目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇30 食べてもらいたいもの
今日は、とある場所に来ていた。
首都の大通り、人の行き来が多い場所だ。そこに面する場所に、とある建物を作ってもらっている。そう、その建物とは郵便局だ。
手紙を配達するには郵便局が必須。だから大急ぎで作ってもらっている。
「わぁ、とっても綺麗です!」
「良かった、お嬢様のご要望に応えられたようで安心しましたよ」
「引き続き、よろしくお願いします」
「はい、任せてください」
受付があって、切手コーナー、レターセットコーナーがあって、奥には送られてきた手紙を仕分けて保管する為の場所があって。あと建物の外には馬小屋もある。配達員さん達にとっては一番重要な移動手段ですから凄く良い小屋を建ててもらう予定です。
あと、リアさんに郵便局員さん達が着る制服を作って頂きました。本っっっ当に素敵でした。事務員の方々の制服は、地球ではスーツみたいなものだったけれど、女性はふわふわのスカートで首元には可愛いリボンのついたワンピース。男性用はシャツにベストのついたカッコいい制服になっている。
配達員さんは、スーツみたいなんだけど動きやすい生地を使ってるみたい。帽子も付いていて、お手紙を入れる為のショルダーバッグも。
あ、バッグは魔道具になっていて、外からの衝撃でお手紙が傷ついたり、雨で濡れないように施されていて。あと、盗まれたりしないよう鍵も付いている。お客様からお預かりした手紙に何かあったら大変だもん。
そして全員、胸元には金色のお花柄のバッジが付いている。郵便局員という証のバッジだ。
可愛すぎないように何とかデザインを考えて作ってみた。皆さん喜んでくれるといいんだけどな。
あぁあと、あの後教えてもらったんです。どの家にも、郵便受けがある事を。あ、郵便受けという名前ではないんだけどね。〝お知らせポケット〟って言うんですって。なんか可愛いでしょ。玄関に取り付けられてるみたい。
それが付けられるようになったのは、約五十年前。その頃は魔道具で紙を作る技術が進歩したらしい。それが進んで今では誰もが普通に紙を使っている。
当時は、宣伝やニュースなどが書かれたチラシ? 新聞? みたいなものを配る事が流行った。と言っても首都にしかなかったのだけれどね。でもそのチラシは手持ちのついた袋に入れて玄関の取っ手の所にかけられていたそう。
でもそれだと風の強い日には飛んでいってしまう為首都中に紙が散乱してしまっていたらしい。なので、家を作る際には郵便受けを付ける事が義務付けされたそうだ。
だから今でも宣伝チラシやニュースの書かれた小さな新聞が配られているみたい。あぁあと、町ごとに回覧板が回されている所もあるみたいだから、お知らせポケットに入れて回しているらしい。
ここでは、共働きで家に誰もいない家が沢山ある。だから手渡しで手紙を渡せないだろうからどうしたものかと考えていたけれど、これなら安心だ。
「そろそろお昼ですね。お昼ご飯にいたしましょうか?」
「うん、私もうお腹ペコペコだよ~」
という事で、決めていた【なかむら】に向かう事にした。
今日は何を食べられるかなぁ~。そう思っていたんだけど……
「あ」
「あら」
いつものスライドドアを開くと……店内は凄く賑やかで。とっても忙しそうだ。あら、席空いてない。
こりゃ駄目だね、お土産も大変そうだからやめておいた方がいいかな。
それにしても、若い人ばっかだ。前は貴族の方ばかりだったけど、違う人達もちらほら。
「あ、アヤメちゃん!」
「こんにちは、ナナミちゃん。忙しそうだね」
「そ~なのよ~」
じゃあまたね、とお店を出た。
ごめんね、と謝られてしまったけれど、でも私達は何時でも来れるから全然大丈夫だよ。
「どうします? お嬢様」
「ん~」
今日のお仕事終わっちゃったし……帰ってアクセサリー作りでもしようかな。本当は明日やるつもりだったんだけど。
