不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「桜花ちゃん、大翔君と夜桜を見てきたら? 今ちょうどライトアップしていて綺麗みたいだよ」

「あ……うん。いいかな? 大翔」

 こうなったら伝えるしかない。だったらせめてふたりっきりがいい。雪乃さんに感謝して大翔に確認すると、大翔も「見に行こう」と言ってくれた。

 ふたりで家を出て櫻坂へ向かうも、言葉が出てこない。それでも家を出た時から手は繋がれていて、彼の大きな手のぬくもりに次第に心は落ち着いていく。

 いつかは話そうと思っていたんだ。だったら早いほうがいい。

 しかし、櫻坂は多くの夜桜の見物客で溢れていて、ゆっくり話ができる場所ではなかった。すると大翔はサウスパークに行こうと言ってくれた。

 サウスパークにも桜の木はあるものの、櫻坂ほどではない。花見客もまばらだった。

 静かな場所を探して歩を進め、人影が少ないベンチに並んで腰を下ろした。

「それで、なにがあったんだ」

 さっそく本題を切り出した大翔に、思い切って打ち明けた。

「うん、あのね。実は前に海外で展示会をした時に来てくれた人から、ロンドンのビルでセレクトショップを出店しないかって声をかけられたの」

 どう思っただろうか。すぐに返答がない大翔の反応が気になる。チラッと彼を見れば、目を丸くさせていた。

「すごいじゃないか、おめでとう」
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