不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「そこであの人から着物のことも教えてもらって、それをネタにこの前、上杉さんに話しかけたんです。それで食事に行く約束をしてくれたから、てっきり上杉さんも私のことが好きで、あの人とは嫌々お見合いをしただけだと思って」

 なにをどうしたらそう解釈できるんだ? あまりに身勝手な思いに頭が痛くなる。

「きっと上杉さんはなにか理由があってあの人と無理やり結婚させられると思って、だから私が助けてあげようと思ったんです! それで再び呉服店に行って今度、上杉さんとふたりで食事に行くほど私といい関係になっているから、邪魔するなって釘をさしたんです」

 なるほど、これで一昨日の桜花が言っていたことがすべて理解できた。

「ねぇ、上杉さんだって本当は私のことが好きですよね? だからいつも挨拶を返してくれるし、あの時だって着物のことを聞いたら話してくれたんじゃないですか? だったら私がやったことは間違っていません。上杉さんを救うためにやったことなんですよ?」

 自分本位な考え方に呆気にとられてしまう。俺を救うためにやったこと? なぜそう言い切れる?

「悪いが俺は大場にいっさい恋愛感情を抱いていないし、今後も抱くことはない」

 はっきりと伝えると、大場はショックを受けたようで「そんな……」と言葉を詰まらせた。
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