目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇28 またまた王宮
ドドンッ!!
目の前には、とても素晴らしいお城。
あぁ、また来てしまった……この国で一番大きな建物、王城に。
今日は、王様に謁見する為に来ている。あの郵便事業に関してのお話をする為だ。
以前のようにまたお父様が私の事に気が付いてくれて案内人がお父様になってしまった。お仕事は? と思ったけれど気にするなと言われてしまった。でも、前回も今回もあまりにもタイミングが良すぎるのはどうしてでしょうか?
途中でナジアンス侯爵様を発見し、一緒に王様に謁見する事に。謁見室に、と思ったのだけれど、今回も貴賓室となってしまった。
お父様は謁見せず、私と侯爵様のみお部屋に入った。
「話は聞いておる、とても素晴らしい事業ではないか。だが、事業者が令嬢となっていて驚いた。これは君の星の知識かな」
「はい、とても身近なものでした。一家に必ず〝ポスト〟というものがあって、そこに郵便配達員が郵便物を入れてました」
「ほぅ、そこまで進んでおるのか。とても素晴らしい通信システムであるな」
「私も、聞いた時には驚きました」
「そうであろう、ナジアンス卿。もっと令嬢の星の事を聞きたいものだ」
と言っても、あまり手紙を書く機会はなかった。年賀はがきとか、それくらいじゃないかな。届くものと言えば、新聞に広告に、いろんな領収書とか。誰かとのやり取りはスマホとかでSNSを使ってしてた。けれどこれは言わない方が身のためかも。大変な事になりそうだもん。
「とっても素敵な事業だわ、もし始まったなら私も利用させてちょうだいね」
「は、はい! ありがとうございます!」
とってもすんなり事が進んでしまった。これでいいのだろうか。でも、侯爵様からのご協力があったからだよね。ありがとうございます。
「この事業、もしかしてトリスとのお手紙のやり取りで思いついたのかしら?」
「は、はい」
「まぁ! なんて素敵なのでしょう! トリスも、アヤメさんの手紙が届くととても嬉しそうに受け取るのよ」
おっと、また殿下の話が出てきちゃった。もしや前回みたいにご本人来ちゃったりする?
この事業が出来上がったらもっと簡単にやり取りが出来るわね、と言われてしまい、しかも私もアヤメさんに書くわね、まで言われてしまった。
え、王妃様が私にお手紙を……? え、じゃあお返しの手紙を何て書けば……?
もう今から冷汗だらだらであった。
何とか笑顔をキープして、部屋を退出したのだ。
「陛下から許可を頂いたから、これからすぐに進めよう。私も出来るだけ協力させてくれ」
「え? よろしいのですか?」
「あぁ、魔道具の扱い方などはこちらがよく知っている。それに何より私がその事業に興味があるからな。参加させてくれないか」
「あ、はい、とても助かります」
「あぁ、感謝する。これからよろしく頼む」
ま、まさか侯爵様が協力してくださるなんて思ってもみなかった。でも、侯爵様がいて下さるのであればもう百人力だよね。ありがとうございます!
ではここで失礼する、と彼と別れた。財務省のトップって言ってたっけ。とってもご多忙なのに、私の為に時間を割いてくださってありがとうございます。
さ、許可を頂けたから直ぐに帰ってお母様に報告しなきゃ。
……と、思ったら。
「初めまして、ご令嬢」
デジャヴ。またまたご令嬢達のご登場である。しかもまた3人。
わたくしは、と自己紹介を。そして他の2人のご令嬢も紹介してくれた。
「もしや、アドマンス家のご令嬢では?」
「はい、アヤメ・アドマンスと申します」
あ、もしかして前回と同じパターン? お友達、とか?
「実はわたくし達、これからお茶会をするんです。よろしければご令嬢も一緒にいかがですか?」
「え?」
「他にもカリナ嬢とカルメラ嬢もいらっしゃるのです」
あ、カリナいるんだ。けれど、初めてこの王宮に来た時会ったご令嬢、カルメラ嬢もいるんだよね。どうしよう……
皆優しい人達ですから、そんなに緊張なさらなくて大丈夫ですよ。と言ってはくれるけれど、早く帰ってお母様に報告もしたいし……
と、思っていた時、私の名を呼ぶ人物がいた。
「アヤメ」
「えっ、お、お兄様!?」
そう、アルフレッドお兄様だ。驚いてしまったけれど、そういえばここ職場だったな、お兄様の。そりゃバッタリ会う事だってあるよね。けどこのタイミングですか。
あ、二人のご令嬢、顔赤くなってる。うん、分かるよ。お兄様イケメンだもんね。表情筋がお仕事していなくてもカッコいいもん。
「謁見は終わったのか」
「はい」
あら、ここに来る事知ってたの? 言ってなかった気がしたんだけど、もしかしてお父様?
