目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇4 シェリシア
あれから、シモン先生から毎日少しだけ散歩をするよう言われた。少しずつ運動を増やしていこう、という事らしい。なので、庭園を探索する事を日課にしていた。天気のいい日だけに限定されてしまっているけれど、でもその時は温室に足を運ぶことにしている。
「わぁ、可愛い……!」
「やっと花が付いたようで。庭師の方々の頑張りですね」
「お嬢様は本当に花がお好きですね」
公爵邸の庭には、色とりどりの花で溢れている。知らないものも沢山あるけれど、何となく似ているものもある。パンジーとか、チューリップとか。実はこの前から、図書室から借りてきたお花の図鑑を読み込んでいて。それがまた結構面白くて、知らず知らずに時間が経ってしまっていたりするの。
因みに、私の好きな花はコスモス。こちらの世界では、ラミラスってお花が一番似てるかな。これは一年中咲いている花らしく、白、赤、ピンク、緑、青など色とりどりだ。地球では緑や青のコスモスなんて見た事ないから結構新鮮である。
あ、実は私の専属メイドになってくれたマリアに、敬語禁止令を出されてしまった。私はアドマンス公爵家の令嬢だからだそうだ。だから頑張って直してる最中である。
「お嬢様の好きなラミラスの花を、お庭に増やす予定だと聞いていますよ。ラミラス畑を作ってくださるのだとか」
「本当!」
夕食の時、ポロっと言った一言でそこまでしてくださるとは。ありがとうございます。
でも、ラミラス畑か……
「如何いたしました?」
「あ……えぇと……ううん、何でもない」
これを言ってしまったら、困らせちゃうだろうなぁ……私のお世話係になってくれたマリアに言ったら、きっと困っちゃうよね。だから我儘は言いません。
「良いのですよ、何でもおっしゃって下さい」
「……ほんと?」
「はい」
「……私、作りたいな……って言ったら、怒る?」
「お嬢様が、ラミラス畑を、ですか?」
「うん」
まだ少しだけだけど元気になった。こうやって出歩けるようにまでなったし。でも、ちょっと調子乗ってるって思われちゃったかな。
でも、入院中に持ってきてくれるお花とか、花瓶に入れて飾っていてもすぐに枯れちゃうから。だから、そのまま植えてあって綺麗に咲く花を見るのが好きだった。それを、私が作れるなら。そう思ったんだ。それが私の好きな花なら猶更。
「そうですね……でしたら、ご準備だけは致しましょう。あとは、お医者様と奥様、旦那様とご相談ですね」
「いいの?」
「えぇ、お嬢様がしたい事ですから。むしろ、したい事を見つけられたようで安心しましたよ」
いいんだ……していいんだ……
そう思うと心が何だかワクワクしてきて。まだOK貰ってないのに、なんかおかしいよね。でもそう思っちゃったの。
じゃあ、綺麗なラミラス畑にしたいなぁ。ふふ。
「ここには、花屋さんってあるの?」
「ありますよ。ここアドマンス公爵邸の庭園は、【レストリス商会】から種や肥料などを買い取って作られているのです」
「レストリス商会?」
「ここカーネリアン王国では一番大きな商会で、レストリス侯爵家が経営している商会なのです」
レストリス侯爵……商会って、一つ一つ分野とかってあるのかな。他のものって取り扱ってるのかな。
「あぁ、明日そのレストリス侯爵のご夫人がこちらにいらっしゃるそうですよ」
「えっ!?」
「レストリス侯爵は商会を、そして夫人はこの国一のブティックを経営していらっしゃるのです。お嬢様のお洋服をそのブティックにお願いした所、夫人本人がこちらにいらっしゃるとの事です」
「直接!?」
「お嬢様にお会いしたいそうですよ」
ど、どうしよう、わ、私大丈夫かな……まだ何も貴族の挨拶とか作法とか分からないし……どどどどうしよう……!! ブティックって確か、洋服を取り扱ってるお店なんだっけ。こっちの洋服の買い方って知らないし、そもそも貴族様方式のお買い物すらよく分からないよぉ!
