目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇69 国際郵便
着々と他国からの人達が集まり、サミットの日も近づいてきていた。
パーティーの準備も進んでいき、あとはもう招待状を送るだけ。
だけど、まだスフェーン王国だけが来ていないそうだ。大荒れで到着が遅れているんだと思う。
だから、他の招待状は送れたけれど、スフェーン王国の人達の分だけがまだ手元に残っている。
最近は、アドマンス家の屋敷に来る来訪者が多くなった。そう、他国から来た方々だ。いろいろとお誘いや国の特産品のプレゼントを貰ったりと毎日大変である。
お母様は、他国より先にアヤメちゃんとお近づきになれるようこうして来訪してくるのよ、と言っていた。
やっぱり私が異世界人だから、なんだろうなぁ。
そしてこの日も、アドマンス邸に来訪者が来た。ミュレーンス王国の方々だ。
「初めまして、ご令嬢、アドマンス夫人。ミュレーンス王国のヴィスティウス家当主、モーゼス・レウス・ヴィスティウスだ」
まさかの、ミュレーンス王国の大公閣下が来てしまいました。確か、王様の弟君だったかな。この前ラル夫人に教えてもらった。
「申し訳ありません、本来でしたら私の方からお伺いしなければならないのに」
「いや、いいさ。いきなり来たのはこちらなのだから気にするな」
「ありがとうございます」
ミュレーンス王国とは、この国カーネリアンと友好関係を築いている国だ。他にも仲のいい国はあるけれど、ミュレーンス王国とは付き合いが一番長い。
貿易もずっと続いていて、その役目をアドマンス家が担っている。
そんな国の大公閣下がどうしてここに来たのだろうか。
「今日は、アドマンス嬢に提案をする為に来た」
「ご提案、ですか……?」
わ、私に?
「我が国ミュレーンス王国は知っての通り島国だ。他国への移動手段は全て船。貿易でも船を使っているからな。貿易の取引きをしてくれているアドマンス家との連絡手段は勿論手紙だ。だが、島国ともあって他国との手紙のやり取りはだいぶ苦労している状態だ」
首都からだと、港まで馬車か馬で行き、行き先の船に乗り、降りた後にまた馬車か馬を見繕って送り先まで移動する。届けた後は帰り道もある。確かにだいぶ苦労して届けに行かなければならない。
「もしかして、」
「あぁ、その通りだ。ご令嬢の【フラワーメール】は我々も耳に入っている。だから、その範囲をミュレーンス王国にも広げてほしい。
こちらと友好関係にあるカーネリアン王国との手紙のやり取りが容易に行えるとなると、我々の連絡も頻繁に行える。何かあった時にもすぐに連絡できるという事だ。
そして、他の者達も島国な為中々会えない相手に手紙を送ることも出来る。もしこれが実現するのであれば王国の皆が喜び利用するだろう。我々のような貴族の者達も、平民の者達も、な」
ミュレーンス王国まで、か……でもそうなると、アドマンス領にしかない港まで持っていき、船に乗って島国まで行き、そこから手紙の届け先まで送るという事になる。
今はまだ、こちらでは第一首都、第二首都、第三首都でしかやり取りが出来ていない状態。そろそろ範囲を広げてみようと考えていた所ではあるけれど、そこまで広げられるだろうか。
確かに、島国だと何かと他国とのやり取りが難しい。もし、そちらの国に私の友達がいたとしたら、会いに行くのも一苦労。手紙が送れるのなら、きっとすぐにでも手紙を書いているかも。
きっと、同じ気持ちの人達も多いと思う。
でも、実現出来るだろうか。難しいと思う。ここから手紙をそちらに送るとなると領地まで馬車で4日。馬だとそれより早く着くだろうけれど、そこから船に乗る。
そちらの国に行く船は数に限りがあるから時間も考えていかなければならないし、そちらの国に到着したとしてもそこからの移動手段はどう用意すればいいのだろうか。
課題は山ほどある。
「すぐに答えを貰うつもりはない。これはとても難しい案件だという事はこちらも分かっている。サミットが終わってから、自国で嬉しい知らせが来る事を願っているよ」
「わ、わかりました」
難しいけれど、実現させたい。これは皆さんが喜んでもらえるように、立ち上げた事業だ。だから、もっと便利になってくれるよう、もっと頑張らなきゃ。
「あぁ、そうだ。令嬢に聞きたかったことがあってな」
「はい?」
「君のもう一つの事業、【クローバー】の次の販売は何時か聞いてもいいか」
「……え?」
「実は頼まれてな。こちらの王妃殿下、私の母がど~~~しても【クローバー】のアクセサリーが欲しいと言ってきてな」
……ん? ミュレーンス王国の、王妃様が……!?