「妹は身体が弱くてな、もう帰らせたいから、これで失礼する」
「あ、失礼します」
と、その場を退散してしまった。さすがだ、お兄様。こんなにあっさりと断れたなんて。あのままだったらきっと断れずに連行されてしまっていた事だろう。
確か、王宮の庭園でお茶をするのはお金を払えば出来るって聞いた。それか、王族の方からのご招待だけ。そんな事出来るんだ~ってそのままスルーしちゃったけれど、まさかこんな事になるとは。
「あの、お仕事は……」
「休憩中だ」
あ、そうですか。副団長なのにこんな所にいてもいいのだろうか。
チラリと見えた制服の袖。私がこの前プレゼントした私手作りのカフスボタンだ。良かった、使ってくれて。とっても素敵な制服だから、見劣りしないよう頑張ったんだけど、何とかって感じかな?
「侍女達は馬車だろう、そこまで送る」
「いいんですか?」
「あぁ」
あ、途中で迷子になったら大変だもんね。それかまたさっきみたいに捕まっちゃったり。
それにしても、王宮の方々の制服、かっこいいなぁ。お兄様やお父様みたいな騎士様達の制服もかっこいいけれど。もしかして、リアさんの所で作っていたり? 分からないけれど。
そう思っていたら、こちらに向かってくる方が一人。あ、お兄様足止めちゃった。お兄様と同じ制服を着てるから、一緒の職場の人だよね。でも、色々と装飾が付いてるから、もしかして……
「こっちから行こう」
「え?」
「待ったぁ!」
両肩を掴まれくるっと方向を変えられてしまった所で、その方の声がした。
「ったく~、そんなに俺に会わせたくないのか?」
「え?」
「仕事はどうしたんですか、団長」
だ、団長!? じゃあ、お兄様のいる近衛騎士団の一番上の方!? とっても凄い人だった!!
あ、挨拶しなきゃ。と思いまた方向転換。その方に向けて挨拶をした。
「は、初めまして。アヤメ・アドマンスと申します」
「おぉ、ご丁寧にありがとう。オダリス・フェレール。フェレール侯爵家の当主をしている。近衛騎士団団長だ」
おぉ、もっと凄い人だった。侯爵様ですか。見た目30代くらいで若いのに、侯爵様ですか!
「アヤメちゃん、って呼んでいい?」
「ダメです」
きっぱりと、隣にいたお兄様がそう言った。え、どうしましたお兄様?
「嫉妬かぁ~? お兄ちゃ~ん?」
「……仕事があるのでは? こんな所で油を売ってないで、さっさと片づけてください」
「あの程度の仕事なんて俺にかかればちょちょいのちょいだ!」
「あ、はは……」
いじられてるな、お兄様。何とも愉快な人だ。でもやっぱり、ここの人達ってイケメンばかりなのね。侯爵様も、結構イケメンだ。お兄様と並ぶともっと眩しい。サングラスが必要なくらい。
「今度一緒にお茶しようか、アヤメちゃん」
「え?」
「団長」
「おにいさまの恥ずかし~エピソード、聞きたいだろ?」
「団長!!」
お兄様の、エピソード……!! 聞きたい!! 聞きた過ぎる!! こんな感じでいじられてるんだ、きっと職場じゃいつもと違う感じに決まってるもん! 私屋敷でのお兄様しか知らないし!
「実は俺も、君が病弱だって聞いててな。会えて安心したよ」
「え?」
「だって、神官様呼ぶくらい酷かったんだろ? でも顔色も良さそうだし。安心したよ」
「あ、りがとう、ございます……」
え、顔も見た事がないのに、心配されちゃってた……? あ、お兄様とかから聞いたのかな。なんか、ありがとうございます。
「もう帰らせますのでここで失礼します」
「えっ!?」
いきなり背中を押されてまたまた退散させられてしまった。本人の前であんな事言っちゃったらこうなるか。でも、とっても楽しそうな人だった。
職場でのお兄様ってどんな感じなんだろう、気になる。
遠くから、お茶会の招待待ってるな~! って声がしたけれど、聞くなとお兄様に言われてしまった。……こっそり、お茶会しちゃう?
