不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「わかりました。ではソーキそばを食べに行きましょう」

「おう、約束だぞ! あ、奥さんにタルトを買ってきてほしいって頼まれたんだった。上杉、知っているか? 旅するタルトサンドって。それが美味いらしい」

「そうなんですか? 初めて聞きました」

 ロッカーを閉めて帽子を被り、ふたりで廊下に出る。

「お前も買っていくか? 例のお見合い相手に買っていったら喜ぶと思うぞ」

「……そうですね」

 買っていっても受け取ってくれるかわからないが、桜花は甘い物が好きだ。一昨日のことがなかったら、渡せば喜んだだろうな。

「ん? いつもの桜花が可愛いアピールはどうした?」

「え? 俺、そんなアピールしていました?」

 心外ですぐに聞き返せば、廊下を進みながら会沢さんは意気揚々と話し出した。

「していたさ! 桜花のこんな仕草が可愛かったとか、こんな話をしたとか散々俺に言ってきたじゃないか。まぁ、俺も奥さんのことになるとお前と同じになるから上杉の気持ちは痛いほどわかるぞ」

 たしかに言われてみれば、見合いをしたとポロッと漏らしたことから、事あるごとに会沢さんに桜花のことを聞かれていて、その都度話していた。

 いつも話しているうちに桜花への愛が溢れて、ヒートアップしてしまうんだよな。今後は気をつけよう。

「しかし、みんな悲しんでいたぞ?」

「みんなって誰ですか?」
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