるだけで可能な気もするんだけど。あと、このかんざし。飾りの部分で作れそうな気がする。でもどちらも専用の金具とかがないと作れないか。
……あ。お母様にバレた? その私に向けてる顔、ニヤニヤしてるから絶対にバレた。
さ、私達も着付けしてもらいましょうか。とお母様とリアさんとマリアがナナミちゃんと一緒に行ってしまった。残されてしまったのは、私とタクミ君と護衛騎士のジルベルト。
「着物事業は今叔父さんが担ってるんだ。と言っても、スフェーン王国の商会長が叔父さんで、ナカムラ家の特産品とかの販売など全てを叔父さんが管理してるって事だ」
「へぇ」
この着物達も、その叔父さんが持ってきてくれたらしい。あ、持っていってもらった、ね。今奥さん妊婦さんだから大変だもんね。
新商品に、領地で人気なもの、店で人気なもの、と色々と教えてもらうとやっぱりカラフルでおしゃれなものが流行りなのかな。私的にはお花とかの日本ぽいのが好きかな。
「それで、じいさんからもう一つ」
「え?」
彼が出してきたのは、小さな木箱。開けてみて、と言わればかっと開けてみたら……
あ、かんざしだ。しかも、とても綺麗な菖蒲。
「アヤメの為に特別に作らせたんだと」
「えっ、特注!?」
「そ。それだけあの額縁が嬉しかったって事だ」
あの爺さんアヤメの事は素直に喜ぶらしいぞ、って言っていて。あ、確か頑固で意地っ張りって言ってたっけ。照れ屋さんだってことも言ってたかも。ふふ、早く会ってみたいな。
「付けてみる?」
「え、出来るの?」
「屋敷にいた時末の妹に毎日やれってせがまれるから覚えたんだ」
「なるほど……」
おぉ、確かナナミちゃんの一つ下だっけ。私と一緒だよね。お兄ちゃんはやっぱり妹には弱い感じ?
じゃあお願いします、と背中を向けた。梳かしただけで何も結ったりしてないから簡単だね。
と思ったら最も簡単に完成してしまった。さすがお兄ちゃんだ。
渡された鏡で見てみた。
「おぉ、菖蒲が咲いた!」
「色もぴったりだったな。気に入った?」
「うん! 大事にするね!」
ジルベルトにも、お似合いですよって褒められちゃった。ふふ、素敵なの貰っちゃった。というか、私貰いすぎな気もするんだけど?
「直接お礼言いたいな、絶対会いに行かなきゃ」
「え? じいさん、もう老いぼれだからくたばる前に会いに行くって言ってたぞ?」
「え、わ、私が行くんじゃなくて?」
「アヤメが身体弱いって知ってるから、だから自分が行った方がいいって言ってたんだと」
「でも、もう100歳超えてるんでしょ?」
「うちのじいさん、体力は40代の男性並みだぞ? 本当に年寄りかってくらい。それに、王宮の料理人辞める口実なんじゃないか?」
「え”っ」
「お前らが辞めさせてくれないからって煩く言ってるらしいぞ、陛下に」
「へいッ……えぇ!?」
「あぁ、アヤメ知らないんだっけ。国王陛下とじいさんは友人なんだ」
え、王様とお友達? えぇえ!?
まさかの事実に、目が飛び出しそうになってしまった。
「因みに言うと、うちのばあさんは国王陛下の初恋相手」
「え”っ」
「えぇー!?」
それ、言っていいんですか……? と言いたそうなジルベルト。それ、本当にいいの?
「別にいいだろ、アヤメだし」
「そ、そう……」
い、いいの、かな?
戻ってきたお母様とリアさん。私達の大きな声に、えー何何? と興味津々で。え、これ言っていいの?
「お爺さん達の衝撃的事実を目の当たりにしてしまいました……」
「あ~」
ナナミちゃん、これだけで分かったみたい。まぁでも分かりやすい?