「ふふ、そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ。お嬢様の事は大方奥様が夫人にお話していますから」
「えっ」
わ、私が異世界人だって事……? じゃあ、こっちの事情とか知ってる……? で、でも私不器用だから、教えてもらったとしても全然出来なさそうだし……もう今から不安だぁ……大丈夫かなぁ……
……と、思ってたのに。
「あらまぁ可愛い子ねぇ!」
「でしょう? もう絶対娘にしたいって思ったのよ~」
「も~羨ましいわ~!」
……あれ?
思ってた反応と違う。これは、どうしたらいいのかな。
一応マリアについさっき教えてもらった挨拶の仕方で自己紹介をしたところ、そんな感想を頂いたのだ。とっても楽しそうなんだけど、どんなリアクションをしたらいいのろうか。
彼女はアメリア・レストリス侯爵夫人。この前教えてもらった通り、とっても有名で中々手に入らない洋服ブランドのお店を手掛けている、とっても凄い人らしい。
「リアは私の幼馴染なの。だから、この家にある洋服などはリアのブティックで作られたものばかりなのよ」
「ふふ、ティアはお得意さんなのよ♪」
な、なるほど……あ、そういえばここの使用人さん達の制服はそのブランドのものだってマリア言ってたような。他の人達に羨ましがられてるって聞いた。もう興奮しきったかのように語ってくれた。
「ティアから話は聞いているわ。今、体調は大丈夫かしら?」
「あ、はい、大丈夫です」
「最近顔色が良くなって、庭園散策も出来るようになったのよ」
そう、嬉しそうに話すティアさん。それもこれも、薬草を持ってきてくれた妖精さん達と、薬を作ってくれたシモン先生のお陰だ。
「いきなりこっちに来てしまって大変だったでしょう。気持ちの整理もあるでしょうし。だから何かあったら私達も力になるわ。遠慮せず言ってちょうだい?」
「あ、ありがとうございます。レストリス夫人」
「もぉ、レストリス夫人だなんて。そんなに硬くならなくてもいいわ、私の事は親戚のお姉さんって思ってちょうだい? ティアみたいに、リアって呼んでほしいわ」
親戚のお姉さん、ですか。何というか、とってもフレンドリーな方だ。それでいて、とっても優しそう。
「じゃあまずは採寸から始めましょう。普段着に、外出用に、寝間着だったわよね」
「えぇ、よろしく」
ん? それって、もしかして……
「……全部っ!?」
「そうよ、だってリアの所のは着心地もいいからアヤメちゃんにはいいんじゃないかと思って」
侯爵夫人の経営する【ブティック・シェリシア】って、とっても有名で中々着れないんじゃなかったっけ……?
だって、予約しても3ヶ月待ちになっちゃうんでしょ? そんな凄いものを、私毎日着るの……?
