目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
第四章 異世界のお手紙
◇26 お手紙
最近、お母様のご友人であるラル侯爵夫人が来訪するようになった。その理由は、私の貴族作法レッスンの為だ。
こんな凄い人にレッスンなんて頼んでもいいのだろうか、と思ったけれど、お母様も全然問題ないわと言っていたし、とにかく本人が大歓迎だった為お願いしたという事だ。押し花のお礼も兼ねているらしい。別に気になさらなくてもいいのに。
「では今日は、お手紙の書き方ですね」
「よ、よろしくお願いします……」
実は、今日のレッスン内容は私がお願いしたのだ。遂に来てしまったのだ。……王太子殿下からのお手紙が。
初めて王様達に謁見した際に王太子殿下にお会いして、何だかんだでお手紙からという事になってしまったからだ。本気で言っているとは全く思わなかったから、本当にびっくりしてしまった。
こっちに来てお手紙はカリナに一枚書いた事がある。マリアに教えてもらってだ。だいぶその時は苦労した。でも、地球でもちょっとお手紙の書き方を習っただけで実際に書いた事なんてない。SNSが身近にあったからだ。
殿下のお手紙からは、そう焦らずすぐに返さなくてもいいし、短い文章でもいいと書かれていた。本当に親子揃ってお優しい方達だって安心したけれど。でも王族の方にお手紙だなんて手が震えそうだよ。
「ではまず、お手紙の種類からお話しましょう。こちらをご覧ください」
そうして出されたのは、色違いのレターセット。金色、青色、緑色、黄色、黄緑色、白色だ。
「書く人物の階級によって色が変わってくるのです。まず白ですね。こちらは平民が扱うものとなっています。そして黄緑は商人、黄色は下位貴族です。伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵です。
そして緑色は上位貴族です。公爵と侯爵、辺境伯ですね」
これは、手紙を仕分ける為に色が違うらしい。王宮ではたくさんのお手紙が届くらしいし、貴族でも複数送られる。なるほど、それは便利だ。
確かに、カリナは黄色のレターセットを使っていた。伯爵令嬢だからって事だよね。
「じゃあ、私が使うのは緑色ですか?」
「いえ、違います。このアドマンス公爵家には皇族の血が流れておりますので、お嬢様がお使いになる手紙はこちらです」
「……え?」
夫人が指したのは、青のレターセットだった。なんか、青のが残っちゃったなと思ったらそういう事だったのか。確かに、この家は特別な家だって言ってたけれど、ここでも違いが出てくるなんて。やっぱりすごい家なんだ。
では、早速書いていきましょうか。と、便箋が目の前に広げられた。 白い紙に、青い綺麗な装飾がされた便箋だ。さっきも見たけれど、この異世界での便箋は全部罫線の入っていない無地のものだ。え、これで書いていくの? 絶対曲がっちゃうと思うんだけど。
「謹啓、から始めます」
「は、はいっ!」
思ったんだけどさ、ただの練習にこんなすごい便箋を使ってもいいのだろうか。そう思ってしまった。
頭をだいぶひねって、殿下へのお手紙が何とか完成したのだった。殿下からは、短くてもいいとおっしゃって下さったから、半分しか書けなかったけどこれでも大丈夫だと思う。うん。本当にすみません。
最後に、封蝋をたらしてスタンプを押した。これは、このアドマンス家の家紋。何度見ても、かっこいい家紋だ。
はい、お疲れさまでした。とラル夫人が褒めてくれた。本当に頑張った、偉いぞ私。
「これって、郵便屋さんが持っていってくれるんですか?」
「郵便屋さん、ですか?」
「……え?」
「お手紙は、屋敷の者が直接届けるのが普通です」
「へぇ……」
じゃあ、郵便屋さんという職業はないって事? なんか不思議だな。
「その、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「あ、はいどうぞ」
「その、郵便屋さん、とは?」