目の前には、とても素晴らしいお城。
あぁ、また来てしまった……この国で一番大きな建物、王城に。
今日は、王様に謁見する為に来ている。あの郵便事業に関してのお話をする為だ。
以前のようにまたお父様が私の事に気が付いてくれて案内人がお父様になってしまった。お仕事は? と思ったけれど気にするなと言われてしまった。でも、前回も今回もあまりにもタイミングが良すぎるのはどうしてでしょうか?
途中でナジアンス侯爵様を発見し、一緒に王様に謁見する事に。謁見室に、と思ったのだけれど、今回も貴賓室となってしまった。
お父様は謁見せず、私と侯爵様のみお部屋に入った。
「話は聞いておる、とても素晴らしい事業ではないか。だが、事業者が令嬢となっていて驚いた。これは君の星の知識かな」
「はい、とても身近なものでした。一家に必ず〝ポスト〟というものがあって、そこに郵便配達員が郵便物を入れてました」
「ほぅ、そこまで進んでおるのか。とても素晴らしい通信システムであるな」
「私も、聞いた時には驚きました」
「そうであろう、ナジアンス卿。もっと令嬢の星の事を聞きたいものだ」
と言っても、あまり手紙を書く機会はなかった。年賀はがきとか、それくらいじゃないかな。届くものと言えば、新聞に広告に、いろんな領収書とか。誰かとのやり取りはスマホとかでSNSを使ってしてた。けれどこれは言わない方が身のためかも。大変な事になりそうだもん。
「とっても素敵な事業だわ、もし始まったなら私も利用させてちょうだいね」
「は、はい! ありがとうございます!」
とってもすんなり事が進んでしまった。これでいいのだろうか。でも、侯爵様からのご協力があったからだよね。ありがとうございます。
「この事業、もしかしてトリスとのお手紙のやり取りで思いついたのかしら?」
「は、はい」
「まぁ! なんて素敵なのでしょう! トリスも、アヤメさんの手紙が届くととても嬉しそうに受け取るのよ」
おっと、また殿下の話が出てきちゃった。もしや前回みたいにご本人来ちゃったりする?
この事業が出来上がったらもっと簡単にやり取りが出来るわね、と言われてしまい、しかも私もアヤメさんに書くわね、まで言われてしまった。
え、王妃様が私にお手紙を……? え、じゃあお返しの手紙を何て書けば……?
もう今から冷汗だらだらであった。
何とか笑顔をキープして、部屋を退出したのだ。
「陛下から許可を頂いたから、これからすぐに進めよう。私も出来るだけ協力させてくれ」
「え? よろしいのですか?」
「あぁ、魔道具の扱い方などはこちらがよく知っている。それに何より私がその事業に興味があるからな。参加させてくれないか」
「あ、はい、とても助かります」
「あぁ、感謝する。これからよろしく頼む」
ま、まさか侯爵様が協力してくださるなんて思ってもみなかった。でも、侯爵様がいて下さるのであればもう百人力だよね。ありがとうございます!
ではここで失礼する、と彼と別れた。財務省のトップって言ってたっけ。とってもご多忙なのに、私の為に時間を割いてくださってありがとうございます。
さ、許可を頂けたから直ぐに帰ってお母様に報告しなきゃ。
……と、思ったら。
「初めまして、ご令嬢」
デジャヴ。またまたご令嬢達のご登場である。しかもまた3人。
わたくしは、と自己紹介を。そして他の2人のご令嬢も紹介してくれた。
「もしや、アドマンス家のご令嬢では?」
「はい、アヤメ・アドマンスと申します」
あ、もしかして前回と同じパターン? お友達、とか?
「実はわたくし達、これからお茶会をするんです。よろしければご令嬢も一緒にいかがですか?」
「え?」
「他にもカリナ嬢とカルメラ嬢もいらっしゃるのです」
あ、カリナいるんだ。けれど、初めてこの王宮に来た時会ったご令嬢、カルメラ嬢もいるんだよね。どうしよう……
皆優しい人達ですから、そんなに緊張なさらなくて大丈夫ですよ。と言ってはくれるけれど、早く帰ってお母様に報告もしたいし……
と、思っていた時、私の名を呼ぶ人物がいた。
「アヤメ」
「えっ、お、お兄様!?」
そう、アルフレッドお兄様だ。驚いてしまったけれど、そういえばここ職場だったな、お兄様の。そりゃバッタリ会う事だってあるよね。けどこのタイミングですか。
あ、二人のご令嬢、顔赤くなってる。うん、分かるよ。お兄様イケメンだもんね。表情筋がお仕事していなくてもカッコいいもん。
「謁見は終わったのか」
「はい」
あら、ここに来る事知ってたの? 言ってなかった気がしたんだけど、もしかしてお父様?
