目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇27 郵便事業
私が言い出した〝郵便事業〟は、アドマンス公爵家が運営する事になった。一応私が主体となっているけれど、身体が弱いし、あの押し花ブランド【クローバー】の事業もあるから、お父様とお母様達が手伝って下さるらしい。
これは仕事ではあるけれど、無理は絶対にしちゃダメよって。絶対に、が大分強調されちゃった。
この国では、レターセットは商会によって取り扱われている。レターセットの種類によって、平民の皆さんが使う白のものからだんだん上に値段が上がっていくのだ。値段設定の仕方がとても上手い。いっぱいお金持っている人からは沢山いただきますよって事ね!
「レストリス商会からは話はつけておいたわ。侯爵様も話を聞きたいと後日こちらに来るそうよ」
「ほんとですか!」
「えぇ、素晴らしい事業だと絶賛していたわ」
そう言って下さるお母様。お仕事のはずなんだけど、その時間を割いて私に費やしてくださってる訳だ。本当にありがとうございます。
「それで、色々と郵便システムを考えなければならない訳だけれど……」
「その、地球では〝切手〟と言われるものがあるんです」
「切手?」
「お手紙を送る際に、郵便物に張り付けるものなんです。郵便物を送る際の料金のようなものです」
「なるほど、あらかじめその切手を購入する事でその料金を支払っておけば、配達した際の料金の徴収をする手間が省けるという訳ね」
「はい。郵便切手が使用済みであることを示すための〝消印〟を押せば剥がしてまた使われる事はありません」
「となると、切手を用意するためのものが必要になってくるわね。でも、それは考えがあるわ」
「え?」
「王宮の財務省のトップ、ウォーマン・ナジアンス侯爵。唯一王から小切手と貨幣の製造を任されている方よ」
小切手と貨幣、お金関係を管理している人物。唯一、だなんて。じゃあ、偽造を働いたりする可能性のある役目だから、それだけ信頼性の高い人物という事だ。
「小切手を印刷する為に使用される魔道具や、印刷に使用される紙には、不正を防ぐため色々な仕組みがなされているの。今回、アヤメちゃんが作ろうとしているものもお金、国王陛下の許可も必要ではあるけれど、まずは彼に話を付けた方がいいと思うわ」
なるほど。魔道具の著作権は彼が持っているから、許可を貰わないといけないという事ね。でも、果たして彼からOKをいただけるだろうか。
「分かりました、じゃあお手紙を出してみますね」
「ふふ、そうね。アヤメちゃんにお願いするわ」
よーし、頑張るぞー!
後日、こちらに出向いてくださった侯爵様。見たところ、好印象だったみたい。だけど……
「成る程、実に面白い。範囲は?」
「最初はこの首都と第二首都であるラスニアス都市、あと第三首都のターザニシアス都市にしようかと思っています」
「その三都市なら道もいいし距離もそう遠くない、最適だな」
首都からラスニアス都市までは馬なら大体5時間。ターザニシアス都市なら8時間といった所だ。もしベテランならもっと早く行く事ができる。
「と言っても、雇用人には負担もかかるし重労働。そして危険もつきものだ。道中何かあるのか分からんし、手紙が狙われる可能性もある。なので、それ相応の賃金を支払わなければならなくなる。
幸い、手紙のやり取りは貴族間で普通に行われているから利益は出るだろうが、果たして利用するに至るだろうか」
「あ……」
「もう一つ。切手を使うにあたって、製造するにはコストがかかる。手紙に貼り付ける為、紙にも細工をしなければならなくなる。魔道具を動かす為の魔石、切手のコスト、雇用人の賃金。利益はどれくらい出るだろうか」
確かにそうだ。何をするにしても利益を出さなければならない。人を雇うのだから当たり前だ。【クローバー】では、手伝ってくださっているエミリーさん、あとアドマンス家のメイドさん達にはお母様が支払ってくださっていたけれど、でもそれではダメだ。
「……あの、侯爵様がお使いになられている印刷機は、絵も印刷出来ますか?」
「あぁ、可能だ。印刷している小切手には、王家のものや、令嬢の家であるアドマンス公爵家、侯爵家のものは一家一家デザインが違い家紋も入っているからな」
