不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「それに挨拶をするのは社会人としての常識で、大場に限らず顔を合わせた同僚には全員に挨拶をするようにしている。……着物に関しての話は、桜花が若い人にもっと着物を広めたいと願っているからだ。俺も彼女の夢を叶える手伝いをしたいと思って話したまでであって、特別な感情を抱いているからではない」

 もう二度と大場が誤解をして、万が一に桜花に危害が及ばないよう自分の想いを告げた。

「もう二度と桜花に接触しない、俺とも職場の同僚として接してくれるというなら罪に問わないと約束しよう」

「上杉がこう言ってくれているうちに約束するのが賢明だぞ。大場だってこんなところで積み上げてきたキャリアを棒に振るのは心外だろ?」

 会沢さんの言う通り、大場は将来を有望視されていると聞いている。だが、少しでも桜花に嫌な思いをさせようものなら、今後は容赦しない。

 すると大場は勢いよく立ち上がった。

「私、あの人になにもしていないのに、そんなに目くじらを立てるなんて……っ! 上杉さんって思っていた人と違いました! 私にだけ優しい人だと思ったのに……。安心してください、もう上杉さんなんて好きじゃありませんから。着物なんて興味ないし、二度とあの人にも近づきません!」

 一方的に言って彼女は足早に店から出ていった。
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