「あー! お兄ちゃん!!」
と、ナナミちゃんは私の髪に刺さってる菖蒲のかんざしを指差していて。私がやりたかったのにー! と。対するタクミ君は、あっかんべーをしていた。兄妹仲良しでいいですね、うんうん。
「可愛いわぁ~!」
「アヤメちゃんの黒い髪にピッタリね~!」
と、興奮気味のお母様とリアさん。
最後には、これ全部買うわ! とお母様とリアさんが目を光らせて小切手を書いていた。着物一式、いくつも買ってたけど、大丈夫かな? あ、でも家で着る分にはいいのか。まだこの国では着物はあまり知られてないし。
「「おかえりなさーい! おとーさま!!」」
「おぉ、ただいま。それは、もしかして着物か?」
「そう!」
夜、帰ってきたお父様には、お母様とお揃いの着物姿でお出迎えしました。喜んでくれたようでよかった。
「こんな事なら、アルフレッドも一緒に帰宅すればよかったか」
「ふふ、フレッドは残念ね」
お兄様は帰ってこれなかったみたい、お仕事お疲れ様です。
「まぁまぁ! とっても素敵なものばかりね!」
「これが我々ナカムラ家の特産物〝着物〟です」
「とっても斬新な形なのね、見た事がないわ」
あ、あともう一人。リアさんも来ています。着物なんて見た事のないお洋服見たいに決まってるわ! とお母様が呼んだのだ。リアさんはブティックの有名店の代表だもんね。
触り心地は着物みたい。お爺様が、貰った領地で作られている布の触り心地がとても着物に似ているから特産物にどうだろうかと広めたらしい。
何となく、見た事のあるデザインや、新しいものまであって。あ、桜とか菊とかまである。
それでね、とナナミちゃんが出した一枚。それは……淡い紫の着物。そして、足元に描かれているのは……
「……菖蒲だ」
「そう。お爺様がこれをアヤメちゃんに、という事で持ってきたの」
私に、菖蒲を。とっても綺麗で、素敵な着物だ。何だか、着るのは勿体ない気もする。
「あの額縁、お爺様喜んでたって言ってたの。飾って毎日見てるんだって」
「え”っ」
だからこれ、プレゼントしてやれって言われたそう。何だか、デジャヴ。プレゼントをプレゼントで返されるなんて。でも、なんか笑っちゃいそう。
「うん、嬉しい。あとでお爺さんにお手紙送るね」
「うん、喜ぶと思うよ」
では着付けをしましょうか、と隣の部屋に。このあとお母様とリアさんも着付けをするそうで。こんなに素敵なもの着たいに決まってるじゃない! と結構楽しそう。
着物の下に着る肌着もちゃんと用意してくれたみたいで、ちょっと恥ずかしかったけれどナナミちゃんに着せてもらった。マリアも一緒に来て、着付けの仕方を教えてもらうそう。
「きっとアヤメちゃんの綺麗な黒髪が映えると思うよ。ほんっとアヤメちゃんの髪はとっても綺麗な黒髪よね~!」
「そ、そう? でもお爺様とかタクミ君も黒でしょ?」
「男は例外なの! 私達のお母様はブロンドヘアーだったからとっても羨ましがってたのよ」
お爺様はそのスフェーン国の人と結婚して、彼女達のお父様が産まれたらしい。もう一人兄弟の弟さんがいるそうで、彼らの叔父にあたる人だ。その人は今結婚して子供がそろそろ産まれるそう。結構若い人なのね。
と思ったら、10歳差らしい。おぉ、歳の差婚というやつね。おめでとうございます。じゃあ産まれるのが楽しみだね。ナナミちゃん達にとっては従妹って事になるのね。
「はーいじゃあこっち向いて~」
「はーい」
ぎゅっと締められるけどあのコルセットよりは全然いい。そして、はい完成! と背中をポンと押された。
おぉ、私着物って七五三以来? 大きくなってから全然着た事なかったからだいぶ嬉しい。とっても素敵な着物だし、着心地もとってもいいし。
じゃ~ん! とお母様達に見せに行くと、あらぁ! と喜んでくれて。
「も~ウチの子は何着ても似合っちゃうのよね~」
「ほんっとアヤメちゃんは可愛いんだから~、羨ましいわぁ」
と、褒められてしまった。あ、ありがとうございます。
それから、手、伸ばしてみて。と指示をされて着物を観察していて。袖が長いし、帯とかもあるし。【なかむら】の制服とは違って上下一緒。私達が普段着ている洋服も一緒だけど、でもスカートは膨らんでない。
「コルセットとは違うのね、しっかりと支えられているわ。袖も長いけど、袋になっているのね」
「色々な組み合わせもあって面白そうね」
くるくる回されて観察されて。あの、お母様方、自分で着ないんですか? あんなに盛り上がってたのに。
「帯留め、と言うのよね。これも沢山種類があっていいわ。シンプルなものからお洒落なものまで」
