不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「子供の頃に俺と結婚の約束をした時のことを覚えているか?」

「……うん」

 思い出した今、もう一生忘れたくない記憶になっている。

「その時にさ、俺がパイロットになったらって言っただろ? それは今の副操縦士のままじゃなく、機長になって初めてパイロットになれると思うんだ。だから俺は約束通り胸を張ってパイロットになれたと言えるまで桜花にプロポーズはしないつもりだった」

「そう、だったんだ」

 大翔は大翔なりにちゃんと考えてくれていたのに、ひとり勝手に暴走して恥ずかしい。

「それに桜花とは死ぬまで一緒にいるつもりだ。結婚するのはお互いの夢を叶えてからでも遅くはないと思う。まぁ、本音を言えば早く桜花を嫁にして俺のものだって証明して、可愛い子供をたくさん授かりたいところだけど。……これから先の人生は長いんだ、まずはお互い夢を叶えよう」

「大翔……」

 本当に恥ずかしいな。大翔はちゃんと私のことも考えてくれていたのに。それなのに勝手に家族が言うからとか、大翔は子供が好きだからとか理由をつけて、早く結婚するべきでは? と焦ってしまった。

「そのほうが子供ができた時に、胸を張って俺たちは好きな仕事に就いて夢を叶えたんだって言えるだろ? それって最高にカッコいいと思わないか?」

 大翔らしい話に笑みが零れる。

「うん、カッコいいね」

「そうだろ?」
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