目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇89 おかしな噂
今日は、とあるお屋敷に来ていた。お茶会のご招待を受けたからだ。誰のお茶会かというと……
「ご機嫌麗しゅう、アドマンス嬢。本日はご足労いただきありがとうございます」
「こちらこそ、お茶会に招待してくれてありがとうございます、プリシラ嬢」
そう、プリシラ・ホリトンさんからです。いやぁ、まさか断れるわけないじゃない?
だって殿下今だにちゃんとしたお話出来てないんだから私が何とかしてあげなきゃ。もう何度も背中押して差し上げているのに忙しい人だからパーティーとか行けなかったりするんだもん。だから代わりに私が行かなきゃ。
もう他にご招待されたご令嬢方はお揃いらしくて、私が最後。とは言っても私がこの中では一番階級が高いから最後って決まってるんだけどね。
ここには私達2人を入れて全部で6人。その中には、知っている人や知らない人。遠目で見た事があるけれど喋った事のない人も。
自己紹介をしてから、お茶会がスタートした。
「私、アドマンス嬢にお会いできる日をとっても心待ちにしていましたの。こうしてお会いできて光栄です」
「わたくしもです。アドマンス嬢はお忙しいお方ですからね、社交界にあまり出られない事は我々も分かっていますよ」
毎回毎回そう言われます。まぁ、私が社交界が苦手という所もあるし、疲れちゃうからあまり行かないように、とお母様に言われているのもある。
いやぁ、皆さんお可愛らしい。きゃぴきゃぴしていて付いていけなそう。
「私、レストリス侯爵夫人のダンスパーティーにご招待いただいて参加いたしましたの。あの日アドマンス嬢の身に付けていらしたあのドレス、とっても素敵でしたわ。ルーチェリン王国の異世界人様とレストリス侯爵夫人が手掛けたドレスでしょう? 近くで拝見したかったのですけれど、皆さん興味津々で見ることが出来なくて……」
「わたくしも遠目からでしたが見えましたわ。でも、遠くから見てもドレスの美しさを感じられるほど素晴らしいドレスでした」
うんうん、あのドレスは本当に凄かった。そっかぁ、近くで見れなかったのか。あのドレス、最終的には私が貰っちゃったのよね。好きな時に着てね♪ ってリアさんに言われちゃって。パトラさんも好きなようにしてって言われちゃったし。だから屋敷のドレスルームに保管しているんだけど……
「今度お見せしましょうか」
「え”っ!?」
「えぇえ!?」
口をポカーンと開け驚く令嬢達。え、そんなに驚く?
「ほ、本当によろしいのですか?」
「はい。せっかくの素晴らしいドレスなのですから、ドレスルームに置いておくのはもったいないですし。ぜひご招待させてください」
「まぁ! ありがとうございます!」
「ありがとうございます、アドマンス嬢!」
「招待状、心待ちにしていますね!」
今まで仕事以外で屋敷に誰かを招待するだなんて、カリナとかタクミ達とかリアさんとかぐらいだったかな。同じ年頃のご令嬢を何人もご招待だなんて初めてかも。ちょっと嬉しいかな。
あ、そういえばカリナも見たいって言ってたから近々呼ぼうかな。
こんなにドレスを見たがってる人達がいるのに、リアさん私にあげちゃって良かったのかな? お店に飾ったりとかしなくていいのかな?
まぁ、こうやって見せてあげたり特別な日にまた私が着ればいいのかな? でも勿体無い気もしなくもない。あとでリアさんにもう一度言ってみよう。
「そういえば、アドマンス嬢のお噂は聞いていますよ」
「……えっ」
ま、待って、う、噂!? え、まさかここで聞かれちゃう感じ?
ま、まぁ、覚悟はしてたけど。はぐらかしちゃおうかなとか考えてたけど、上手くいくかしら。
「良かったですね、知らない場所での生活で心細かったでしょう?」
「私だって二度と生まれ故郷に帰れなくなった時、同じ故郷の方と出会えたら頼ってしまいますわ」
ん?
「アドマンス嬢のような黒髪と黒い瞳の方が周りに一人もいないと不安にもなりますよね」
んんん?