「縮小とかも出来ますか?」
「あぁ」
「じゃあ……押し花で綺麗にデザインした切手を販売したら、買ってくれるでしょうか……?」
「成る程、私もご令嬢のブランドの人気は聞き及んでいる。家内も購入し喜んでいたよ」
「本当ですか! ありがとうございます」
「デザインにもよるが、きっと女性の方々が購入しようと集まるだろう」
地球には、切手を集めるのが好きな人がいた。切手収集が趣味の人達だ。とっても素敵なデザインがたくさんあって、記念切手なんてものもあった。国内で歴史に残るような素敵な出来事があった際に記念に作られる切手だ。
しかも、切手買取なんてものがあって、中には購入時の金額以上の値がついたものまであった。本当に凄いよね。びっくりしちゃった。それだけ価値のあるものだという事だ。
まぁそんなに凄いものは作れないけど、色々と素敵なデザインのものを作ってみよう。私なら、相手の事を考えて切手を選んだりしたいし。そっちの方が送る側も楽しいよね。
「だが、この料金設定は安すぎなように思うのだが。距離も一律でいいのか」
「利用するのは貴族の方々だけではありません。遠くの人に自分の言葉を伝える方法がこれしかないのですから、幅広い方々に利用してもらいたいと思ってその値段にしました」
平民の方々が使うレターセットは高くない。だから、きっと簡単に用意できると思う。沢山書いて、遠くの人達とやり取りが出来るようにお手伝いをしたい。
「成る程な。平民達には手紙はあまり利用されていない。代わりに届けてくれる人物がいるのであればきっと利用するもの達が増えるだろう。
では後日、国王陛下へご報告しよう」
「はい、これからよろしくお願いします」
「陛下からの許可をいただかなければならないので少し気が早いとは思うが、こちらこそよろしく頼むよ」
不安もあるけれど、でもこれが成功したらきっと便利になるはず。だから、頑張って郵便事業を成功させよう!
これは仕事ではあるけれど、無理は絶対にしちゃダメよって。絶対に、が大分強調されちゃった。
この国では、レターセットは商会によって取り扱われている。レターセットの種類によって、平民の皆さんが使う白のものからだんだん上に値段が上がっていくのだ。値段設定の仕方がとても上手い。いっぱいお金持っている人からは沢山いただきますよって事ね!
「レストリス商会からは話はつけておいたわ。侯爵様も話を聞きたいと後日こちらに来るそうよ」
「ほんとですか!」
「えぇ、素晴らしい事業だと絶賛していたわ」
そう言って下さるお母様。お仕事のはずなんだけど、その時間を割いて私に費やしてくださってる訳だ。本当にありがとうございます。
「それで、色々と郵便システムを考えなければならない訳だけれど……」
「その、地球では〝切手〟と言われるものがあるんです」
「切手?」
「お手紙を送る際に、郵便物に張り付けるものなんです。郵便物を送る際の料金のようなものです」
「なるほど、あらかじめその切手を購入する事でその料金を支払っておけば、配達した際の料金の徴収をする手間が省けるという訳ね」
「はい。郵便切手が使用済みであることを示すための〝消印〟を押せば剥がしてまた使われる事はありません」
「となると、切手を用意するためのものが必要になってくるわね。でも、それは考えがあるわ」
「え?」
「王宮の財務省のトップ、ウォーマン・ナジアンス侯爵。唯一王から小切手と貨幣の製造を任されている方よ」
小切手と貨幣、お金関係を管理している人物。唯一、だなんて。じゃあ、偽造を働いたりする可能性のある役目だから、それだけ信頼性の高い人物という事だ。
「小切手を印刷する為に使用される魔道具や、印刷に使用される紙には、不正を防ぐため色々な仕組みがなされているの。今回、アヤメちゃんが作ろうとしているものもお金、国王陛下の許可も必要ではあるけれど、まずは彼に話を付けた方がいいと思うわ」
なるほど。魔道具の著作権は彼が持っているから、許可を貰わないといけないという事ね。でも、果たして彼からOKをいただけるだろうか。
「分かりました、じゃあお手紙を出してみますね」
「ふふ、そうね。アヤメちゃんにお願いするわ」
よーし、頑張るぞー!
