不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 しかし子供の頃から搭乗するたびに一番の楽しみだった機体が浮く瞬間、それはパイロットになっても変わらない。

「Flight 123, airborne」

 無事に離陸したことを伝え、少しだけ緊張の糸が解れた。

『Flight 123, contact departure on 123.45, have a good flight』

 最後にATCから123.45の周波数でデパーチャーと連絡を取るようにという説明と、最後に良い飛行をという言葉がかけられた。

「Switching to departure, Flight 123. Thank you」

 それに対して感謝を伝え、ここでATCとのやり取りは終了となる。

「ん、今日も嫌いな青空が広がっている。不思議と上杉とのフライトでは天候に恵まれるんだよな。お前、晴れ男か?」

「どうでしょう。でもパイロットにとって晴れ男だと嬉しいですね」

「そうだな」

 飛行機は三万フィートまで上昇し、揺れも少なく乗客にとって快適な飛行になりそうだ。

「どれ、そろそろ機内アナウンスをするか。上杉頼む」

「いいですが、機長である会沢さんがしなくていいんですか?」

「いいんだ、これも勉強だからな。いつもの堅苦しい挨拶じゃなくて、少しはユーモアを持たせてみろ」

「無茶ぶりは勘弁してください」
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