不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 予想外な話に目を瞬かせてしまう。それもそのはず、大場と食事に行く約束をした記憶はないのだから。

 いや、しかしちょっと待て。たしか一昨日、桜花も大場と俺がふたりっきりで食事に行くとは言っていたよな?

「どういうことだ? 大場。俺はお前と食事に行くなんて約束をした覚えはないぞ?」

 説明を求めると、大場は狼狽える。

「そんな……っ! たしかに約束してくれたじゃないですか! 会沢さんもその場で聞いていたはずです」

「えっ! 俺っ!?」

 突然矛先を向けられ、会沢さんは自分自身を指差して戸惑う。

「そうですよ、一緒にいました。ほら、ロンドンから帰国してすぐに私が上杉さんに今度ゆっくり食事でもしながら着物の話を聞かせてほしいって言ったじゃないですか」

 必死に説明する大場の話を聞いて記憶を呼び戻す。

 たしかにロンドンから帰国した時、到着ゲート付近で大場に声をかけられ、着物の話題を振られた。

 あまりに大場が詳しいものだから二、三言話したことは覚えているが、食事の約束までしたか?

「あぁ、あの時!」

 すると会沢さんが思い出したようで、話し出した。
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