「サミットの開催国がこの国になると決まってから会う度会う度欲しいと言われてな、口癖にまでなってしまっている始末だ。だから絶対に買ってくるようにと念押しされてしまったわけだ」
「は、はぁ……」
「もしあったらネックレスを買ってきて欲しいと注文までされてな。聞いてもいいか?」
「で、でしたらまだ店頭に並べていない商品が手元にございますので、どうぞ、ご覧になってください……」
「いいのか?」
「は、はい」
「すまないな、母上の我儘を聞いて貰って。ありがたく購入させてもらうよ」
大公閣下は、私が用意した【クローバー】の商品をまじまじと見ては、母上の好みは分からんなとぼやいていた。ネックレスをご所望だと聞いたから用意してみたんだけど、どうかな。
ではこれにしよう、とラミラスの花がモチーフとなっているネックレスをご購入された。でも、渡してきた金額は倍以上。我儘を言ってしまったから受け取ってくれ、と言われれば受け取るほかない。ありがとうございます。
これで王妃殿下も喜んでくれるといいな。
ではまた、と閣下は帰っていったのだ。
そして次の日、ようやくスフェーン王国御一行が到着なさったとの知らせを受けることが出来たのである。
パーティーの準備も進んでいき、あとはもう招待状を送るだけ。
だけど、まだスフェーン王国だけが来ていないそうだ。大荒れで到着が遅れているんだと思う。
だから、他の招待状は送れたけれど、スフェーン王国の人達の分だけがまだ手元に残っている。
最近は、アドマンス家の屋敷に来る来訪者が多くなった。そう、他国から来た方々だ。いろいろとお誘いや国の特産品のプレゼントを貰ったりと毎日大変である。
お母様は、他国より先にアヤメちゃんとお近づきになれるようこうして来訪してくるのよ、と言っていた。
やっぱり私が異世界人だから、なんだろうなぁ。
そしてこの日も、アドマンス邸に来訪者が来た。ミュレーンス王国の方々だ。
「初めまして、ご令嬢、アドマンス夫人。ミュレーンス王国のヴィスティウス家当主、モーゼス・レウス・ヴィスティウスだ」
まさかの、ミュレーンス王国の大公閣下が来てしまいました。確か、王様の弟君だったかな。この前ラル夫人に教えてもらった。
「申し訳ありません、本来でしたら私の方からお伺いしなければならないのに」
「いや、いいさ。いきなり来たのはこちらなのだから気にするな」
「ありがとうございます」
ミュレーンス王国とは、この国カーネリアンと友好関係を築いている国だ。他にも仲のいい国はあるけれど、ミュレーンス王国とは付き合いが一番長い。
貿易もずっと続いていて、その役目をアドマンス家が担っている。
そんな国の大公閣下がどうしてここに来たのだろうか。
「今日は、アドマンス嬢に提案をする為に来た」
「ご提案、ですか……?」
わ、私に?
