目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇62 まさかの、決闘……?
お父様に言われた通り、今日タクミに来てもらった。
「ウチのアヤメとお付き合いをしているそうじゃないか、タクミ君」
「はい」
今から決闘が始まるんじゃないだろうか、と思ってもいいくらいの雰囲気。お父様の圧が凄い、そしてタクミはよくこれに耐えられるな。……いや、冷汗だらだらかもしれない。
どうしてこうなってしまったのか。それはお母様が教えてくれた。
私がデートで出かけていた時、お父様は急用で一度屋敷に戻ってきていたらしい。でも、私が出かけているにも関わらずマリアとジルベルトを見かけた。
おかしいな、出掛けなかったのか。そう思っていた時、お母様とマリアの会話を聞いたらしい。
『デートだなんていいわね~♡』
『奥様も旦那様と出かけてはいかがですか?』
『そうねぇ、折角この前あの人の私服を買ったんですもの。あ、でもアヤメちゃんと3人であのお店に行くのもいいわね~』
『ふふ、坊ちゃまは一緒ではないのですか?』
『そうね~、あの子に伝えたら色々と変な理由を付けて付いてくるかも』
と。だから帰ってきた時あんな顔をしていたのね。
でもお父様、今日の仕事は? と聞いたけれど、そんなものは後でいい、と言われてしまった。忙しいんじゃなかったんですか? あれだよね、サミットの日が近づいているからどこも忙しいはずだよね。
私とお父様とお母様の3人で座るソファーの向かい側に座るタクミ。何というか、面接みたいな。そんな感じがする。絶対今生きた心地してないでしょ。
でも、お母様とっても嬉しそうなのはどうしてだろう。楽しんじゃってません?
「君は貴族だ、それに19歳。勿論縁談話などは来ているだろう?」
「はい、ですが全部断らせていただいています」
「君は料理の腕もあるし、下位貴族である男爵家の者だとしても名声のある家だ。政略結婚の話もあったのではないか?」
「いえ、ありません。ですが、もしあったとしても絶対に断っていたと思います」
「それはどうしてだ?」
「結婚相手は一生を共にする相手ですから、自分で選びたいと家族に伝えてあります。自分の作る料理を食べさせてあげたい相手にしたいと思っています」
「それがアヤメか」
「はい」
……ん? え、ちょっと待って。結婚!? は、早くないですか!?
「どうしてアヤメなのかな」
「……最初は、自分の祖父と同じ日本人だという事で興味がありました。知らず知らずにこちらに来てしまい味わえなくなってしまった故郷の味を、もう一度味わってもらいたい。そんな気持ちで料理を振る舞っていたのですが……毎回毎回私の料理を美味しく食べてくれるアヤメさんを見て、自分にも自信がついたんです。自分は喜んでもらえる料理を作れてるんだって。それもあって、アヤメさんに惹かれてい…」
「ストップッッ!!!!」
「あらまぁアヤメちゃん恥ずかしがっちゃって~可愛いんだから♪」
「お母様っ!!」
もうここで限界だった。恥ずかしすぎて顔が熱々になっちゃったじゃない。やめてよ、もう。
「ウチの可愛い一人娘はお前にはやらんっ!!」
「えっ!?」
「おっお父様!?」
え、ダメなの!? やっぱり貴族の娘だし、タクミは別の国出身だし、私異世界人だし……で、でも……
「と、言いたい所だが」
「えっ」
「こぉら、あなた」
アヤメちゃんの顔見てから言いなさい、と頭を叩かれてしまったお父様。
「タクミ君、剣を出しなさい」
「は、はい」
え、待って、剣? もしかして、決闘が始まっちゃう? と思ったけれど、お父様がその剣を抜いてしまった。え、ここでするの!?
