不本意ですが、天才パイロットから求婚されています～お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました～【極甘婚シリーズ】

「そんなの、お前のファンCAたちに決まってるだろ？　上杉は我が社のアイドルなんだ。みんなお前の恋人の座を狙っていたというのに、いきなりお見合いしたとなればショックを受けるだろう」

「アイドルだなんて、勘弁してください」

　実際にこうやって廊下を歩けば、黄色い悲鳴を上げられたり、用事もないのに声をかけられたり、飲み会に誘われる機会も多い。
誘いは嬉しいところだが、俺としては仕事に集中させてほしいところ。

「そんなこと言って、結婚して人気が落ちたら周りからキャーキャー言われなくなるぞ。そうなったら寂しくなるんじゃないか？」

「それは絶対にあり得ません。むしろ助かりますね」

　好意を抱いてもらえるのは嬉しいことだが、俺が好きになってほしい相手はこの世でただひとり、桜花だけだから。

「はいはい、そんなだから上杉は人気があるんだろうな。クールでカッコいいってよく聞くし。羨ましいことだ」

　ぼやきながら先に運航管理室、ディスパッチルームに入った会沢さんに続いて俺も入り、さっそくブリーフィングを行なう。