目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
◇94 花びら染め
「あ、染め物やってみようかな」
「染め物?」
朝ご飯の途中で、私はふと思いついた。朝ご飯のオムレツを食べつつ、今日は何をしようかなぁ~って考えていた時にだ。
「何で染めるんだ?」
「お花!」
「花?」
「ちょっと枯れそうになってる花とかを使って布を染めるの。実はパトラさんに教えてもらってたんだ~!」
「へぇ~、面白そう。やるか」
「うん!」
よ~し、やるぞぉ! まずはご飯食べ終わらせなきゃ!
……と、思っていたのに。
「えっ……て、手袋が、ない?」
「布の手袋ならあるのですが、その、水を通さない手袋というものは聞いたこともありません」
まさか、ゴム手袋がないなんて!! じゃあ皆さん素手で何か作業されてるって事!? 手荒れしまくりじゃないですか!! 何と過酷な!!
「おっと、これはアドマンス家の魔道具師の出番か?」
「いや、魔道具じゃないし」
「でもそういうのも作ってくれるんだろ?」
うん、まぁ、そうなんだけど……以前にも穴開けパンチとか作ってもらったし。でも、難しいんじゃ?
「……今日は素手でやりましょう」
「待った、俺がやる」
「え、でも……」
「でもじゃない、アヤメ手綺麗なんだから俺がやる」
「……」
そういうとこずるい。全く。
気を取り直して。マリアに、白い布と大きなボウル、不織布とお湯、そしてお酢を用意してもらった。
「こんな花でよろしいのですか?」
「はい」
ここの庭師さんから、枯れる寸前のお花をたくさん頂いた。あとは捨てるだけのものだから、再利用していただけて嬉しいです、とも言ってくださって。
「じゃあまず、不織布にお花を入れます!」
「こんなにごっそり?」
「うん」
これくらいないと色が出ないのかな? でも綺麗な色が出てくれると嬉しいです。
「で、お酢?」
「うん!」
お花を包んだ不織布を、お酢を入れたボウルに投入! まさかお酢を使うとは思ってなかったからちょっとびっくりしてはいる。
「浸しながら10分揉みます!」
「10分!?」
「頑張れ~!」
本当は交代交代でやるはずだったんだけど自分で言い出したのであれば仕方ないよね。さー頑張れー!
でも文句を言いつつもちゃんと長い時間不織布を揉んでくれた。
「よーし、じゃあお湯入れますよ~」
気をつけてー、と声をかけつつお湯をボウルの中に投入。またもう一度花を揉んでもらう。
「もういいかな?」
「結構色出たけど。でも水でこの色だからもうちょいか?」
「かな?」
よっしゃ、と今度はやる気まんまんなタクミ。さっきまで文句言ってた人はどこのどなた? とは口には出さなかった。いやー、さすが体力ありますね。
そろそろかな、ってところで今度は不織布を取り出して染めたい布を投入。
「空気が入ってるところは潰して」
「ムラになるから?」
「うん」
それから30分くらい浸けます。はい、お疲れ様でした。
「綺麗なピンクになると良いけど、どうだろ」
「結構色濃く出たけどな。こればっかりは絞って乾かしてみなきゃ分からないな」
そう、今回はピンクのお花を集めてみました。ちょっと薄くなっちゃうかな、とも思ったけどもし出来たらとっても素敵なのが出来上がるんじゃないかと思って。
「はぁ、いつも洗濯は自分でするけどさぁ、さすがに10分はないわ。大きいシーツだって5分もかかんないし」
「お嬢様が仰っていたゴム手袋が完成すれば洗濯をしても手荒れをせずに済みますね」
……ん?
「俺らも店で使う布巾とかは薬に浸けて殺菌するんだけどさぁ、それあれば楽だな」
「触らないように作業するとなるとそう簡単ではないですからね」
「そうそう」
……んんん?
