不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】

 動揺したままでは話ができない。まずは心を落ち着かせないと。

 そう自分に言い聞かせて言葉を選びながら口を開いた。

「私は先ほどもお伝えしましたが、祖母にお見合いだと聞かされず騙されて来ました。それにまだ結婚は考えられません」

「なぜ結婚を考えられないんだ?」

 間髪を容れずに聞かれ、彼に納得してもらえるように自分の気持ちを伝えていく。

「今は仕事に集中したいんです。働く中で夢も見つけることができて、叶える途中ですし、最後までやり遂げたいんです」

「夢があるのは素晴らしいことだ。もちろん応援するし、結婚後も仕事を続けてくれてかまわない」

 笑顔で肯定され、次の一手に出る。

「上杉さん、パイロットなんですよね? 不規則な生活じゃないですか? それに身体が資本ですし。そんなあなたには結婚後は家庭に入ってくれる相手がよろしいのではないでしょうか?」

 負けじと私も笑顔で言うと、彼も表情を崩さずすぐに言葉を返してきた。

「パートナーに支えてもらわなければ自分のコンディションも整えられないのなら、パイロット失格だ。これでもひとり暮らしを続ける中でそれなりに生活力は身に付いていると思っている。だから結婚後は家事全般を引き受けてもいい」

 どうしてこうも結婚に前向きなの? なぜ私との結婚を望んでいるわけ? 私は断りたくて理由を並べているってことに気づいてくれないかな?
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