不本意ですが、天才パイロットから求婚されています～お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました～【極甘婚シリーズ】

　残された私たちに沈黙の時が流れて気まずい。料理は食べ終わったし、早くこの場から抜け出したい。その一心で私から声をかけた。

「あの、あなたも不本意なお見合いだったんですよね？」

「えっ」

　怪訝そうに私を見た彼に戸惑いながらも続けた。

「私は祖母に繁忙期のご褒美に美味しいものを食べさせてあげるって騙されて来まして……。あなたもそうなんですよね？」

　同意を求めたものの、彼は眉根を寄せた。

「いや、騙されて連れてこられたわけじゃない。それに俺はこの見合いの席に望んで来た」

　ちょっと待って。初対面での彼の様子では、明らかに望んでいなかった。それが一変どういうこと？

　困惑する私に彼は真剣な瞳を向けた。

「俺はキミとの結婚を望んでいる。そうでなければ、見合いなどしない」

「結婚って……」

　思いもよらぬ彼の胸の内を聞き、言葉を失う。

「キミもそのつもりで来てくれたと思っていたんだが、違うのか？」

「それはっ……」

　それはこっちの台詞だ。私と同じで不本意なお見合いだと思っているとばかり……。

　ギュッと唇を噛みしめた後、小さく深呼吸をする。