「……あの、お聞きしてよろしいでしょうか」
「何?」
「あの、皆さん洗濯って……」
「え? 大きいたらいだろ」
「……手洗い?」
「他に何があるんだよ」
「う、わぁ……」
うん、でもあり得そうだったかも。そっかぁ、皆さん手洗いでシーツとかタオルとか洗ってたのかぁ。使用人さん達大変だなぁ。
「何、またまた魔道具?」
「洗濯機」
「……マジかよ」
「洗濯物と洗剤を入れてスイッチポン、グルグル回して汚れを落としてあら綺麗! ピカピカ洗濯物の出来上がり!」
「へぇ、回すのか」
使用人さん達の努力がこんな所にもあったなんて。毎日ご苦労様です。
帰ったらすぐにウチの専属魔道具師になってくださったロレンさんに提案しなきゃ。ウチの使用人さん達の苦労を少しでも減らしてあげないと。いつもありがとうございます。
「洗濯機に手袋だなんて、お嬢様は労働者へのお心遣いが素晴らしいですね。もう本当にお嬢様には頭が上がりません」
いや、なんか、今まで私ドラムに入れてスイッチ押してただけなのに皆さん自分の服とか部屋のシーツを手作業で洗ってくれてると思うとさ、なんか、重労働をさせてしまっていたから心が痛いというか……
だから、せめて私の知っている洗濯機を皆さんに使ってほしいという気持ちだけなんだけどさ。作るのはロレンさんなんだけどね。あ、作れるかどうかは聞いてみないと分からないけれど。
「おぉー!」
「綺麗に出来た!」
30分後、と言っても洗濯機の話でちょっと過ぎちゃったんだけど。浸した布を取り出し、絞って水洗いし広げてみるととても綺麗なピンク色に染まった布が出来上がった。
もっと濃くしたい場合はこのあともう一度さっき浸していた液体に浸すみたいなんだけど、これはこれで好みの色だ。
「またやる?」
「タクミがまた大変になるけど」
「しょーがねーな、アヤメがどうしてもって言うならやってやらなくもない」
「あはは、じゃあ青色行こ!」
「おっけー!」
その日は、とても綺麗な染め布が何枚も出来た。これを何に使おうかな、きっと素敵なものが出来ると思う。首都に帰ったらお母様達に見せてあげよう。
「染め物?」
朝ご飯の途中で、私はふと思いついた。朝ご飯のオムレツを食べつつ、今日は何をしようかなぁ~って考えていた時にだ。
「何で染めるんだ?」
「お花!」
「花?」
「ちょっと枯れそうになってる花とかを使って布を染めるの。実はパトラさんに教えてもらってたんだ~!」
「へぇ~、面白そう。やるか」
「うん!」
よ~し、やるぞぉ! まずはご飯食べ終わらせなきゃ!
……と、思っていたのに。
「えっ……て、手袋が、ない?」
「布の手袋ならあるのですが、その、水を通さない手袋というものは聞いたこともありません」
まさか、ゴム手袋がないなんて!! じゃあ皆さん素手で何か作業されてるって事!? 手荒れしまくりじゃないですか!! 何と過酷な!!
「おっと、これはアドマンス家の魔道具師の出番か?」
「いや、魔道具じゃないし」
「でもそういうのも作ってくれるんだろ?」
うん、まぁ、そうなんだけど……以前にも穴開けパンチとか作ってもらったし。でも、難しいんじゃ?
「……今日は素手でやりましょう」
「待った、俺がやる」
「え、でも……」
「でもじゃない、アヤメ手綺麗なんだから俺がやる」
「……」
そういうとこずるい。全く。
気を取り直して。マリアに、白い布と大きなボウル、不織布とお湯、そしてお酢を用意してもらった。
「こんな花でよろしいのですか?」
「はい」
ここの庭師さんから、枯れる寸前のお花をたくさん頂いた。あとは捨てるだけのものだから、再利用していただけて嬉しいです、とも言ってくださって。
「じゃあまず、不織布にお花を入れます!」
「こんなにごっそり?」
「うん」
これくらいないと色が出ないのかな? でも綺麗な色が出てくれると嬉しいです。
「で、お酢?」
「うん!」
お花を包んだ不織布を、お酢を入れたボウルに投入! まさかお酢を使うとは思ってなかったからちょっとびっくりしてはいる。
「浸しながら10分揉みます!」
「10分!?」
「頑張れ~!」
本当は交代交代でやるはずだったんだけど自分で言い出したのであれば仕方ないよね。さー頑張れー!