「もしよろしければブティックに行きましょうか?」
「もう沢山持ってるよ?」
「靴と帽子はあまり持っていらっしゃらないではありませんか」
「必要?」
「勿論です!」
と、話しながら少し遠くに停めた馬車に向かっていた時。
「アヤメ!」
と、呼ばれた。あら、この声は……タクミ君だ。
忙しいのに、急いで来てくれたらしい。走ってこっちに来てくれて息切れしてて。
「このあと時間は?」
「え? あ、空いてる、けど……」
「じゃあ、食べてほしいのがあるんだけど、食事処の営業終わった頃来て」
「あ……分かった」
じゃ、と言い残してダッシュでお店に戻っていってしまった。まぁ、一応明日行くねって昨日丁度屋敷に来てたナナミちゃんに言ってはいたけれど……食べてほしいもの、か……何だろう。というか、タクミ君足早っ。
営業時間終了まで、あと2時間か。
「じゃあ、行こっか」
「そうですね」
マリアが言ったブティックは最近開店したお店らしく、こちらもお客さんで賑わっていた。もちろん、貴族のご令嬢が何人もいて。私を見てコソコソと話していた。一体何を言われてしまっているのか分からなかったけれど、従業員にマリアが何かを伝えて、私達は個室に入ってしまった。
おぉ、この国一の公爵家だからなのか他のブティックでもこんなに素敵な個室に通してもらえるのね。
今までは、リアさんのブティックしか行った事がなかった。とっても仲良しなお母様と一緒だからって思っていたんだけど、他でもそうだったのか。
「ヒール可愛いね」
「ヒールを履いた事はございますか?」
「あるよ、7cmまでだけど」
「えっ」
あ、短すぎた? と思ったけれど、この星での最大サイズが7cmらしい。普通のサイズは3cmなのだとか。私の国では10cmとか12cmとかあったよって教えてあげたら顔が固まってた。あはは、私はそんな高いヒールを履くのは無理だけど。
結局、靴や帽子の他に洋服まで購入してしまって。そんな事をしていたらあっという間に2時間経っていた。
だからすぐに御者さんに【なかむら】に向かってもらうことに。
お店のドアを開けると、中は静か。食事処の営業が終わってるんだからそうだよね。
「あ! アヤメちゃんいらっしゃい!」
「お疲れ様」
その声でタクミ君も厨房から出てきた。さっきは忙しかったのにごめんなさい。
こっち座って、と言われて。さて、食べて欲しいものとは何だろうか?
「実はね、いいものが手に入ったの」
いいもの?
「海鮮丼」
「えっ」
「食べたい?」
「食べたいっ!!」
「あは、おっけ!」
海鮮丼!! 生のお魚が食べれるって事ね! わぁい! しかもどんぶりも初めてだよね? 嬉しいなぁ。
「かいせんどん、とは?」
「あぁ、ご飯の上に生の魚が乗ってるんですよ」
「なっ生!?」
「えぇ!?」
あ、やっぱりそうなるよね。この国だと生の魚は食べないから、魚料理は全部火が通ているものばかりだ。この国は海に面していない。だからそもそも魚自体があまり食べられていないらしい。だから、2人がこんなに驚くのは不思議じゃない。
「やめとく?」
「……」
「……いえ、お嬢様の故郷の味です。私はお嬢様の専属メイドですから、故郷の味を知る事も大切な事です!!」
「え、いいのに」
「いえ、私もお嬢様と同じものでお願いします!!」
「でしたら私も!!」
と、何だか気合いの入ったみたいなマリアとジルベルト。私達三人共海鮮丼となった。無理しなくてもいいのに、と言いたかったけれど、こんなに意気込んでるから、いっか。
「どんぶり、とはどういうものなのですか?」
「底が深い食器の事だよ」
「食器?」
こんな感じ、と手で表してみた。この国にはどんぶりというものがない。だから二人には初めて見るものだって事だ。
二人には、どんぶり飯というものを説明してみた。ご飯が下に入っていて、その上に色々なものが乗っている料理。さっきのような海鮮丼、それに親子丼やかつ丼に天丼、豚丼、あとうな丼もあったよね。う~んうな重食べた~い!
