目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇61 デート
今日はとてもいい天気。
私達は公園の木の下にレジャー用の布を敷き座ってお弁当を広げていた。さて、その相手とは。
「おにぎりのお味は?」
「最高」
「即答かよ……」
そんな呆れ顔を見せてきたのは、私の横に座るタクミ。今日は約束の月曜日でした。デートというやつです。なのでマリアもジルベルトもいません。
あ、でもウチの馬車で来ました。家紋が入ってない使用人が使う用の馬車です。お母様にこれを使うのが条件で許可を頂いたからだ。家紋入りだと落ち着かないからって気を遣って下さったみたい。
でもさぁ、さっきのはしょうがなくない? もう胃袋鷲掴みされてるんだから。ついでにお弁当の中身はおにぎりと唐揚げと卵焼き他諸々。もう最強だよね。
「こんぶどれだろ」
「俺の鮭」
「一個ずつでしょ? ん~」
おにぎりはランダムだそうだ。タクミも分からないみたい。種類は鮭、こんぶ、おかか、塩むすび、梅干し。私の今の気分はこんぶなので、絶対当てたいところ。
これかな? と取ってみたけれど残念塩むすび。
「あ、これこんぶだ」
「あ~!!」
「え、そんなに食べたかった?」
「うん」
「しょうがねぇな、俺は心優しいからな。半分こしてやるよ」
「ありがとうございます。じゃあ私のも半分あげる」
うん、美味しい。私が今まで地球で食べてきたものとは味は微妙に違うんだけど、私としてはこっちが好み。ゴマも入ってて美味しいです。いくらでもいけちゃう。
「なぁ、帽子取らないのか?」
「ん~、何となく」
「ふ~ん」
「あっ!」
こんぶおにぎりを食べていたらいきなり帽子を取られてしまった。別にここ日陰だからいいだろ、って。でもお母様が帽子もセットでコーディネートしてくれたわけだし。
「何、バレたくない?」
「そうじゃないけど……だって、兄妹みたいじゃん」
私とタクミは同じ黒髪に黒目。この国で同じ人は見た事がないから、目立っちゃう。顔だって日本人顔だ。領地にいた時だって、ナナミちゃんと三人で兄妹って思われちゃったし。何となく、気になっちゃうというか。
ほら、この公園にも貴族の人達がちらほらいるから。あの人達が私達を見た時どう思うか分からないじゃん?
「俺的にはこっちのがいいんだけど。ほら、着飾ってくれたわけだし?」
「……お母様が選んでくれたから」
「何、乗り気じゃなかったのか。俺の為だと思って嬉しかったんだけど?」
「……」
「ふ~ん、残念」
「……いや、その……まぁ、デートだし? でもした事なかったから……まぁ、ね」
口をもごもごしていたら、クスクス笑い出して。恥ずかしいな、もう。言わせるな。
「可愛い」
「……有名店のお洋服だもん」
「服、も」
「……」
「何、照れちゃった?」
「煩い」
「照れ屋め」
煩いなぁもう、照れてないもん。ただこういうのに慣れてないだけだもん。
……というか、ここ、男女ペアの人達多くないですか。え、デートスポット的な? まぁこことっても綺麗だからもってこいな気もする、けど……狙ったな? まぁ間違ってはいないけれど。
「……何」
「んー?」
「あまり見ないでくださいませんか」
さっきからガン見してくるんですけど、やめてもらえませんか。
「なーんか、いいなって」
「は?」
「いや、なんか、独り占めってやつ? 俺こーゆーの初めてだからさ、なんかいいなって」
「そ、ですか……」
え、タクミってこういうの言う人だっけ。滅茶苦茶良い笑顔じゃないですかお兄さんよ。私どんなリアクションすればいいんですか。
「次、どこ行きたい?」
「お食事処・なかむら」
「いつも行ってるじゃねぇか」
「あはは、タクミも一緒にお客さんする?」
「いいな、それ面白そう。ナナミ達どんな顔するか見ものだな」
「じゃあ約束ね」
「おっけ~」
さて、その時は何を注文しようかな。何か違うメニュー頼んじゃってもいいのかしら。そしたら、作るのはナナミちゃんって事になるんだよね。ナオさんとリカルドさんは接客担当、ナナミちゃんとタクミが料理担当らしいから。
タクミ、何頼むんだろう。難しいの頼みそう。
そんなこんなで楽しい時間を過ごした。楽しい時間は進むのが早いから、あっという間に夕方になっちゃって。途中でタクミを降ろして私は馬車で家に帰った。
ん、だけど……
「おかえり、アヤメ」
「た、だいま、かえり、ました……お父様」
笑顔のお父様が、出迎えてくださいました。奥にいるお母様は、呆れ顔。あ、マリアとジルベルトは困ってる。もしかして、バレた? いや、完全にバレた。
「誰とどこに行っていたのかな」
「……」
「話は長くなりそうだからな、中でキッチリ話をしようか」
「は、い……」
お母様、助けて。
話し合いは、お父様の「連れてきなさい」という言葉で締めくくられた。ごめん、タクミ。あ、でも言わなかったのはお母様に言われたからであって、隠すつもりはなかったんだよ。ズタボロ言ってたのはお母様であって私じゃないんです。
後日、タクミにその話をしたら思った通り顔を青ざめていた。ナナミちゃん達には、
「骨は拾ってあげるよ」
「アンタの料理の味は一生忘れないから安心して」
「タクミさんの事は俺がちゃんと男爵様達に伝えます」
と、言われてしまった。いつもならそこでツッコむところなんだけど、彼にはそんな余裕はなかったみたい。しかも、「いつも使っている剣を持ってこさせなさい」だなんて伝言を任されてしまったから余計だ。これ、まさか決闘とかないよね。
