不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 なにも言わずに連れてきた大翔に聞かれ、昨日、家族で昔のアルバムを開いた時にこの公園で撮った写真があったから来てみたかったと伝えた。

「そうだったのか。……どうだ? 実際に来てみた感想は」

「うーん……そうだな」

 写真を撮った場所はこの前、大翔と来たところ。だけどなにかを思い出すことはなかった。

「夜だからかな? なにも思い出せないや」

「……そっか」

 ここに来たらなにか思い出すかもしれないと期待していたが、周囲を見回してもなにも浮かんでこない。

「せっかく付き合ってもらったのにごめんね」

 大翔と一緒に来たら、思い出せそうな気がしたんだけど、そう簡単なことではなかったようだ。

 仕事終わりに会いに来てくれたのに申し訳ない気持ちでいっぱいになっていると、大翔は背後からそっと私を抱きしめた。

「な、なに? 急に」

 突然の抱擁に声がどもってしまい、羞恥心でいっぱいになる。

「なにって、昨日イチャイチャするって約束したじゃん」

 耳もとでクスクスと笑って言うものだから、くすぐったくてたまらない。

「今、ここじゃなくない?」

「じゃあいつ、どこならいいんだ?」
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