私の今着ているこれもシアの作ってくれたものなのよ~! と楽しそうに話すティアさん。あ、因みに最近お母様と呼んでちょうだいと言われてます。いやいや、私は養女ですし、と言ってはいるものの全く折れてくれず、バートさんまでお父様と呼んでくれと言われてしまい困っている最中です。
「これ、今流行りなの。どう?」
「そうね、アヤメちゃんに似合いそう。あと、その服も色合いがいいしデザインも素敵だわ。アヤメちゃんはどう?」
「あ……私、こういうの分からなくて……」
「じゃあ何色が好き?」
「えぇと……青、かな?」
「青ね~」
と、こんな感じで時間は進んでいった。最終的に、一体何着買ったのか分からなかったけど、これが貴族なんだ、という言葉で片付けた。でも、ふわっふわのフリルとか子供っぽいものじゃなかったから一安心。私も気に入ったから、着るのが楽しみ。
高級なものを着る事になってしまったけど、ティアさん、あ、お母様は私の為に買って下さったんだし、あんなに楽しそうだった。だから、早く慣れよう、そう思う事にした。
「わぁ、可愛い……!」
「やっと花が付いたようで。庭師の方々の頑張りですね」
「お嬢様は本当に花がお好きですね」
公爵邸の庭には、色とりどりの花で溢れている。知らないものも沢山あるけれど、何となく似ているものもある。パンジーとか、チューリップとか。実はこの前から、図書室から借りてきたお花の図鑑を読み込んでいて。それがまた結構面白くて、知らず知らずに時間が経ってしまっていたりするの。
因みに、私の好きな花はコスモス。こちらの世界では、ラミラスってお花が一番似てるかな。これは一年中咲いている花らしく、白、赤、ピンク、緑、青など色とりどりだ。地球では緑や青のコスモスなんて見た事ないから結構新鮮である。
あ、実は私の専属メイドになってくれたマリアに、敬語禁止令を出されてしまった。私はアドマンス公爵家の令嬢だからだそうだ。だから頑張って直してる最中である。
「お嬢様の好きなラミラスの花を、お庭に増やす予定だと聞いていますよ。ラミラス畑を作ってくださるのだとか」
「本当!」
夕食の時、ポロっと言った一言でそこまでしてくださるとは。ありがとうございます。
でも、ラミラス畑か……
「如何いたしました?」
「あ……えぇと……ううん、何でもない」
これを言ってしまったら、困らせちゃうだろうなぁ……私のお世話係になってくれたマリアに言ったら、きっと困っちゃうよね。だから我儘は言いません。
「良いのですよ、何でもおっしゃって下さい」
「……ほんと?」
「はい」
「……私、作りたいな……って言ったら、怒る?」
「お嬢様が、ラミラス畑を、ですか?」
「うん」
まだ少しだけだけど元気になった。こうやって出歩けるようにまでなったし。でも、ちょっと調子乗ってるって思われちゃったかな。
でも、入院中に持ってきてくれるお花とか、花瓶に入れて飾っていてもすぐに枯れちゃうから。だから、そのまま植えてあって綺麗に咲く花を見るのが好きだった。それを、私が作れるなら。そう思ったんだ。それが私の好きな花なら猶更。
「そうですね……でしたら、ご準備だけは致しましょう。あとは、お医者様と奥様、旦那様とご相談ですね」
「いいの?」
「えぇ、お嬢様がしたい事ですから。むしろ、したい事を見つけられたようで安心しましたよ」
いいんだ……していいんだ……
そう思うと心が何だかワクワクしてきて。まだOK貰ってないのに、なんかおかしいよね。でもそう思っちゃったの。
じゃあ、綺麗なラミラス畑にしたいなぁ。ふふ。
「ここには、花屋さんってあるの?」
「ありますよ。ここアドマンス公爵邸の庭園は、【レストリス商会】から種や肥料などを買い取って作られているのです」
「レストリス商会?」
「ここカーネリアン王国では一番大きな商会で、レストリス侯爵家が経営している商会なのです」
レストリス侯爵……商会って、一つ一つ分野とかってあるのかな。他のものって取り扱ってるのかな。
「あぁ、明日そのレストリス侯爵のご夫人がこちらにいらっしゃるそうですよ」
「えっ!?」
「レストリス侯爵は商会を、そして夫人はこの国一のブティックを経営していらっしゃるのです。お嬢様のお洋服をそのブティックにお願いした所、夫人本人がこちらにいらっしゃるとの事です」
「直接!?」
「お嬢様にお会いしたいそうですよ」
ど、どうしよう、わ、私大丈夫かな……まだ何も貴族の挨拶とか作法とか分からないし……どどどどうしよう……!! ブティックって確か、洋服を取り扱ってるお店なんだっけ。こっちの洋服の買い方って知らないし、そもそも貴族様方式のお買い物すらよく分からないよぉ!
