不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「どうしたんだ、その目は。やっぱり怖かったのか!?」

 焦って聞いてきた大翔に対して、私は首を左右に振る。

「違うの。大翔のせいなの」

「俺のせい?」

 困惑する彼に笑みが零れる。

「そう、大翔のせいだよ。……私が記憶を失ってもずっと好きでいてくれた大翔のせい」

「それって……まさか桜花、記憶が……?」

 恐る恐る聞いてきた彼に、私は再び抱きついた。

「ずっと忘れていてごめんね」

 その一言で私が記憶を取り戻したと理解した彼は、力いっぱい抱きしめた。

「思い出したんだな、全部」

「うん。……ごめんね、大翔」

 せっかく止まった涙がまた溢れ出す。それに気づいたのか、少し距離を取って彼は私の顔を覗き込む。

「思い出してくれたなら泣くことないだろ?」

 そう言う大翔だって目が赤くなっている。

「泣くに決まってるじゃない。だって私、ずっと大翔のことを忘れていたんだよ?」

「それは仕方がないことだったんだ。桜花が気にすることじゃない」

「気にするよ」

 次々と溢れる涙を彼は優しく拭う。
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