「とっても面白い文化ですね、ご飯に直接乗せてしまうなんて」
「でしょ? 洗い物も少ないしね!」
「確かに!」
少ししてから、ぴょこ、っとナナミちゃんが厨房から顔を出した。
「皆さん、わさびは?」
「あ……さび抜きでお願いします」
「ふふ、おっけ!」
わさび? と頭を傾げていたマリアとジルベルト。辛いやつって言うと二人共OKを出していた。私だけさび抜き、なんか恥ずかしい。ナナミちゃん笑って戻って言ったし。
マリアは私が辛いものが苦手な事を知っているから、ふふっと笑ってて。すみませんね、おこちゃまで。
それから、はいどーぞ、と私達の前にどんぶりが並べられた。わぁ、美味しそう!
「いただきます!」
「ふふ、いただきます」
「いただきますっ!」
私はお箸、2人はスプーンで。さて、お味は……
「ん~!」
「美味しい?」
「うんっ!」
地球の海鮮丼とは違った食材だけど、それでもとっても美味しい! ちゃんといくらみたいなものもあるし、えびも、マグロとかのネタも! はぁ~最高!!
向かいに座る二人は、目の前に置かれたどんぶりとにらめっこをしていて。無理しなくてもいいのに。と思っていたらジルベルトがスプーンを入れて。赤身の魚をご飯と一緒に掬い、思いっきり口に入れた。
「んっ!?」
「えっ?」
その瞬間、目を輝かせていて。それほど美味しかったらしい。また一口、一口とどんどん口に運んでいっていて。それを見たマリアも、恐る恐るスプーンで掬い食べた。
「んっ!?」
マリアも目をキラキラさせていて。二人共気に入ってくれたみたい。しかもマリア、わさび気に入っちゃった?
あら、ジルベルト、3分の一しか残ってない。さっきまで夢中で食べてたからね、良い食べっぷりね~。あ、もう食べ終わっちゃった。
「お兄さん、おかわりは?」
「くださいっ! あっ……」
「いいよいいよ、お願いナナミちゃん」
「おっけ~!」
すっごく恥ずかしそうなジルベルト。ふふ、よかった。
お腹いっぱいに美味しいものを食べた私達は、ごちそうさまでしたと屋敷に戻った。また来ま~す!
二人も、帰り道でまた生の魚を食べたいと言ってくれた。お気に召したようで安心しました。
首都の大通り、人の行き来が多い場所だ。そこに面する場所に、とある建物を作ってもらっている。そう、その建物とは郵便局だ。
手紙を配達するには郵便局が必須。だから大急ぎで作ってもらっている。
「わぁ、とっても綺麗です!」
「良かった、お嬢様のご要望に応えられたようで安心しましたよ」
「引き続き、よろしくお願いします」
「はい、任せてください」
受付があって、切手コーナー、レターセットコーナーがあって、奥には送られてきた手紙を仕分けて保管する為の場所があって。あと建物の外には馬小屋もある。配達員さん達にとっては一番重要な移動手段ですから凄く良い小屋を建ててもらう予定です。
あと、リアさんに郵便局員さん達が着る制服を作って頂きました。本っっっ当に素敵でした。事務員の方々の制服は、地球ではスーツみたいなものだったけれど、女性はふわふわのスカートで首元には可愛いリボンのついたワンピース。男性用はシャツにベストのついたカッコいい制服になっている。
配達員さんは、スーツみたいなんだけど動きやすい生地を使ってるみたい。帽子も付いていて、お手紙を入れる為のショルダーバッグも。
あ、バッグは魔道具になっていて、外からの衝撃でお手紙が傷ついたり、雨で濡れないように施されていて。あと、盗まれたりしないよう鍵も付いている。お客様からお預かりした手紙に何かあったら大変だもん。
そして全員、胸元には金色のお花柄のバッジが付いている。郵便局員という証のバッジだ。
可愛すぎないように何とかデザインを考えて作ってみた。皆さん喜んでくれるといいんだけどな。
あぁあと、あの後教えてもらったんです。どの家にも、郵便受けがある事を。あ、郵便受けという名前ではないんだけどね。〝お知らせポケット〟って言うんですって。なんか可愛いでしょ。玄関に取り付けられてるみたい。
それが付けられるようになったのは、約五十年前。その頃は魔道具で紙を作る技術が進歩したらしい。それが進んで今では誰もが普通に紙を使っている。