でも文句を言いつつもちゃんと長い時間不織布を揉んでくれた。
「よーし、じゃあお湯入れますよ~」
気をつけてー、と声をかけつつお湯をボウルの中に投入。またもう一度花を揉んでもらう。
「もういいかな?」
「結構色出たけど。でも水でこの色だからもうちょいか?」
「かな?」
よっしゃ、と今度はやる気まんまんなタクミ。さっきまで文句言ってた人はどこのどなた? とは口には出さなかった。いやー、さすが体力ありますね。
そろそろかな、ってところで今度は不織布を取り出して染めたい布を投入。
「空気が入ってるところは潰して」
「ムラになるから?」
「うん」
それから30分くらい浸けます。はい、お疲れ様でした。
「綺麗なピンクになると良いけど、どうだろ」
「結構色濃く出たけどな。こればっかりは絞って乾かしてみなきゃ分からないな」
そう、今回はピンクのお花を集めてみました。ちょっと薄くなっちゃうかな、とも思ったけどもし出来たらとっても素敵なのが出来上がるんじゃないかと思って。
「はぁ、いつも洗濯は自分でするけどさぁ、さすがに10分はないわ。大きいシーツだって5分もかかんないし」
「お嬢様が仰っていたゴム手袋が完成すれば洗濯をしても手荒れをせずに済みますね」
……ん?
「俺らも店で使う布巾とかは薬に浸けて殺菌するんだけどさぁ、それあれば楽だな」
「触らないように作業するとなるとそう簡単ではないですからね」
「そうそう」
……んんん?
「……あの、お聞きしてよろしいでしょうか」
「何?」
「あの、皆さん洗濯って……」
「え? 大きいたらいだろ」
「……手洗い?」
「他に何があるんだよ」
「う、わぁ……」
うん、でもあり得そうだったかも。そっかぁ、皆さん手洗いでシーツとかタオルとか洗ってたのかぁ。使用人さん達大変だなぁ。
「何、またまた魔道具?」
「洗濯機」
「……マジかよ」
「洗濯物と洗剤を入れてスイッチポン、グルグル回して汚れを落としてあら綺麗! ピカピカ洗濯物の出来上がり!」
「へぇ、回すのか」
使用人さん達の努力がこんな所にもあったなんて。毎日ご苦労様です。
帰ったらすぐにウチの専属魔道具師になってくださったロレンさんに提案しなきゃ。ウチの使用人さん達の苦労を少しでも減らしてあげないと。いつもありがとうございます。
「洗濯機に手袋だなんて、お嬢様は労働者へのお心遣いが素晴らしいですね。もう本当にお嬢様には頭が上がりません」
いや、なんか、今まで私ドラムに入れてスイッチ押してただけなのに皆さん自分の服とか部屋のシーツを手作業で洗ってくれてると思うとさ、なんか、重労働をさせてしまっていたから心が痛いというか……
だから、せめて私の知っている洗濯機を皆さんに使ってほしいという気持ちだけなんだけどさ。作るのはロレンさんなんだけどね。あ、作れるかどうかは聞いてみないと分からないけれど。
「おぉー!」
「綺麗に出来た!」
30分後、と言っても洗濯機の話でちょっと過ぎちゃったんだけど。浸した布を取り出し、絞って水洗いし広げてみるととても綺麗なピンク色に染まった布が出来上がった。
もっと濃くしたい場合はこのあともう一度さっき浸していた液体に浸すみたいなんだけど、これはこれで好みの色だ。
「またやる?」
「タクミがまた大変になるけど」
「しょーがねーな、アヤメがどうしてもって言うならやってやらなくもない」
「あはは、じゃあ青色行こ!」
「おっけー!」
その日は、とても綺麗な染め布が何枚も出来た。これを何に使おうかな、きっと素敵なものが出来ると思う。首都に帰ったらお母様達に見せてあげよう。