後日、こちらに出向いてくださった侯爵様。見たところ、好印象だったみたい。だけど……
「成る程、実に面白い。範囲は?」
「最初はこの首都と第二首都であるラスニアス都市、あと第三首都のターザニシアス都市にしようかと思っています」
「その三都市なら道もいいし距離もそう遠くない、最適だな」
首都からラスニアス都市までは馬なら大体5時間。ターザニシアス都市なら8時間といった所だ。もしベテランならもっと早く行く事ができる。
「と言っても、雇用人には負担もかかるし重労働。そして危険もつきものだ。道中何かあるのか分からんし、手紙が狙われる可能性もある。なので、それ相応の賃金を支払わなければならなくなる。
幸い、手紙のやり取りは貴族間で普通に行われているから利益は出るだろうが、果たして利用するに至るだろうか」
「あ……」
「もう一つ。切手を使うにあたって、製造するにはコストがかかる。手紙に貼り付ける為、紙にも細工をしなければならなくなる。魔道具を動かす為の魔石、切手のコスト、雇用人の賃金。利益はどれくらい出るだろうか」
確かにそうだ。何をするにしても利益を出さなければならない。人を雇うのだから当たり前だ。【クローバー】では、手伝ってくださっているエミリーさん、あとアドマンス家のメイドさん達にはお母様が支払ってくださっていたけれど、でもそれではダメだ。
「……あの、侯爵様がお使いになられている印刷機は、絵も印刷出来ますか?」
「あぁ、可能だ。印刷している小切手には、王家のものや、令嬢の家であるアドマンス公爵家、侯爵家のものは一家一家デザインが違い家紋も入っているからな」
「縮小とかも出来ますか?」
「あぁ」
「じゃあ……押し花で綺麗にデザインした切手を販売したら、買ってくれるでしょうか……?」
「成る程、私もご令嬢のブランドの人気は聞き及んでいる。家内も購入し喜んでいたよ」
「本当ですか! ありがとうございます」
「デザインにもよるが、きっと女性の方々が購入しようと集まるだろう」
地球には、切手を集めるのが好きな人がいた。切手収集が趣味の人達だ。とっても素敵なデザインがたくさんあって、記念切手なんてものもあった。国内で歴史に残るような素敵な出来事があった際に記念に作られる切手だ。
しかも、切手買取なんてものがあって、中には購入時の金額以上の値がついたものまであった。本当に凄いよね。びっくりしちゃった。それだけ価値のあるものだという事だ。
まぁそんなに凄いものは作れないけど、色々と素敵なデザインのものを作ってみよう。私なら、相手の事を考えて切手を選んだりしたいし。そっちの方が送る側も楽しいよね。
「だが、この料金設定は安すぎなように思うのだが。距離も一律でいいのか」
「利用するのは貴族の方々だけではありません。遠くの人に自分の言葉を伝える方法がこれしかないのですから、幅広い方々に利用してもらいたいと思ってその値段にしました」
平民の方々が使うレターセットは高くない。だから、きっと簡単に用意できると思う。沢山書いて、遠くの人達とやり取りが出来るようにお手伝いをしたい。
「成る程な。平民達には手紙はあまり利用されていない。代わりに届けてくれる人物がいるのであればきっと利用するもの達が増えるだろう。
では後日、国王陛下へご報告しよう」
「はい、これからよろしくお願いします」
「陛下からの許可をいただかなければならないので少し気が早いとは思うが、こちらこそよろしく頼むよ」
不安もあるけれど、でもこれが成功したらきっと便利になるはず。だから、頑張って郵便事業を成功させよう!