「それでそれで、今王太子殿下とお付き合いされているのですよね? ご婚約は何時なのでしょう?」
「私もそれをお聞きしたかったのです」
「婚約式の際にはどうかご招待していただけないでしょうか」
何か、おかしなことになってません? タクミと付き合ってることが噂になってたはずなのに、ただ頼ってるだけであって本命は王太子殿下? 一体どこから殿下が出てきたの?
「あの……ただ殿下とは手紙のやり取りをしているだけであって……」
「はいっ! それも聞いています! アドマンス嬢の事業である【フラワーメール】は殿下との手紙のやり取りがきっかけなんですよね!」
「それを聞いた時にはもう胸がときめいてしまいました。お忙しい立場であるお二人にとって手紙はとても大切なものだと存じます。離れていても自分の気持ちをお伝えできる手紙をもっと簡単に、そして他の方々にも自分の心を相手に伝える手助けとなる為にだなんて、なんて素敵な心の持ち主なのかしらと尊敬してしまいました!」
……おかしいな、何だか変な方向にいってない? 私、殿下とは何もないんですけど。しかも殿下の想い人は目の前にいらっしゃるのですが。
「あの、殿下とはそう言った関係ではありません。婚約もするつもりはありません」
「え?」
「じゃあ、あの噂は……」
「間違いです。殿下とはただの従兄妹というだけであって、他には何もありません」
……何で皆さん、そんなに残念な顔されてるんです? まぁこういう話が好きなのは分かってるけどさ。いっそのこと、言っちゃう? ただ噂ってだけだから本当の事言っちゃった方がいいんじゃ? あの後タクミと話して何だったら名前を出してもいいぞって言われちゃったし。
でもどうして噂がすり替わっちゃったのか分からないし。言った後またややこしい事になるのはちょっとね。
「私の話より、皆さんのお話を聞きたいです。皆さん、好いているお方はいらっしゃいますか?」
「それは勿論!」
「アドマンス嬢の兄君であるアルフレッド・アドマンス様ですわ!」
おぉ、だいぶ力が入ってなかった? でも皆さん声を揃えて言ってきたところを見ると、全員が好きな感じ?
「とはいえ、あの方は雲の上のような方。今婚約者はいらっしゃりませんが、きっと私達のような下位貴族の者達では夢のまた夢。ですから皆で隅から応援しましょうって決めているのです」
そ、そっか。この国唯一の公爵家の後継者だもんね。高位貴族の令嬢の方が確率が高いって事か。お兄様は女性に興味がなさそうだから恋愛結婚は……いや、どうだろう。もしかしたら、もあり得るかもしれない。
「あの、わたくし達はあの方とお話をした事がないんです。ただの挨拶だけですわ。プリシラはアドマンス嬢のお陰で少しだけお話をしたのですが……どんな方なのか、言える範囲で構いませんので教えてくださいませんか?」
「あの、無理にとは言いませんので」
あらら、皆さん恋する乙女なのね。普段のお兄様の様子を教えてあげればいいのかな?
「そうですね……あまり屋敷に帰って来ません」
「えっ」
「ず、ずっと王宮でお仕事をされているのですか!?」
「あっ、近衛騎士団の副団長を務めていらっしゃる方ですもの、当然お忙しいに決まっていますわ」
前は殆ど帰ってきてなかったのに、私が来た途端帰ってくる事がだいぶ増えたってお母様が言ってたな。それ、だいぶ嬉しかったんだよね。
「寡黙ではありますけど、とても優しい方です。私が熱を出した時にはわざわざ休み時間に帰ってきてお見舞いの品を持ってきてくれているみたいなんです。私、寝ちゃってて会った事ないんですけどね」
「まぁ! 何とお優しい!」
それから、出来る範囲内で話してあげた。とても喜んでくれたみたいで良かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、もう帰る時間となってしまったのだ。
「楽しい時間をありがとうございました」
「こちらこそ、沢山お喋りが出来て嬉しかったです。招待状、お待ちしていますね」
同じ年代の令嬢達と有意義な時間を過ごせてとっても楽しかった。次の約束も出来たし、今日は来てよかったなぁ。
あ、殿下に早くお手紙書かなきゃ。
プリシラ嬢の事と、あと今広まっている噂の件もね。
「ご機嫌麗しゅう、アドマンス嬢。本日はご足労いただきありがとうございます」
「こちらこそ、お茶会に招待してくれてありがとうございます、プリシラ嬢」
そう、プリシラ・ホリトンさんからです。いやぁ、まさか断れるわけないじゃない?