「我が国ミュレーンス王国は知っての通り島国だ。他国への移動手段は全て船。貿易でも船を使っているからな。貿易の取引きをしてくれているアドマンス家との連絡手段は勿論手紙だ。だが、島国ともあって他国との手紙のやり取りはだいぶ苦労している状態だ」
首都からだと、港まで馬車か馬で行き、行き先の船に乗り、降りた後にまた馬車か馬を見繕って送り先まで移動する。届けた後は帰り道もある。確かにだいぶ苦労して届けに行かなければならない。
「もしかして、」
「あぁ、その通りだ。ご令嬢の【フラワーメール】は我々も耳に入っている。だから、その範囲をミュレーンス王国にも広げてほしい。
こちらと友好関係にあるカーネリアン王国との手紙のやり取りが容易に行えるとなると、我々の連絡も頻繁に行える。何かあった時にもすぐに連絡できるという事だ。
そして、他の者達も島国な為中々会えない相手に手紙を送ることも出来る。もしこれが実現するのであれば王国の皆が喜び利用するだろう。我々のような貴族の者達も、平民の者達も、な」
ミュレーンス王国まで、か……でもそうなると、アドマンス領にしかない港まで持っていき、船に乗って島国まで行き、そこから手紙の届け先まで送るという事になる。
今はまだ、こちらでは第一首都、第二首都、第三首都でしかやり取りが出来ていない状態。そろそろ範囲を広げてみようと考えていた所ではあるけれど、そこまで広げられるだろうか。
確かに、島国だと何かと他国とのやり取りが難しい。もし、そちらの国に私の友達がいたとしたら、会いに行くのも一苦労。手紙が送れるのなら、きっとすぐにでも手紙を書いているかも。
きっと、同じ気持ちの人達も多いと思う。
でも、実現出来るだろうか。難しいと思う。ここから手紙をそちらに送るとなると領地まで馬車で4日。馬だとそれより早く着くだろうけれど、そこから船に乗る。
そちらの国に行く船は数に限りがあるから時間も考えていかなければならないし、そちらの国に到着したとしてもそこからの移動手段はどう用意すればいいのだろうか。
課題は山ほどある。
「すぐに答えを貰うつもりはない。これはとても難しい案件だという事はこちらも分かっている。サミットが終わってから、自国で嬉しい知らせが来る事を願っているよ」
「わ、わかりました」
難しいけれど、実現させたい。これは皆さんが喜んでもらえるように、立ち上げた事業だ。だから、もっと便利になってくれるよう、もっと頑張らなきゃ。
「あぁ、そうだ。令嬢に聞きたかったことがあってな」
「はい?」
「君のもう一つの事業、【クローバー】の次の販売は何時か聞いてもいいか」
「……え?」
「実は頼まれてな。こちらの王妃殿下、私の母がど~~~しても【クローバー】のアクセサリーが欲しいと言ってきてな」
……ん? ミュレーンス王国の、王妃様が……!?
「サミットの開催国がこの国になると決まってから会う度会う度欲しいと言われてな、口癖にまでなってしまっている始末だ。だから絶対に買ってくるようにと念押しされてしまったわけだ」
「は、はぁ……」
「もしあったらネックレスを買ってきて欲しいと注文までされてな。聞いてもいいか?」
「で、でしたらまだ店頭に並べていない商品が手元にございますので、どうぞ、ご覧になってください……」
「いいのか?」
「は、はい」
「すまないな、母上の我儘を聞いて貰って。ありがたく購入させてもらうよ」
大公閣下は、私が用意した【クローバー】の商品をまじまじと見ては、母上の好みは分からんなとぼやいていた。ネックレスをご所望だと聞いたから用意してみたんだけど、どうかな。
ではこれにしよう、とラミラスの花がモチーフとなっているネックレスをご購入された。でも、渡してきた金額は倍以上。我儘を言ってしまったから受け取ってくれ、と言われれば受け取るほかない。ありがとうございます。
これで王妃殿下も喜んでくれるといいな。
ではまた、と閣下は帰っていったのだ。
そして次の日、ようやくスフェーン王国御一行が到着なさったとの知らせを受けることが出来たのである。