「ふむ……」
「……あの、お父様?」
「……」
じーっと剣を観察し出したお父様。え、どうしたんですか。
「確か、君達は大型動物を相手にするんだったな」
「は、はい。領地内にある森には大型動物が沢山生息しているので、畑や田んぼを荒らされないよう定期的に私達が狩りをしているんです」
「なるほどな。君は、ここには一週間に一回来ていたな」
「はい」
「では毎朝、私の所に来なさい」
「……えっ」
「ま、毎朝、ですか……」
「君も毎日店を切り盛りしていて忙しい事は分かっている。だから時間の許す限りでいい。その時間で私が君に対人戦を教えてあげよう。君は腕がいい事は領地の騎士団長から聞いているし、この剣を見れば一目瞭然だ。だが君の剣は対動物だ」
これって、忙しいお父様が毎週時間を空けてくれるって事よね。でも、タクミは浮かない顔だ。何か思う所があるのかな。
「食材ではない、人間に刃物を向けるのは嫌か」
「ッ!?」
あ……もしかして、そういう事?
「だがな、いつかはその選択肢を突きつけられる時が必ず来る。躊躇していればアヤメを、自分すらも守ることが出来ない」
「あ……」
「甘ったれるな」
「……」
「命を奪いたくなければ、そうすればいい。だが、殺さず戦闘不能にすることは、ただ殺す以上に難しい。それでもやるのであれば、力を貸してやろう」
目を見開いたタクミ。果たして、お父様のその言葉に何を思ったのだろうか。
「やります……!! お願いします!!」
彼の目は、覚悟を決めたような目だった。
人に剣を向ける。そんな事が起こる、だなんて想像がつかない。だって、この国はそれだけ平和なんだもん。
でも……護身術でも習ってみる?
「ダーメーよ、アヤメちゃん」
……顔に出てた? いつも顔に出てるって言われるけれど、護身術よりそっちを練習した方がいいのかな。考えてること駄々洩れだもんね。
「あなた、アヤメちゃんの前で物騒な話しないでちょうだい」
「……すまない、つい、な。いいかタクミ君、これはアヤメの為であって君の為ではない。そこは間違わないように」
「はい、ご指導のほどよろしくお願いします」
「さっきまでカッコよかったのに、今ので台無しね」
「……」
お母様、辛辣。
とりあえず、反対されずに済んで良かった。まぁタクミ君は大変になっちゃったけど。お父様、手加減、してくれるよね?
だがしかし、この後この国の最強剣士と謳われ指導に一番厳しいとも言われている鬼にボコボコにされる未来が待っているのである。
頑張れ、タクミ。
「ウチのアヤメとお付き合いをしているそうじゃないか、タクミ君」
「はい」
今から決闘が始まるんじゃないだろうか、と思ってもいいくらいの雰囲気。お父様の圧が凄い、そしてタクミはよくこれに耐えられるな。……いや、冷汗だらだらかもしれない。
どうしてこうなってしまったのか。それはお母様が教えてくれた。
私がデートで出かけていた時、お父様は急用で一度屋敷に戻ってきていたらしい。でも、私が出かけているにも関わらずマリアとジルベルトを見かけた。
おかしいな、出掛けなかったのか。そう思っていた時、お母様とマリアの会話を聞いたらしい。
『デートだなんていいわね~♡』
『奥様も旦那様と出かけてはいかがですか?』
『そうねぇ、折角この前あの人の私服を買ったんですもの。あ、でもアヤメちゃんと3人であのお店に行くのもいいわね~』
『ふふ、坊ちゃまは一緒ではないのですか?』
『そうね~、あの子に伝えたら色々と変な理由を付けて付いてくるかも』
と。だから帰ってきた時あんな顔をしていたのね。
でもお父様、今日の仕事は? と聞いたけれど、そんなものは後でいい、と言われてしまった。忙しいんじゃなかったんですか? あれだよね、サミットの日が近づいているからどこも忙しいはずだよね。
私とお父様とお母様の3人で座るソファーの向かい側に座るタクミ。何というか、面接みたいな。そんな感じがする。絶対今生きた心地してないでしょ。
でも、お母様とっても嬉しそうなのはどうしてだろう。楽しんじゃってません?
「君は貴族だ、それに19歳。勿論縁談話などは来ているだろう?」
「はい、ですが全部断らせていただいています」
「君は料理の腕もあるし、下位貴族である男爵家の者だとしても名声のある家だ。政略結婚の話もあったのではないか?」
「いえ、ありません。ですが、もしあったとしても絶対に断っていたと思います」
「それはどうしてだ?」
「結婚相手は一生を共にする相手ですから、自分で選びたいと家族に伝えてあります。自分の作る料理を食べさせてあげたい相手にしたいと思っています」
「それがアヤメか」
「はい」
……ん? え、ちょっと待って。結婚!? は、早くないですか!?