「あ、私の生まれ故郷では、郵便局員という職業があって、郵便物を配達してくれるんです。あ、手紙の他に荷物も運んでくれるんですよ」
「運送とは違うのですか?」
「う~ん、よく分からないんですけど……荷物の大きさ、ですかね」
「なるほど……確かに、そういった職業の方がいらっしゃったらとても便利になりますね。特に、長距離の配達となると何日もかかりますから、専門の方がいらっしゃったらもっと早く届ける事が可能かもしれませんね」
公爵夫人にお話してみてはどうでしょうか、と言われてしまった。おっと、これはこの前のパターンかな? でも、よくなるなら言ったほうが良いのかもしれない。
とりあえず、今日のレッスンは終わりにしましょう、という事になった。そのまま、お母様の所に向かったのだ。
そして、お約束の展開になってしまった。
「良いじゃない良いじゃない! なんて素晴らしいの!」
早速バートに話してみましょ! と本気にしてしまったのだ。まぁ、今回は魔道具じゃないけど。でも、結構大変なものになってしまうのでは? だって、新しい職業を作るって事になっちゃうわけでしょ? なんか、またすごい事になってしまった。
そして、帰ってきたお父様に言ってしまったお母様。またお父様の執務室で作戦会議となってしまって。
「なるほど、専門の郵便配達員か」
「郵便の他にも、小さな荷物も一緒に配達するらしいの。とっても良い職業だと思わない?」
「確かに、ウチにも他の屋敷にも配達する係の者はいるが、長距離となると重労働である為負担がかかってしまっていたし、限られた者にしか任せることが出来ない。そういった専門の者がいるのであれば手紙を出すこちらとしても安心して渡すことが出来る」
「専門となるのであれば、決まったルートを確保することも出来るし、一回の配送で沢山の手紙を配りに行ってくれるから効率もいいわ」
「荷物の量で、乗り物も選択できる。少ないのであれば足の速い馬でいけるのだからな。乗り慣れていればもっと短時間で配送出来るだろう」
よし、検討してみよう。そう言って下さった。そうだよね、負担が軽減出来るのであれば、とっても嬉しいよね。
これでまた、ちょっとは貢献出来たかな?
こんな凄い人にレッスンなんて頼んでもいいのだろうか、と思ったけれど、お母様も全然問題ないわと言っていたし、とにかく本人が大歓迎だった為お願いしたという事だ。押し花のお礼も兼ねているらしい。別に気になさらなくてもいいのに。
「では今日は、お手紙の書き方ですね」
「よ、よろしくお願いします……」
実は、今日のレッスン内容は私がお願いしたのだ。遂に来てしまったのだ。……王太子殿下からのお手紙が。
初めて王様達に謁見した際に王太子殿下にお会いして、何だかんだでお手紙からという事になってしまったからだ。本気で言っているとは全く思わなかったから、本当にびっくりしてしまった。
こっちに来てお手紙はカリナに一枚書いた事がある。マリアに教えてもらってだ。だいぶその時は苦労した。でも、地球でもちょっとお手紙の書き方を習っただけで実際に書いた事なんてない。SNSが身近にあったからだ。
殿下のお手紙からは、そう焦らずすぐに返さなくてもいいし、短い文章でもいいと書かれていた。本当に親子揃ってお優しい方達だって安心したけれど。でも王族の方にお手紙だなんて手が震えそうだよ。
「ではまず、お手紙の種類からお話しましょう。こちらをご覧ください」
そうして出されたのは、色違いのレターセット。金色、青色、緑色、黄色、黄緑色、白色だ。
「書く人物の階級によって色が変わってくるのです。まず白ですね。こちらは平民が扱うものとなっています。そして黄緑は商人、黄色は下位貴族です。伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵です。
そして緑色は上位貴族です。公爵と侯爵、辺境伯ですね」
これは、手紙を仕分ける為に色が違うらしい。王宮ではたくさんのお手紙が届くらしいし、貴族でも複数送られる。なるほど、それは便利だ。
