不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 涙声で訴えてくる大場だが、話を聞くところ怒りが沸き起こる。

「好意を向けてくれて嬉しいが、大場に告白されたとしても俺は大場の気持ちに答えることはできない」

 俺にはずっと桜花だけで、どんなに魅力的な女性が現れたとしても彼女以上に好きになれる相手はいないと思う。

「それなのに、勝手に桜花のことを調べて会いに行ったってことだよな? プライバシーの侵害で立派な犯罪だってことをわかっているのか?」

 冷静に言ったつもりだが怒りが勝ってつい強い口調になってしまい、慌てて会沢さんが間に入った。

「上杉、落ち着け。お前が知りたいのは桜花ちゃんとどうやって知り合い、どんな話をしたかじゃないのか?」

 宥めるように言う会沢さんの言葉に我に返ると、大場はすっかり怯えていた。

「大場もちゃんと話せ。どうやって桜花ちゃんと知り合ったんだ?」

 会沢さんに諭すように言われ、大場は途切れ途切れになりながらも話し出した。

「まずは、その……客として呉服店に行きました。……そこであの人に着物の相談をして購入して、さり気なく好きな人がいるって伝えたんです」

 少し落ち着いてきたのは、大場は小さく深呼吸をした。
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