「ふふ、そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ。お嬢様の事は大方奥様が夫人にお話していますから」
「えっ」
わ、私が異世界人だって事……? じゃあ、こっちの事情とか知ってる……? で、でも私不器用だから、教えてもらったとしても全然出来なさそうだし……もう今から不安だぁ……大丈夫かなぁ……
……と、思ってたのに。
「あらまぁ可愛い子ねぇ!」
「でしょう? もう絶対娘にしたいって思ったのよ~」
「も~羨ましいわ~!」
……あれ?
思ってた反応と違う。これは、どうしたらいいのかな。
一応マリアについさっき教えてもらった挨拶の仕方で自己紹介をしたところ、そんな感想を頂いたのだ。とっても楽しそうなんだけど、どんなリアクションをしたらいいのろうか。
彼女はアメリア・レストリス侯爵夫人。この前教えてもらった通り、とっても有名で中々手に入らない洋服ブランドのお店を手掛けている、とっても凄い人らしい。
「リアは私の幼馴染なの。だから、この家にある洋服などはリアのブティックで作られたものばかりなのよ」
「ふふ、ティアはお得意さんなのよ♪」
な、なるほど……あ、そういえばここの使用人さん達の制服はそのブランドのものだってマリア言ってたような。他の人達に羨ましがられてるって聞いた。もう興奮しきったかのように語ってくれた。
「ティアから話は聞いているわ。今、体調は大丈夫かしら?」
「あ、はい、大丈夫です」
「最近顔色が良くなって、庭園散策も出来るようになったのよ」
そう、嬉しそうに話すティアさん。それもこれも、薬草を持ってきてくれた妖精さん達と、薬を作ってくれたシモン先生のお陰だ。
「いきなりこっちに来てしまって大変だったでしょう。気持ちの整理もあるでしょうし。だから何かあったら私達も力になるわ。遠慮せず言ってちょうだい?」
「あ、ありがとうございます。レストリス夫人」
「もぉ、レストリス夫人だなんて。そんなに硬くならなくてもいいわ、私の事は親戚のお姉さんって思ってちょうだい? ティアみたいに、リアって呼んでほしいわ」
親戚のお姉さん、ですか。何というか、とってもフレンドリーな方だ。それでいて、とっても優しそう。
「じゃあまずは採寸から始めましょう。普段着に、外出用に、寝間着だったわよね」
「えぇ、よろしく」
ん? それって、もしかして……
「……全部っ!?」
「そうよ、だってリアの所のは着心地もいいからアヤメちゃんにはいいんじゃないかと思って」
侯爵夫人の経営する【ブティック・シェリシア】って、とっても有名で中々着れないんじゃなかったっけ……?
だって、予約しても3ヶ月待ちになっちゃうんでしょ? そんな凄いものを、私毎日着るの……?
私の今着ているこれもシアの作ってくれたものなのよ~! と楽しそうに話すティアさん。あ、因みに最近お母様と呼んでちょうだいと言われてます。いやいや、私は養女ですし、と言ってはいるものの全く折れてくれず、バートさんまでお父様と呼んでくれと言われてしまい困っている最中です。
「これ、今流行りなの。どう?」
「そうね、アヤメちゃんに似合いそう。あと、その服も色合いがいいしデザインも素敵だわ。アヤメちゃんはどう?」
「あ……私、こういうの分からなくて……」
「じゃあ何色が好き?」
「えぇと……青、かな?」
「青ね~」
と、こんな感じで時間は進んでいった。最終的に、一体何着買ったのか分からなかったけど、これが貴族なんだ、という言葉で片付けた。でも、ふわっふわのフリルとか子供っぽいものじゃなかったから一安心。私も気に入ったから、着るのが楽しみ。
高級なものを着る事になってしまったけど、ティアさん、あ、お母様は私の為に買って下さったんだし、あんなに楽しそうだった。だから、早く慣れよう、そう思う事にした。