確かに、カリナは黄色のレターセットを使っていた。伯爵令嬢だからって事だよね。
「じゃあ、私が使うのは緑色ですか?」
「いえ、違います。このアドマンス公爵家には皇族の血が流れておりますので、お嬢様がお使いになる手紙はこちらです」
「……え?」
夫人が指したのは、青のレターセットだった。なんか、青のが残っちゃったなと思ったらそういう事だったのか。確かに、この家は特別な家だって言ってたけれど、ここでも違いが出てくるなんて。やっぱりすごい家なんだ。
では、早速書いていきましょうか。と、便箋が目の前に広げられた。 白い紙に、青い綺麗な装飾がされた便箋だ。さっきも見たけれど、この異世界での便箋は全部罫線の入っていない無地のものだ。え、これで書いていくの? 絶対曲がっちゃうと思うんだけど。
「謹啓、から始めます」
「は、はいっ!」
思ったんだけどさ、ただの練習にこんなすごい便箋を使ってもいいのだろうか。そう思ってしまった。
頭をだいぶひねって、殿下へのお手紙が何とか完成したのだった。殿下からは、短くてもいいとおっしゃって下さったから、半分しか書けなかったけどこれでも大丈夫だと思う。うん。本当にすみません。
最後に、封蝋をたらしてスタンプを押した。これは、このアドマンス家の家紋。何度見ても、かっこいい家紋だ。
はい、お疲れさまでした。とラル夫人が褒めてくれた。本当に頑張った、偉いぞ私。
「これって、郵便屋さんが持っていってくれるんですか?」
「郵便屋さん、ですか?」
「……え?」
「お手紙は、屋敷の者が直接届けるのが普通です」
「へぇ……」
じゃあ、郵便屋さんという職業はないって事? なんか不思議だな。
「その、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「あ、はいどうぞ」
「その、郵便屋さん、とは?」
「あ、私の生まれ故郷では、郵便局員という職業があって、郵便物を配達してくれるんです。あ、手紙の他に荷物も運んでくれるんですよ」
「運送とは違うのですか?」
「う~ん、よく分からないんですけど……荷物の大きさ、ですかね」
「なるほど……確かに、そういった職業の方がいらっしゃったらとても便利になりますね。特に、長距離の配達となると何日もかかりますから、専門の方がいらっしゃったらもっと早く届ける事が可能かもしれませんね」
公爵夫人にお話してみてはどうでしょうか、と言われてしまった。おっと、これはこの前のパターンかな? でも、よくなるなら言ったほうが良いのかもしれない。
とりあえず、今日のレッスンは終わりにしましょう、という事になった。そのまま、お母様の所に向かったのだ。
そして、お約束の展開になってしまった。
「良いじゃない良いじゃない! なんて素晴らしいの!」
早速バートに話してみましょ! と本気にしてしまったのだ。まぁ、今回は魔道具じゃないけど。でも、結構大変なものになってしまうのでは? だって、新しい職業を作るって事になっちゃうわけでしょ? なんか、またすごい事になってしまった。
そして、帰ってきたお父様に言ってしまったお母様。またお父様の執務室で作戦会議となってしまって。
「なるほど、専門の郵便配達員か」
「郵便の他にも、小さな荷物も一緒に配達するらしいの。とっても良い職業だと思わない?」
「確かに、ウチにも他の屋敷にも配達する係の者はいるが、長距離となると重労働である為負担がかかってしまっていたし、限られた者にしか任せることが出来ない。そういった専門の者がいるのであれば手紙を出すこちらとしても安心して渡すことが出来る」
「専門となるのであれば、決まったルートを確保することも出来るし、一回の配送で沢山の手紙を配りに行ってくれるから効率もいいわ」
「荷物の量で、乗り物も選択できる。少ないのであれば足の速い馬でいけるのだからな。乗り慣れていればもっと短時間で配送出来るだろう」
よし、検討してみよう。そう言って下さった。そうだよね、負担が軽減出来るのであれば、とっても嬉しいよね。
これでまた、ちょっとは貢献出来たかな?