ヂラノ
竜也は慎太を見送ると、急いで下着やら洗面具をサブバッグに詰め込んだ。

「兄ちゃん、俺、福岡のおんちゃん連れて昭和小に行くき!」

「ああ、頼むわ!」

坂下竜也の家は両親と兄の権太(けんた)の家族との二世帯だ。

竜也は次男なので、足の不自由な親戚の伯父を助けるつもりだ。

福岡家は、伯父の藤次(とうじ)以外は女ばかりだ。

何かあれば助けるよう、父(八平)から言われている。

「竜也!あっちで待ってるぞね。」

すぐ上の姉
乙子
(おとこ)の声を背中に、竜也は家を飛び出した。





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