「妹は身体が弱くてな、もう帰らせたいから、これで失礼する」
「あ、失礼します」
と、その場を退散してしまった。さすがだ、お兄様。こんなにあっさりと断れたなんて。あのままだったらきっと断れずに連行されてしまっていた事だろう。
確か、王宮の庭園でお茶をするのはお金を払えば出来るって聞いた。それか、王族の方からのご招待だけ。そんな事出来るんだ~ってそのままスルーしちゃったけれど、まさかこんな事になるとは。
「あの、お仕事は……」
「休憩中だ」
あ、そうですか。副団長なのにこんな所にいてもいいのだろうか。
チラリと見えた制服の袖。私がこの前プレゼントした私手作りのカフスボタンだ。良かった、使ってくれて。とっても素敵な制服だから、見劣りしないよう頑張ったんだけど、何とかって感じかな?
「侍女達は馬車だろう、そこまで送る」
「いいんですか?」
「あぁ」
あ、途中で迷子になったら大変だもんね。それかまたさっきみたいに捕まっちゃったり。
それにしても、王宮の方々の制服、かっこいいなぁ。お兄様やお父様みたいな騎士様達の制服もかっこいいけれど。もしかして、リアさんの所で作っていたり? 分からないけれど。
そう思っていたら、こちらに向かってくる方が一人。あ、お兄様足止めちゃった。お兄様と同じ制服を着てるから、一緒の職場の人だよね。でも、色々と装飾が付いてるから、もしかして……
「こっちから行こう」
「え?」
「待ったぁ!」
両肩を掴まれくるっと方向を変えられてしまった所で、その方の声がした。
「ったく~、そんなに俺に会わせたくないのか?」
「え?」
「仕事はどうしたんですか、団長」
だ、団長!? じゃあ、お兄様のいる近衛騎士団の一番上の方!? とっても凄い人だった!!
あ、挨拶しなきゃ。と思いまた方向転換。その方に向けて挨拶をした。
「は、初めまして。アヤメ・アドマンスと申します」
「おぉ、ご丁寧にありがとう。オダリス・フェレール。フェレール侯爵家の当主をしている。近衛騎士団団長だ」
おぉ、もっと凄い人だった。侯爵様ですか。見た目30代くらいで若いのに、侯爵様ですか!
「アヤメちゃん、って呼んでいい?」
「ダメです」
きっぱりと、隣にいたお兄様がそう言った。え、どうしましたお兄様?
「嫉妬かぁ~? お兄ちゃ~ん?」
「……仕事があるのでは? こんな所で油を売ってないで、さっさと片づけてください」
「あの程度の仕事なんて俺にかかればちょちょいのちょいだ!」
「あ、はは……」
いじられてるな、お兄様。何とも愉快な人だ。でもやっぱり、ここの人達ってイケメンばかりなのね。侯爵様も、結構イケメンだ。お兄様と並ぶともっと眩しい。サングラスが必要なくらい。
「今度一緒にお茶しようか、アヤメちゃん」
「え?」
「団長」
「おにいさまの恥ずかし~エピソード、聞きたいだろ?」
「団長!!」
お兄様の、エピソード……!! 聞きたい!! 聞きた過ぎる!! こんな感じでいじられてるんだ、きっと職場じゃいつもと違う感じに決まってるもん! 私屋敷でのお兄様しか知らないし!
「実は俺も、君が病弱だって聞いててな。会えて安心したよ」
「え?」
「だって、神官様呼ぶくらい酷かったんだろ? でも顔色も良さそうだし。安心したよ」
「あ、りがとう、ございます……」
え、顔も見た事がないのに、心配されちゃってた……? あ、お兄様とかから聞いたのかな。なんか、ありがとうございます。
「もう帰らせますのでここで失礼します」
「えっ!?」
いきなり背中を押されてまたまた退散させられてしまった。本人の前であんな事言っちゃったらこうなるか。でも、とっても楽しそうな人だった。
職場でのお兄様ってどんな感じなんだろう、気になる。
遠くから、お茶会の招待待ってるな~! って声がしたけれど、聞くなとお兄様に言われてしまった。……こっそり、お茶会しちゃう?