私達は公園の木の下にレジャー用の布を敷き座ってお弁当を広げていた。さて、その相手とは。
「おにぎりのお味は?」
「最高」
「即答かよ……」
そんな呆れ顔を見せてきたのは、私の横に座るタクミ。今日は約束の月曜日でした。デートというやつです。なのでマリアもジルベルトもいません。
あ、でもウチの馬車で来ました。家紋が入ってない使用人が使う用の馬車です。お母様にこれを使うのが条件で許可を頂いたからだ。家紋入りだと落ち着かないからって気を遣って下さったみたい。
でもさぁ、さっきのはしょうがなくない? もう胃袋鷲掴みされてるんだから。ついでにお弁当の中身はおにぎりと唐揚げと卵焼き他諸々。もう最強だよね。
「こんぶどれだろ」
「俺の鮭」
「一個ずつでしょ? ん~」
おにぎりはランダムだそうだ。タクミも分からないみたい。種類は鮭、こんぶ、おかか、塩むすび、梅干し。私の今の気分はこんぶなので、絶対当てたいところ。
これかな? と取ってみたけれど残念塩むすび。
「あ、これこんぶだ」
「あ~!!」
「え、そんなに食べたかった?」
「うん」
「しょうがねぇな、俺は心優しいからな。半分こしてやるよ」
「ありがとうございます。じゃあ私のも半分あげる」
うん、美味しい。私が今まで地球で食べてきたものとは味は微妙に違うんだけど、私としてはこっちが好み。ゴマも入ってて美味しいです。いくらでもいけちゃう。
「なぁ、帽子取らないのか?」
「ん~、何となく」
「ふ~ん」
「あっ!」
こんぶおにぎりを食べていたらいきなり帽子を取られてしまった。別にここ日陰だからいいだろ、って。でもお母様が帽子もセットでコーディネートしてくれたわけだし。
「何、バレたくない?」
「そうじゃないけど……だって、兄妹みたいじゃん」
私とタクミは同じ黒髪に黒目。この国で同じ人は見た事がないから、目立っちゃう。顔だって日本人顔だ。領地にいた時だって、ナナミちゃんと三人で兄妹って思われちゃったし。何となく、気になっちゃうというか。
ほら、この公園にも貴族の人達がちらほらいるから。あの人達が私達を見た時どう思うか分からないじゃん?
「俺的にはこっちのがいいんだけど。ほら、着飾ってくれたわけだし?」
「……お母様が選んでくれたから」
「何、乗り気じゃなかったのか。俺の為だと思って嬉しかったんだけど?」
「……」
「ふ~ん、残念」
「……いや、その……まぁ、デートだし? でもした事なかったから……まぁ、ね」
口をもごもごしていたら、クスクス笑い出して。恥ずかしいな、もう。言わせるな。
「可愛い」
「……有名店のお洋服だもん」
「服、も」
「……」
「何、照れちゃった?」
「煩い」
「照れ屋め」
煩いなぁもう、照れてないもん。ただこういうのに慣れてないだけだもん。
……というか、ここ、男女ペアの人達多くないですか。え、デートスポット的な? まぁこことっても綺麗だからもってこいな気もする、けど……狙ったな? まぁ間違ってはいないけれど。
「……何」
「んー?」
「あまり見ないでくださいませんか」
さっきからガン見してくるんですけど、やめてもらえませんか。
「なーんか、いいなって」
「は?」
「いや、なんか、独り占めってやつ? 俺こーゆーの初めてだからさ、なんかいいなって」
「そ、ですか……」
え、タクミってこういうの言う人だっけ。滅茶苦茶良い笑顔じゃないですかお兄さんよ。私どんなリアクションすればいいんですか。
「次、どこ行きたい?」
「お食事処・なかむら」
「いつも行ってるじゃねぇか」
「あはは、タクミも一緒にお客さんする?」
「いいな、それ面白そう。ナナミ達どんな顔するか見ものだな」
「じゃあ約束ね」
「おっけ~」
さて、その時は何を注文しようかな。何か違うメニュー頼んじゃってもいいのかしら。そしたら、作るのはナナミちゃんって事になるんだよね。ナオさんとリカルドさんは接客担当、ナナミちゃんとタクミが料理担当らしいから。
タクミ、何頼むんだろう。難しいの頼みそう。
そんなこんなで楽しい時間を過ごした。楽しい時間は進むのが早いから、あっという間に夕方になっちゃって。途中でタクミを降ろして私は馬車で家に帰った。
ん、だけど……
「おかえり、アヤメ」
「た、だいま、かえり、ました……お父様」
笑顔のお父様が、出迎えてくださいました。奥にいるお母様は、呆れ顔。あ、マリアとジルベルトは困ってる。もしかして、バレた? いや、完全にバレた。
「誰とどこに行っていたのかな」
「……」
「話は長くなりそうだからな、中でキッチリ話をしようか」
「は、い……」
お母様、助けて。
話し合いは、お父様の「連れてきなさい」という言葉で締めくくられた。ごめん、タクミ。あ、でも言わなかったのはお母様に言われたからであって、隠すつもりはなかったんだよ。ズタボロ言ってたのはお母様であって私じゃないんです。
後日、タクミにその話をしたら思った通り顔を青ざめていた。ナナミちゃん達には、
「骨は拾ってあげるよ」
「アンタの料理の味は一生忘れないから安心して」
「タクミさんの事は俺がちゃんと男爵様達に伝えます」
と、言われてしまった。いつもならそこでツッコむところなんだけど、彼にはそんな余裕はなかったみたい。しかも、「いつも使っている剣を持ってこさせなさい」だなんて伝言を任されてしまったから余計だ。これ、まさか決闘とかないよね。