だって殿下今だにちゃんとしたお話出来てないんだから私が何とかしてあげなきゃ。もう何度も背中押して差し上げているのに忙しい人だからパーティーとか行けなかったりするんだもん。だから代わりに私が行かなきゃ。
もう他にご招待されたご令嬢方はお揃いらしくて、私が最後。とは言っても私がこの中では一番階級が高いから最後って決まってるんだけどね。
ここには私達2人を入れて全部で6人。その中には、知っている人や知らない人。遠目で見た事があるけれど喋った事のない人も。
自己紹介をしてから、お茶会がスタートした。
「私、アドマンス嬢にお会いできる日をとっても心待ちにしていましたの。こうしてお会いできて光栄です」
「わたくしもです。アドマンス嬢はお忙しいお方ですからね、社交界にあまり出られない事は我々も分かっていますよ」
毎回毎回そう言われます。まぁ、私が社交界が苦手という所もあるし、疲れちゃうからあまり行かないように、とお母様に言われているのもある。
いやぁ、皆さんお可愛らしい。きゃぴきゃぴしていて付いていけなそう。
「私、レストリス侯爵夫人のダンスパーティーにご招待いただいて参加いたしましたの。あの日アドマンス嬢の身に付けていらしたあのドレス、とっても素敵でしたわ。ルーチェリン王国の異世界人様とレストリス侯爵夫人が手掛けたドレスでしょう? 近くで拝見したかったのですけれど、皆さん興味津々で見ることが出来なくて……」
「わたくしも遠目からでしたが見えましたわ。でも、遠くから見てもドレスの美しさを感じられるほど素晴らしいドレスでした」
うんうん、あのドレスは本当に凄かった。そっかぁ、近くで見れなかったのか。あのドレス、最終的には私が貰っちゃったのよね。好きな時に着てね♪ ってリアさんに言われちゃって。パトラさんも好きなようにしてって言われちゃったし。だから屋敷のドレスルームに保管しているんだけど……
「今度お見せしましょうか」
「え”っ!?」
「えぇえ!?」
口をポカーンと開け驚く令嬢達。え、そんなに驚く?
「ほ、本当によろしいのですか?」
「はい。せっかくの素晴らしいドレスなのですから、ドレスルームに置いておくのはもったいないですし。ぜひご招待させてください」
「まぁ! ありがとうございます!」
「ありがとうございます、アドマンス嬢!」
「招待状、心待ちにしていますね!」
今まで仕事以外で屋敷に誰かを招待するだなんて、カリナとかタクミ達とかリアさんとかぐらいだったかな。同じ年頃のご令嬢を何人もご招待だなんて初めてかも。ちょっと嬉しいかな。
あ、そういえばカリナも見たいって言ってたから近々呼ぼうかな。
こんなにドレスを見たがってる人達がいるのに、リアさん私にあげちゃって良かったのかな? お店に飾ったりとかしなくていいのかな?
まぁ、こうやって見せてあげたり特別な日にまた私が着ればいいのかな? でも勿体無い気もしなくもない。あとでリアさんにもう一度言ってみよう。
「そういえば、アドマンス嬢のお噂は聞いていますよ」
「……えっ」
ま、待って、う、噂!? え、まさかここで聞かれちゃう感じ?
ま、まぁ、覚悟はしてたけど。はぐらかしちゃおうかなとか考えてたけど、上手くいくかしら。
「良かったですね、知らない場所での生活で心細かったでしょう?」
「私だって二度と生まれ故郷に帰れなくなった時、同じ故郷の方と出会えたら頼ってしまいますわ」
ん?
「アドマンス嬢のような黒髪と黒い瞳の方が周りに一人もいないと不安にもなりますよね」
んんん?