「どうしてアヤメなのかな」
「……最初は、自分の祖父と同じ日本人だという事で興味がありました。知らず知らずにこちらに来てしまい味わえなくなってしまった故郷の味を、もう一度味わってもらいたい。そんな気持ちで料理を振る舞っていたのですが……毎回毎回私の料理を美味しく食べてくれるアヤメさんを見て、自分にも自信がついたんです。自分は喜んでもらえる料理を作れてるんだって。それもあって、アヤメさんに惹かれてい…」
「ストップッッ!!!!」
「あらまぁアヤメちゃん恥ずかしがっちゃって~可愛いんだから♪」
「お母様っ!!」
もうここで限界だった。恥ずかしすぎて顔が熱々になっちゃったじゃない。やめてよ、もう。
「ウチの可愛い一人娘はお前にはやらんっ!!」
「えっ!?」
「おっお父様!?」
え、ダメなの!? やっぱり貴族の娘だし、タクミは別の国出身だし、私異世界人だし……で、でも……
「と、言いたい所だが」
「えっ」
「こぉら、あなた」
アヤメちゃんの顔見てから言いなさい、と頭を叩かれてしまったお父様。
「タクミ君、剣を出しなさい」
「は、はい」
え、待って、剣? もしかして、決闘が始まっちゃう? と思ったけれど、お父様がその剣を抜いてしまった。え、ここでするの!?
「ふむ……」
「……あの、お父様?」
「……」
じーっと剣を観察し出したお父様。え、どうしたんですか。
「確か、君達は大型動物を相手にするんだったな」
「は、はい。領地内にある森には大型動物が沢山生息しているので、畑や田んぼを荒らされないよう定期的に私達が狩りをしているんです」
「なるほどな。君は、ここには一週間に一回来ていたな」
「はい」
「では毎朝、私の所に来なさい」
「……えっ」
「ま、毎朝、ですか……」
「君も毎日店を切り盛りしていて忙しい事は分かっている。だから時間の許す限りでいい。その時間で私が君に対人戦を教えてあげよう。君は腕がいい事は領地の騎士団長から聞いているし、この剣を見れば一目瞭然だ。だが君の剣は対動物だ」
これって、忙しいお父様が毎週時間を空けてくれるって事よね。でも、タクミは浮かない顔だ。何か思う所があるのかな。
「食材ではない、人間に刃物を向けるのは嫌か」
「ッ!?」
あ……もしかして、そういう事?
「だがな、いつかはその選択肢を突きつけられる時が必ず来る。躊躇していればアヤメを、自分すらも守ることが出来ない」
「あ……」
「甘ったれるな」
「……」
「命を奪いたくなければ、そうすればいい。だが、殺さず戦闘不能にすることは、ただ殺す以上に難しい。それでもやるのであれば、力を貸してやろう」
目を見開いたタクミ。果たして、お父様のその言葉に何を思ったのだろうか。
「やります……!! お願いします!!」
彼の目は、覚悟を決めたような目だった。
人に剣を向ける。そんな事が起こる、だなんて想像がつかない。だって、この国はそれだけ平和なんだもん。
でも……護身術でも習ってみる?
「ダーメーよ、アヤメちゃん」
……顔に出てた? いつも顔に出てるって言われるけれど、護身術よりそっちを練習した方がいいのかな。考えてること駄々洩れだもんね。
「あなた、アヤメちゃんの前で物騒な話しないでちょうだい」
「……すまない、つい、な。いいかタクミ君、これはアヤメの為であって君の為ではない。そこは間違わないように」
「はい、ご指導のほどよろしくお願いします」
「さっきまでカッコよかったのに、今ので台無しね」
「……」
お母様、辛辣。
とりあえず、反対されずに済んで良かった。まぁタクミ君は大変になっちゃったけど。お父様、手加減、してくれるよね?
だがしかし、この後この国の最強剣士と謳われ指導に一番厳しいとも言われている鬼にボコボコにされる未来が待っているのである。
頑張れ、タクミ。