不本意ですが、天才パイロットから求婚されています～お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました～【極甘婚シリーズ】

　パイロットである大翔が出てくるのは最後だとわかっているけれど、待たずにはいられなかった。

　本当は大翔とはこの後、空港近くのホテルで待ち合わせをしていた。

　長時間の移動で疲れているだろうからと私の身体を心配し、休んで待っていていいと言ってくれたのだ。

　でも記憶を取り戻した今は、早く大翔に会いたい。会って謝ってありがとうって伝えて……とにかく言いたいことがたくさんあるから。

　今か今かと彼の姿を待つ。客室乗務員が出てきてから少し経った頃、ついに大翔の姿が見えた。

　初めて空港に行った時に一緒にいた機長の男性と出てきた彼を目にしたら、私は大翔に向かって駆けだしていた。

「大翔！」

　私の大きな声に気づいた大翔は、目を丸くさせた。

「桜花……？」

　大翔への想いが溢れて、勢いそのままに抱きついた私を彼は優しく抱きとめる。

「びっくりした、どうしたんだ」

　いつもの私らしくない行動に彼は困惑している様子。そんな大翔に早く伝えたくて勢いよく離れた。

　すると私の顔を見た彼は目を大きく見開いた。