当時は、宣伝やニュースなどが書かれたチラシ? 新聞? みたいなものを配る事が流行った。と言っても首都にしかなかったのだけれどね。でもそのチラシは手持ちのついた袋に入れて玄関の取っ手の所にかけられていたそう。
でもそれだと風の強い日には飛んでいってしまう為首都中に紙が散乱してしまっていたらしい。なので、家を作る際には郵便受けを付ける事が義務付けされたそうだ。
だから今でも宣伝チラシやニュースの書かれた小さな新聞が配られているみたい。あぁあと、町ごとに回覧板が回されている所もあるみたいだから、お知らせポケットに入れて回しているらしい。
ここでは、共働きで家に誰もいない家が沢山ある。だから手渡しで手紙を渡せないだろうからどうしたものかと考えていたけれど、これなら安心だ。
「そろそろお昼ですね。お昼ご飯にいたしましょうか?」
「うん、私もうお腹ペコペコだよ~」
という事で、決めていた【なかむら】に向かう事にした。
今日は何を食べられるかなぁ~。そう思っていたんだけど……
「あ」
「あら」
いつものスライドドアを開くと……店内は凄く賑やかで。とっても忙しそうだ。あら、席空いてない。
こりゃ駄目だね、お土産も大変そうだからやめておいた方がいいかな。
それにしても、若い人ばっかだ。前は貴族の方ばかりだったけど、違う人達もちらほら。
「あ、アヤメちゃん!」
「こんにちは、ナナミちゃん。忙しそうだね」
「そ~なのよ~」
じゃあまたね、とお店を出た。
ごめんね、と謝られてしまったけれど、でも私達は何時でも来れるから全然大丈夫だよ。
「どうします? お嬢様」
「ん~」
今日のお仕事終わっちゃったし……帰ってアクセサリー作りでもしようかな。本当は明日やるつもりだったんだけど。
「もしよろしければブティックに行きましょうか?」
「もう沢山持ってるよ?」
「靴と帽子はあまり持っていらっしゃらないではありませんか」
「必要?」
「勿論です!」
と、話しながら少し遠くに停めた馬車に向かっていた時。
「アヤメ!」
と、呼ばれた。あら、この声は……タクミ君だ。
忙しいのに、急いで来てくれたらしい。走ってこっちに来てくれて息切れしてて。
「このあと時間は?」
「え? あ、空いてる、けど……」
「じゃあ、食べてほしいのがあるんだけど、食事処の営業終わった頃来て」
「あ……分かった」
じゃ、と言い残してダッシュでお店に戻っていってしまった。まぁ、一応明日行くねって昨日丁度屋敷に来てたナナミちゃんに言ってはいたけれど……食べてほしいもの、か……何だろう。というか、タクミ君足早っ。
営業時間終了まで、あと2時間か。
「じゃあ、行こっか」
「そうですね」
マリアが言ったブティックは最近開店したお店らしく、こちらもお客さんで賑わっていた。もちろん、貴族のご令嬢が何人もいて。私を見てコソコソと話していた。一体何を言われてしまっているのか分からなかったけれど、従業員にマリアが何かを伝えて、私達は個室に入ってしまった。
おぉ、この国一の公爵家だからなのか他のブティックでもこんなに素敵な個室に通してもらえるのね。
今までは、リアさんのブティックしか行った事がなかった。とっても仲良しなお母様と一緒だからって思っていたんだけど、他でもそうだったのか。
「ヒール可愛いね」
「ヒールを履いた事はございますか?」
「あるよ、7cmまでだけど」
「えっ」
あ、短すぎた? と思ったけれど、この星での最大サイズが7cmらしい。普通のサイズは3cmなのだとか。私の国では10cmとか12cmとかあったよって教えてあげたら顔が固まってた。あはは、私はそんな高いヒールを履くのは無理だけど。
結局、靴や帽子の他に洋服まで購入してしまって。そんな事をしていたらあっという間に2時間経っていた。
だからすぐに御者さんに【なかむら】に向かってもらうことに。
お店のドアを開けると、中は静か。食事処の営業が終わってるんだからそうだよね。
「あ! アヤメちゃんいらっしゃい!」
「お疲れ様」
その声でタクミ君も厨房から出てきた。さっきは忙しかったのにごめんなさい。
こっち座って、と言われて。さて、食べて欲しいものとは何だろうか?
