不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「そもそもなぜお見合いを? 上杉さんほどの人なら引く手あまたなのでは?」

 だんだんと苛立ちが募っていき、言葉が刺々しくなっていく。

「俺の容姿を気に入ってくれたのか? それは嬉しいな」

「なっ……! そんなこと、一言も言っていませんよね!?」

 一枚上手な彼につい声を荒らげれば、彼はクスクスと笑う。

「違うのか?」

「……容姿が整っているのは事実だと思いますが、私が好みとは限りません」

「それは残念だ」

 なんなの? この人。本当になにを考えているのか全然わからない。だからこそ私の思いをしっかり伝えないと。

 彼のペースに流されないようにと心の中で唱え、真っ直ぐに見つめる。

「もちろん私だって結婚願望はあります。でもそれは今ではないですし、なにより結婚するなら心から好きになれて、相手も同じくらい自分を好きになってほしいんです」

 そもそも結婚とはそういうものだ。想いが通じ合い、お互い一生そばにいたいと思って成立するもの。

 それなのに、出会ってすぐに結婚を望んでいるということは、私と結婚しなければいけないなにかの理由があるとしか思えない。
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