「それでそれで、今王太子殿下とお付き合いされているのですよね? ご婚約は何時なのでしょう?」
「私もそれをお聞きしたかったのです」
「婚約式の際にはどうかご招待していただけないでしょうか」
何か、おかしなことになってません? タクミと付き合ってることが噂になってたはずなのに、ただ頼ってるだけであって本命は王太子殿下? 一体どこから殿下が出てきたの?
「あの……ただ殿下とは手紙のやり取りをしているだけであって……」
「はいっ! それも聞いています! アドマンス嬢の事業である【フラワーメール】は殿下との手紙のやり取りがきっかけなんですよね!」
「それを聞いた時にはもう胸がときめいてしまいました。お忙しい立場であるお二人にとって手紙はとても大切なものだと存じます。離れていても自分の気持ちをお伝えできる手紙をもっと簡単に、そして他の方々にも自分の心を相手に伝える手助けとなる為にだなんて、なんて素敵な心の持ち主なのかしらと尊敬してしまいました!」
……おかしいな、何だか変な方向にいってない? 私、殿下とは何もないんですけど。しかも殿下の想い人は目の前にいらっしゃるのですが。
「あの、殿下とはそう言った関係ではありません。婚約もするつもりはありません」
「え?」
「じゃあ、あの噂は……」
「間違いです。殿下とはただの従兄妹というだけであって、他には何もありません」
……何で皆さん、そんなに残念な顔されてるんです? まぁこういう話が好きなのは分かってるけどさ。いっそのこと、言っちゃう? ただ噂ってだけだから本当の事言っちゃった方がいいんじゃ? あの後タクミと話して何だったら名前を出してもいいぞって言われちゃったし。
でもどうして噂がすり替わっちゃったのか分からないし。言った後またややこしい事になるのはちょっとね。
「私の話より、皆さんのお話を聞きたいです。皆さん、好いているお方はいらっしゃいますか?」
「それは勿論!」
「アドマンス嬢の兄君であるアルフレッド・アドマンス様ですわ!」
おぉ、だいぶ力が入ってなかった? でも皆さん声を揃えて言ってきたところを見ると、全員が好きな感じ?
「とはいえ、あの方は雲の上のような方。今婚約者はいらっしゃりませんが、きっと私達のような下位貴族の者達では夢のまた夢。ですから皆で隅から応援しましょうって決めているのです」
そ、そっか。この国唯一の公爵家の後継者だもんね。高位貴族の令嬢の方が確率が高いって事か。お兄様は女性に興味がなさそうだから恋愛結婚は……いや、どうだろう。もしかしたら、もあり得るかもしれない。
「あの、わたくし達はあの方とお話をした事がないんです。ただの挨拶だけですわ。プリシラはアドマンス嬢のお陰で少しだけお話をしたのですが……どんな方なのか、言える範囲で構いませんので教えてくださいませんか?」
「あの、無理にとは言いませんので」
あらら、皆さん恋する乙女なのね。普段のお兄様の様子を教えてあげればいいのかな?
「そうですね……あまり屋敷に帰って来ません」
「えっ」
「ず、ずっと王宮でお仕事をされているのですか!?」
「あっ、近衛騎士団の副団長を務めていらっしゃる方ですもの、当然お忙しいに決まっていますわ」
前は殆ど帰ってきてなかったのに、私が来た途端帰ってくる事がだいぶ増えたってお母様が言ってたな。それ、だいぶ嬉しかったんだよね。
「寡黙ではありますけど、とても優しい方です。私が熱を出した時にはわざわざ休み時間に帰ってきてお見舞いの品を持ってきてくれているみたいなんです。私、寝ちゃってて会った事ないんですけどね」
「まぁ! 何とお優しい!」
それから、出来る範囲内で話してあげた。とても喜んでくれたみたいで良かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、もう帰る時間となってしまったのだ。
「楽しい時間をありがとうございました」
「こちらこそ、沢山お喋りが出来て嬉しかったです。招待状、お待ちしていますね」
同じ年代の令嬢達と有意義な時間を過ごせてとっても楽しかった。次の約束も出来たし、今日は来てよかったなぁ。
あ、殿下に早くお手紙書かなきゃ。
プリシラ嬢の事と、あと今広まっている噂の件もね。