「実はね、いいものが手に入ったの」
いいもの?
「海鮮丼」
「えっ」
「食べたい?」
「食べたいっ!!」
「あは、おっけ!」
海鮮丼!! 生のお魚が食べれるって事ね! わぁい! しかもどんぶりも初めてだよね? 嬉しいなぁ。
「かいせんどん、とは?」
「あぁ、ご飯の上に生の魚が乗ってるんですよ」
「なっ生!?」
「えぇ!?」
あ、やっぱりそうなるよね。この国だと生の魚は食べないから、魚料理は全部火が通ているものばかりだ。この国は海に面していない。だからそもそも魚自体があまり食べられていないらしい。だから、2人がこんなに驚くのは不思議じゃない。
「やめとく?」
「……」
「……いえ、お嬢様の故郷の味です。私はお嬢様の専属メイドですから、故郷の味を知る事も大切な事です!!」
「え、いいのに」
「いえ、私もお嬢様と同じものでお願いします!!」
「でしたら私も!!」
と、何だか気合いの入ったみたいなマリアとジルベルト。私達三人共海鮮丼となった。無理しなくてもいいのに、と言いたかったけれど、こんなに意気込んでるから、いっか。
「どんぶり、とはどういうものなのですか?」
「底が深い食器の事だよ」
「食器?」
こんな感じ、と手で表してみた。この国にはどんぶりというものがない。だから二人には初めて見るものだって事だ。
二人には、どんぶり飯というものを説明してみた。ご飯が下に入っていて、その上に色々なものが乗っている料理。さっきのような海鮮丼、それに親子丼やかつ丼に天丼、豚丼、あとうな丼もあったよね。う~んうな重食べた~い!
「とっても面白い文化ですね、ご飯に直接乗せてしまうなんて」
「でしょ? 洗い物も少ないしね!」
「確かに!」
少ししてから、ぴょこ、っとナナミちゃんが厨房から顔を出した。
「皆さん、わさびは?」
「あ……さび抜きでお願いします」
「ふふ、おっけ!」
わさび? と頭を傾げていたマリアとジルベルト。辛いやつって言うと二人共OKを出していた。私だけさび抜き、なんか恥ずかしい。ナナミちゃん笑って戻って言ったし。
マリアは私が辛いものが苦手な事を知っているから、ふふっと笑ってて。すみませんね、おこちゃまで。
それから、はいどーぞ、と私達の前にどんぶりが並べられた。わぁ、美味しそう!
「いただきます!」
「ふふ、いただきます」
「いただきますっ!」
私はお箸、2人はスプーンで。さて、お味は……
「ん~!」
「美味しい?」
「うんっ!」
地球の海鮮丼とは違った食材だけど、それでもとっても美味しい! ちゃんといくらみたいなものもあるし、えびも、マグロとかのネタも! はぁ~最高!!
向かいに座る二人は、目の前に置かれたどんぶりとにらめっこをしていて。無理しなくてもいいのに。と思っていたらジルベルトがスプーンを入れて。赤身の魚をご飯と一緒に掬い、思いっきり口に入れた。
「んっ!?」
「えっ?」
その瞬間、目を輝かせていて。それほど美味しかったらしい。また一口、一口とどんどん口に運んでいっていて。それを見たマリアも、恐る恐るスプーンで掬い食べた。
「んっ!?」
マリアも目をキラキラさせていて。二人共気に入ってくれたみたい。しかもマリア、わさび気に入っちゃった?
あら、ジルベルト、3分の一しか残ってない。さっきまで夢中で食べてたからね、良い食べっぷりね~。あ、もう食べ終わっちゃった。
「お兄さん、おかわりは?」
「くださいっ! あっ……」
「いいよいいよ、お願いナナミちゃん」
「おっけ~!」
すっごく恥ずかしそうなジルベルト。ふふ、よかった。
お腹いっぱいに美味しいものを食べた私達は、ごちそうさまでしたと屋敷に戻った。また来ま~す!
二人も、帰り道でまた生の魚を食べたいと言ってくれた。お気に召したようで安心しました。