不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 機長として初めてのフライトでの彼の機内アナウンスを待つ。すると少ししてアナウンス音が鳴った。

『本日羽田空港発、ヒースロー空港着の便にご搭乗いただき、誠にありがとうございます。機長の上杉です』

 始まった大翔のアナウンスに耳を澄ませる。まずは飛行状況の説明から始まり、そして大翔は『ここからは個人的なお話になり、申し訳ないのですが』と切り出した。

『私にとって本日が機長になって初めてのフライトとなります。この日を迎えるまで多くの苦労がございました。……それらを乗り越えることができたのは、愛する女性に機長になったらプロポーズするという目標があったからです』

 え、嘘。待って。もしかして……。

 機内がざわざわと騒がしくなる中、大翔は続ける。

『記念すべき初フライトに彼女も搭乗してくれました。だから言わせてください。桜花、今日までありがとう。だからこそ世界で一番幸せにする。どうか俺と結婚してください』

 シンプルなプロポーズの言葉に涙が込み上がる。

『約束通り忘れられないプロポーズをしたんだ、イエス以外は受け付けないからな』

 大翔らしい言葉に笑いながらも涙が零れ落ちた。

「もう、大翔ってば私が断るとでも思っているの?」
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