そういえば、帯留めってレジンで作れたりしないのかな。金具が変わるだけで可能な気もするんだけど。あと、このかんざし。飾りの部分で作れそうな気がする。でもどちらも専用の金具とかがないと作れないか。
……あ。お母様にバレた? その私に向けてる顔、ニヤニヤしてるから絶対にバレた。
さ、私達も着付けしてもらいましょうか。とお母様とリアさんとマリアがナナミちゃんと一緒に行ってしまった。残されてしまったのは、私とタクミ君と護衛騎士のジルベルト。
「着物事業は今叔父さんが担ってるんだ。と言っても、スフェーン王国の商会長が叔父さんで、ナカムラ家の特産品とかの販売など全てを叔父さんが管理してるって事だ」
「へぇ」
この着物達も、その叔父さんが持ってきてくれたらしい。あ、持っていってもらった、ね。今奥さん妊婦さんだから大変だもんね。
新商品に、領地で人気なもの、店で人気なもの、と色々と教えてもらうとやっぱりカラフルでおしゃれなものが流行りなのかな。私的にはお花とかの日本ぽいのが好きかな。
「それで、じいさんからもう一つ」
「え?」
彼が出してきたのは、小さな木箱。開けてみて、と言わればかっと開けてみたら……
あ、かんざしだ。しかも、とても綺麗な菖蒲。
「アヤメの為に特別に作らせたんだと」
「えっ、特注!?」
「そ。それだけあの額縁が嬉しかったって事だ」
あの爺さんアヤメの事は素直に喜ぶらしいぞ、って言っていて。あ、確か頑固で意地っ張りって言ってたっけ。照れ屋さんだってことも言ってたかも。ふふ、早く会ってみたいな。
「付けてみる?」
「え、出来るの?」
「屋敷にいた時末の妹に毎日やれってせがまれるから覚えたんだ」
「なるほど……」
おぉ、確かナナミちゃんの一つ下だっけ。私と一緒だよね。お兄ちゃんはやっぱり妹には弱い感じ?
じゃあお願いします、と背中を向けた。梳かしただけで何も結ったりしてないから簡単だね。
と思ったら最も簡単に完成してしまった。さすがお兄ちゃんだ。
渡された鏡で見てみた。
「おぉ、菖蒲が咲いた!」
「色もぴったりだったな。気に入った?」
「うん! 大事にするね!」
ジルベルトにも、お似合いですよって褒められちゃった。ふふ、素敵なの貰っちゃった。というか、私貰いすぎな気もするんだけど?
「直接お礼言いたいな、絶対会いに行かなきゃ」
「え? じいさん、もう老いぼれだからくたばる前に会いに行くって言ってたぞ?」
「え、わ、私が行くんじゃなくて?」
「アヤメが身体弱いって知ってるから、だから自分が行った方がいいって言ってたんだと」
「でも、もう100歳超えてるんでしょ?」
「うちのじいさん、体力は40代の男性並みだぞ? 本当に年寄りかってくらい。それに、王宮の料理人辞める口実なんじゃないか?」
「え”っ」
「お前らが辞めさせてくれないからって煩く言ってるらしいぞ、陛下に」
「へいッ……えぇ!?」
「あぁ、アヤメ知らないんだっけ。国王陛下とじいさんは友人なんだ」
え、王様とお友達? えぇえ!?
まさかの事実に、目が飛び出しそうになってしまった。
「因みに言うと、うちのばあさんは国王陛下の初恋相手」
「え”っ」
「えぇー!?」
それ、言っていいんですか……? と言いたそうなジルベルト。それ、本当にいいの?
「別にいいだろ、アヤメだし」
「そ、そう……」
い、いいの、かな?
戻ってきたお母様とリアさん。私達の大きな声に、えー何何? と興味津々で。え、これ言っていいの?
「お爺さん達の衝撃的事実を目の当たりにしてしまいました……」
「あ~」
ナナミちゃん、これだけで分かったみたい。まぁでも分かりやすい?
「あー! お兄ちゃん!!」
と、ナナミちゃんは私の髪に刺さってる菖蒲のかんざしを指差していて。私がやりたかったのにー! と。対するタクミ君は、あっかんべーをしていた。兄妹仲良しでいいですね、うんうん。
「可愛いわぁ~!」
「アヤメちゃんの黒い髪にピッタリね~!」
と、興奮気味のお母様とリアさん。
最後には、これ全部買うわ! とお母様とリアさんが目を光らせて小切手を書いていた。着物一式、いくつも買ってたけど、大丈夫かな? あ、でも家で着る分にはいいのか。まだこの国では着物はあまり知られてないし。
「「おかえりなさーい! おとーさま!!」」
「おぉ、ただいま。それは、もしかして着物か?」
「そう!」
夜、帰ってきたお父様には、お母様とお揃いの着物姿でお出迎えしました。喜んでくれたようでよかった。
「こんな事なら、アルフレッドも一緒に帰宅すればよかったか」
「ふふ、フレッドは残念ね」
お兄様は帰ってこれなかったみたい、お仕事お疲れ様です。